第13回コンテスト(2022年)

花王グループでは、世界の子どもたちが身近な生活のエコと地球の環境・未来について真剣に考えて表現した作品とその思いが、世界中の人々の心を動かし、さらにそのライフスタイルを変えるきっかけとなることを願い、2010年からこのコンテストを実施しています。
13回目となる今回は、世界中の子どもたちから13,214点のご応募をいただきました。厳正な審査により選ばれた32点の入賞作品を、子どもたちがそれぞれの作品に込めたメッセージと共にご紹介します。

受賞作品のご紹介

“いっしょにeco” 地球大賞

「助け合ってマングローブを植えよう」
Woraphitcha Phuangprakhonさん(10歳)

絵に込めた思い

マングローブの森は、ムツゴロウ、マングローブ蟹、サギ、ロリスなどさまざまな動物が生息しているところです。また、マングローブの森は、海辺の高潮の影響から守ってくれるのです。この絵で、わたしは、動物たちに彼らの家や食べものや過ごしやすい気候を受け取ってもらえるように、友達と力を合わせてマングローブを植えている様子を描きました。わたしたちはとても楽しい時間を過ごしながら、マングローブの森を守るための取り組みを誇りに思い、これからも環境にやさしくなることを約束します。

審査員講評

自然を描くときには木や葉の色をそのまま使いたくなるものだが、この作品は背景にいる人間たちの活動に目が向くよう、非常に個性的な色使いで描かれている。これまでになかった新しいセンスと独特の構想が見事な秀作だ。細部まで細かく描かれているが全体としてまとまりがあり、遠くから見ても独特の空間に目を惹かれる。さまざまなインスピレーションがわいてくる奥深い作品だ。

“いっしょにeco” 花王賞

「環境と大地の問題」
Ahoora Bakhtiariさん(9歳)

絵に込めた思い

私たちは、環境を守るために努力しなければなりません。この絵を描いたのは、地球を愛そうというメッセージを友達に伝えるためです。地球を掃除している人や、地球を幸せにするためにみんなが行動をしている様子を描きました。

審査員講評

中央に描かれている地球が、既成概念にとらわれない表現で描かれており非常に興味深い。地球にも自分たちと同じように感情があるのだということを端的に表現している点が秀逸だ。色使いや技法も手が込んでおり、タッチや色合いなど作品にかける熱量の強さが感じられた。地球環境の問題に前向きに取り組んでいこうというメッセージが伝わってくる作品だ。

「自然は命の本質」
Aitsariyaphon Phunsawatさん(9歳)

絵に込めた思い

樹木、川、風、空、大気などの自然環境は、生命の一部です。それぞれ互いに関連し合っていて、生命のバランスを取るために役立っている要素です。そのため、自然環境はすべての命にとって大切なものなのです。

審査員講評

木は木、雲は雲で同じ描き方を繰り返している点が非常に興味深い。繰り返し表現をすることにより、連綿とした息遣いが見ている側にも伝わってきて、作者が作品に込めた思いをより印象深いものにしている。前面に描かれているのは、山に木が生えているようにも、木の幹に木が生えているようにも見える。なぜ作者はこの形で描いたのだろうか、と考えさせられる作品だ。

「自然との同調」
Bozhidara Bogdanova Dimitrovaさん(9歳)

絵に込めた思い

人間と自然の2つの手を描きました。人間の手には人やごみを描き、自然の手には植物や動物を描きました。人間の手が支えているのは宇宙、自然の手が支えているのは海です。環境汚染を止めることで自然をより持続可能に育むことができる、というメッセージを込めて、この絵を描きました。

審査員講評

一見すると手で地球を支えているようだが、2本の木を描いているようにも見え、見る人の思いによってさまざまな受け取り方ができる、不思議な魅力を持った作品だ。一方の手には人間とごみが、もう一方の手には昆虫や植物、魚などの自然環境が描かれ、対比がなされている。同じ生き物なのになぜこんなにも違うのかというメッセージとともに、人が汚した地球を自然界の生物たちが一生懸命浄化してくれているのだというストーリーが表現されている。

「日かげ」
Kanticha Thangsriさん(11歳)

絵に込めた思い

わたしの絵は、樹木の陰と建物の影を表し、成長発展するわたしたちの世界が自然と共存していることを伝えています。人々と動物たちが穏やかに眠っているのは、みんなが幸せで、動物たちを慈しんで愛し、自然を愛し、おそれることなく共存しているからです。

