自治体・NPOとの連携

リサイクリエ―ションは、神奈川県鎌倉市、徳島県上勝町、宮城県女川町、石巻市、北海道北見市の5地域で回収を開始しました。

まず取り組んだのが、皆さまに「資源が循環していくこと」を体感していただくため、回収したつめかえパックを再生樹脂にして、さらに、「おかえりブロック」と名づけたブロックをつくることでした。「おかえりブロック」が地域に戻ってくることで、資源循環が実感できるしくみです。
使い道はアイデア次第。街づくり、環境教育、啓発活動などで活用されています。

神奈川県鎌倉市での取り組み

鎌倉市では、2016年より「リサイクリエーション」活動を実施しています。ガールスカウト神奈川県第3団の協力のもと、つめかえパックを回収し、パックから作成したブロックを使用して、「未来のかまくらを考えよう」をテーマにしたワークショップを開催しました。

2017年からは、鎌倉市に加え、鎌倉を拠点として活動するNPO法人カマコン、 NPO法人游風、株式会社カヤックといったパートナーと共に、新たなプロジェクトを開始。市民の皆さま、学校、行政、パートナー企業の協力のもと、2017年10月~2018年5月までで4万1,025枚のつめかえパックを回収し、実物大の江ノ電と、鎌倉にゆかりのあるキャラクター「オチビサン」のベンチを制作しました。

その後、江ノ電として使用したブロックは新たに市民生活に役立つものへ形を変えて、小・中学校、駅などで活用されています。
これをきっかけに鎌倉市内の小学校、中学校での環境教育にも発展し、おかえりブロックによる創作活動が続いています。

2019年春より1年かけて、鎌倉市立御成小学校の皆さまといっしょに取り組んだ環境教育の活動記録

動画のテキスト版はこちら

鎌倉市立御成小学校とリサイクリエーションに取り組んだ1年間の記録です