審査員講評

まさに自然との共生を描いた作品。緑の上で寝転ぶ人間や動物たちの表情がやさしく、心から気持ちよさそうだ。「自然と仲よくすることは幸せなことなのだ」というメッセージが非常によく表現されており、見ているだけで心が温かくなってくる。人間と動物が同じ場にいて、快適さを共有することの大切さはもちろん、一緒にいる時間そのものが素敵なのだということを、子どもの目線でとても素直に描いている点を大きく評価した。

「友情」
Oleksii Sergiiovych Paliiさん(6歳)

絵に込めた思い

わたしは、友達をつくることが好きです。だれもが、男の子とも女の子とも、そして動物とも仲よくなれます。クマと友達になることがわたしの夢です。動物を「わたしたちの小さな兄弟」と呼んでもいいと思います。わたしとクマとの友情はずっと続く強いものになるはずです。

審査員講評

「自然と仲よくしよう」というメッセージが単純明快に伝わってくる。人間が寄り添っているのがクマであることも興味深い。多くの場合、やさしい動物を描きがちだが、人間よりも強そうな動物に笑顔で寄り添い、また寄り添われているという関係性が非常にユニークだ。色味を抑えた背景にブルーの線が効いており、また日の光も、オレンジ・赤・桃色と、よく観察して描き分けている。色彩感や表現力にあふれた、味わいのある独特な雰囲気の作品だ。

「みんなで支える地球の未来」
松本 秋香さん(10歳)

絵に込めた思い

地球は人だけのものではなく、ほかの動物や植物、魚や昆虫たちの暮らす星でもあります。この絵では、さまざまな生き物たちがキラキラ輝く地球を仲よく支えています。環境破壊が問題となっている今、人は色々な生き物たちとの共存を真剣に考えなければという思いを表現しました。

審査員講評

ふんわりとやわらかいタッチの筆使い、かつ淡い色調で非常に美しい。中央には地球や太陽、はたまた花をも連想させるような絵が描かれており、その中には人間や動物、植物など自然の中にある彩りやさまざまなものが詰め込まれている。それでいて全体的に調和がとれている。こうありたいと願う夢や希望が込められており、明るい未来を感じさせる自然体の作品だ。「自然への回帰」という言葉がふさわしいと感じた。

「立ち退き」
Wang Zihengさん(10歳)

絵に込めた思い

裏切りを招いたのは私たち自身、つまり人間です。動物やほかの生き物の生息地に侵入して彼らを立ち退かせたのは人間なのに、自分たちが追い出されたと感じたり、脅かされていると感じたりします。人間の活動によって多くの生き物が絶滅の危機にさらされ、すでに絶滅した生き物もいます。立ち退かされているのはどちらでしょうか?

審査員講評

動物が建物の中にいて、人間が外にいるという、人間と動物の立場を逆転させた非常にユニークな発想の作品。人間は動物たちに家を追い出されたのだろうか。家に戻りたそうな、なんともいえない表情をしている。実はこれは私たち人間が動物に対して行っていることであり、住処を追われた動物たちの気持ちが皮肉たっぷりに描かれている。地球は人間だけのものではないという、当たり前だが非常に大事なことを考える出発点となり得る作品だ。

「庭の鳥たち」
Zuzana Soukupovaさん(8歳)

絵に込めた思い

私は自然と仲よく生きたいです。だから、都会に鳥たちを呼び寄せ、もっと緑豊かで動物にやさしい街にするための屋上庭園をつくりました。私は動物が好きです。でも、人間が建物や街や道路をどんどん大きく広げることで、自然環境が奪われていると思います。人間は、動物から奪った土地の代わりに、緑がある場所を用意してあげなければいけません。世界中のすべての動物には、人間と同じように、幸せな場所で暮らす権利があると思います。

審査員講評

版画で描かれており、モノクロかつ非常にシンプルであるにもかかわらず、自然と目を惹きつけられた。木があって私がいて、家があって、窓がある。そんな、日常のごくありふれた生活を心から楽しんでいる様子が伝わり、自然体で描かれた作品だ。自然と仲よく調和しながら暮らしていきたいという願いが感じられる。

優秀賞/審査員推薦作品

益田 文和 審査委員長推薦

「美しき自然」
Chin Pei Yingさん(10歳)

審査員講評

鹿が見ている世界に入り込ませてもらったような作品。鹿が気持ちよいと感じている様子が見ている側にも伝わってきて共感できる。自然はあらゆる生き物のものであるというメッセージを受け取った。

大久保 澄子 審査員推薦

「私のペット」
Zeynab Bagheriさん(10歳)

審査員講評

鮮やかなオレンジが印象的なインパクトのある作品。手前に大きく描かれたクモが目を惹き、遠近感もうまくとらえられている。日常の風景をよく観察し、それを素直に表現した味わい深さがある。

松下 計 審査員推薦

「鳥にえさを」
Tarannom Sheikhsharifiさん(6歳)

審査員講評

色を塗り重ねたり、ぼかしたりすることなく、色本来の持ち味をそのまま活かしている。それぞれの個性を尊重しつつ、ひとつの世界をつくっていこうという、未来へのメッセージを表しているようだ。

オヤマダ ヨウコ 審査員推薦

「母なる大地」
Kseniya Leshakovaさん(12歳)

審査員講評

中央に描かれているのは、山に流れる川を模した大地の女神だろうか。その上で育てられている植物や果物が実ったら、女神の髪飾りになるのではないかとワクワクし、想像力が掻きたてられる。

アンドレアス・シュナイダー 審査員推薦

「街の緑を守ろう」
Ngan Kim Dangさん(7歳)

審査員講評

何も複雑なことではなく、掃除をしたり、木に水をあげたりと、身の回りのできることからやっていこうという思いを感じた。同時に、日常を当たり前に過ごせることへの感謝や喜びも伝わってくる。

細川 泰徳 審査員推薦

「水からつながる命のバトン」
板東 凪咲さん(13歳)

審査員講評

水の大切さを訴えた作品。比較的きれいな水に恵まれている日本の作者が、このテーマにフォーカスしたということは、世界に目を向けている証拠であり、地球全体のことを考えている点に感銘を受けた。

片平 直人 審査員推薦

「病気にかかった地球」
Aleksandra Tomaszekさん(11歳)

審査員講評

昼寝で使うようなベンチの上で地球を手当てしているユーモラスな作品。地球のことも自分たちと同じように感情あるものとして大切に扱い、気持ちまでよくなってほしいという思いが伝わってくる。

優秀賞

「生命を大切に」
Angelina Oleksandrivna Samchukさん(12歳)

審査員講評

地球の未来や環境に目を向けており、環境そのものがきちんと絵の中にとり込まれていて、希望や可能性を信じれば必ず乗り越えられるという、静かながらも力強いメッセージを受け取った。

「自然や樹木への愛」
Bahar Rezaeianさん(11歳)

審査員講評

本来夜を描くのは難しいが、この作品は木々の香りや焚火で焼かれたマシュマロの香り、ひんやりとした月夜の空気感まで伝わってくる。闇や焚火に照らされた表情の描き方も含め、見事な表現力だ。

「海の大切さを見つめ直す」
杉内 楓彩さん(14歳)

審査員講評

子どもが海洋生物の気持ちを想像している構図がユニーク。単体では軽いプラスチックが積み重なり、重い問題としてのしかかっていることが、海に入って見てきたかのごとく描かれている。

「愛の地」
Jirapong Meankerdさん(9歳)

審査員講評

中央には植物と一体化して、少しとまどっているような表情の人間が描かれている。人間は特別な存在ではなく、ほかの生き物と同じく生態系の一員だということを思い出させてくれる作品だ。

「素晴らしい自然」
Jolie Chungさん(12歳)

審査員講評

息苦しくなるほどの圧倒的な「緑」の迫力にすさまじいパワーを感じた。これだけ緑がある中でさらに苗木を植えようとしている作者の熱意には心が動く。人物の足元のピンク色の花もよいアクセントになっている。

「私が考える宇宙での団結」
Megann Tan Le Jiaさん(10歳)

審査員講評

地球の環境問題が悪化し、人間が宇宙で生物の保護を行っている未来を表しているように見える。宇宙開発が進んでいるが、その技術や時間をもっと地球の生き物のために使ってほしいという作者の願いを感じた。

「環境を守るために手を取り合おう」
Naphitchaya Warahoさん(9歳)

審査員講評

生き物たちの生きる世界が層として表現されており、その層ごとのつながりが、深く考え構成されている。曼荼羅のようでもあり、細かいところまで描き込まれていて、見れば見るほど印象に残る作品だ。

「私たちの幸せな家」
Ngoc Minh Leさん(15歳)

審査員講評

センザンコウの親子に加え、よく見ると人間の手が中心にいるさまざまな生物を囲んでおり、「世界はひとつ」と訴えているようだ。作者の願いが絵に凝縮された、描写力の高い作品だ。

「農場のアヒルのような暮らし」
Nur Farah Alia Binti Muhammad Shukriさん(13歳)

審査員講評

作品の中心に置かれた雲がまるで動いているような、さらには「もくもく」という音が聞こえてきそうなほどの表現力には目を見張るものがある。こんな穏やかな未来を願わずにはいられない。

「タネまき」
Ransh Sameer Mishraさん(9歳)

審査員講評

想像上の機械で、よい植物を育てるためのタネを蒔いているシーンを描いている。少し近未来的な発想と伝統的な図柄の対比、人間と自然の配色も非常にユニークだ。

「藍‐自然との共存」
Rinrada Singhsathitsukさん(8歳)

審査員講評

天然繊維の藍染めのような伝統文化が失われつつある中で、「藍染めがいつまでも続けられる環境や暮らしであってほしい」と、身の回りの出来事から大きな問題を表現している点を評価した。

「私の竹の村は楽園」
Rumaisha Syifa Carolinaさん(13歳)

審査員講評

茶色と緑色で描かれた竹林の中に、パンダやキリン、ゾウなどを登場させ、配色にアクセントをつけたセンスがすばらしい。自然を敬い、自然と共存する暮らしを願う気持ちがよく表現されている。

「自然の中の幸せ」
Tanateeta Chullapaさん(8歳)

審査員講評

花びらには珍しい黒を使った印象的な花を真ん中に配置していて、とてもインパクトのあるおもしろい作品に仕上がっている。加えて、「自然を大切にしたい」というメッセージもしっかりと伝わってきた。

「手を取り合って地球を思いやろう」
Yan-Ting, Huangさん(10歳)

審査員講評

ピンクをベースに、補色である緑やブルーを対比させている配色が印象的。色や構図など、計画性を持って描かれたことがわかる。明るい未来を夢見る作者の思いがダイレクトに伝わってくる作品だ。

「美しい母なる自然」
Zahra Mozaffariさん(8歳)

審査員講評

世界にはすぐに解決できない問題が多く残っている。そんな中でも生き物同士が手を取り合い、平和な世界になってほしいという、子どもならではのストレートな願いを素直に表現している点がすばらしい。

「自然となかよく」
Zhang Cheng Weiさん(7歳)

審査員講評

人工的なものは暖色、自然には寒色を使い、勢いのある筆使いで絶妙なバランスを描いている。社会や地球を意識した配色で表現したのだろうか。現実の社会でもそのバランスを意識すべきだというメッセージを感じた。

下記より「第13回(2022)入賞作品集」をご覧いただけます。

審査風景

今年で13回目を迎えた絵画コンテスト。今回は、世界中から13,214点(国内390点、海外12,824点)の作品の応募がありました。
まずは花王のデザイナーが予備審査を行い、全作品の中から402点の作品が最終審査への通過作品として選考されました。審査の基準としては、「地球環境改善への願いや発想が感じられるか」「世界の環境問題を考えるうえで新鮮な視点を与えてくれるか」に加え、「子どもらしい発想や視点を感じさせるか」「国や地域らしさが反映されているか」といった点も重視されています。

最終審査では、芸術や環境分野に携わる審査員7名が一枚一枚の作品と真剣に向き合い、子どもたちの未来へ向けた切なる願いや新たな視点に感銘を受けながら審査を進めていきました。

「“いっしょにeco”地球大賞」(1点)に選ばれたのは、Woraphitcha Phuangprakhonさん(10歳)の「助け合ってマングローブを植えよう」です。審査員からは、「これまでになかった個性的な色使いがすばらしい」「新しいセンスをそなえた独特な構想が見事」といった講評がありました。このほか、「“いっしょにeco”花王賞」8点、「優秀賞」23点(うち審査員推薦作品7点)を決定しました。

審査員の総評

益田 文和 先生
審査委員長
デザインコンサルタント、株式会社オープンハウス代表取締役

コロナ禍で停滞していた社会が動き出しただけでなく、さまざまな危機的な状況が発生する激動のタイミングで、子どもたちの中にも「とまどい」があったのではないかと思う。そこで心の拠り所になるのはやはり、「自分たちが気持ちよいと思う世界」であり、そんな世界をめざしていこうという原点回帰のような意思が全体的に感じられた回となった。また、今回は受賞作品以外の応募作の中にも昆虫を描いた作品が多数見受けられたことも非常に興味深い。子どもたちが植物や大きな動物たちだけでなく、昆虫というよりミクロな世界にまで目を向け始めたということであり、今後が非常に楽しみだ。

大久保 澄子 先生
美術家

本コンテストが始まった頃は、思いよりもテクニカルな部分に重きを置いた作品が多くあったが、年を追うごとに「こうありたい」という願いがより作品の中に打ち出されるようになってきていると感じている。しかも今回は、それをこれ見よがしに伝えるのではなく、自分たちの日常の「平和」や「満足感」をうたった作品として描かれており、作品の世界にも入り込みやすかった。人間は本来自然の一部であり、自然からどれだけ多くの恩恵を受けているのかを考える必要があるということを、子どもたちが表現し続けてくれていることは非常にすばらしく、敬意を表したい。

松下 計 先生
東京藝術大学 教授

今回は、環境問題という大きな課題に対し、大きな課題のまま向き合うのではなく、「私は何を感じているのか」、そして「私やあなたの周りをどうすれば幸せになれるのか」といったように、個人の問題としてとらえ、向き合っている作品が多かったように思う。大きな課題として解決に挑むことに、社会全体が疲弊してきているということを、子どもたちも気づいているのかもしれない。社会とはそもそも個人の集まりであり、一人ひとりが目の前の小さな課題を解決することにも大きな意味があるのだという気づきを与えてもらった、よい機会となった。

オヤマダ ヨウコ 先生
美術家、イラストレーター

本コンテストに応募してくれる子どもたちは、環境についてよく勉強していて、さまざまなことを理解している。そのうえで、「こんなことができたらいいのに」という夢物語ではなく、現実的なメッセージを伝える作品が多かったように思う。身近にある生活をよくすることが、世界をよくすることにもつながるのだという力強い思いを受け取った。子どもたちが多くの心温まる作品を応募してくれたことに感謝したい。

アンドレアス・シュナイダー 先生
デザイナー

今はもはや、誰もが日常的に環境について考えることが当たり前の時代といえる。環境問題がグローバルに画一的な見方やパターン、モチーフになりつつある一方で、子どもたちは自分自身の考えを本気で一生懸命に表現しているということを強く感じた。子どもたちのメッセージに込められた願いを、人々が同じ思いで受け止めて行動を起こしていく手助けとして、花王のプロジェクトがより有意義なものになることを願っている。

細川 泰徳
花王エコラボミュージアム館長

審査員を務めるのは今年で3回目になるが、子どもたちの感性と、自分が感じていることをうまく作品に落とし込み、表現している点に毎回感銘を受けている。昨年に引き続き、「サステナブルな環境をみんなでつくろう!」というテーマだったが、今回は「環境にやさしく」にとどまらず、「人にもやさしく」「生き物にもやさしく」、そして「社会にもやさしく」ということを子どもたちが表現していたように思う。サステナブルな環境、ひいてはサステナブルな社会をみんなでめざしていけるような世界を、我々大人もしっかりとめざしていかなければならないと感じた。

片平 直人
花王株式会社 作成センター長

世界的に大変な状況の中で、多くの作品を届けてくれたことをありがたく思っている。大人は環境問題を大きな課題ととらえ、「一個人としてはあまり関係がない」という感覚を持ってしまいがちだが、子どもたちは「自分は環境の一部である」ということを当たり前に感じているように思う。だからこそ、日常や目の前にあるできごとを描いた作品が増えているのではないだろうか。環境を守ることは、自分たちの幸せや今ある大切なものを守ることにもつながるのだということをダイレクトに伝えた作品が多く、あらためて環境を守ることの意味を考えさせられた回となった。

表彰式

第13回表彰式は、2022年12月11日(日)にオンラインで開催しました。第13回「“いっしょにeco” 地球大賞」「“いっしょにeco” 花王賞」の受賞者が、世界各地から参加しました。
社長の長谷部佳宏からのお祝いの言葉に続き、益田文和審査委員長からは、「問題をたくさん抱えているこの地球で、これからどんな暮らしをしたらよいのか、どんな社会になっていったらよいのか、という答えを、皆さんからたくさんいただいた。」との総評をいただきました。
受賞作品発表では、各受賞者がそれぞれの作品に込めた思いを語り、その思いを参加者全員と共有しました。また今回は、事前に受賞者や関係者から届いた動画を1本につないだショートムービーを、参加者全員で鑑賞して、ひとつの地球や未来を一緒に考えていきたいという思いを共有しました。

参加した第13回上位入賞者の皆さん

花王本社の会場の様子

地球大賞Woraphitcha Phuangprakhonさんのスピーチ

「未来」にむけての思いを共有

Page Top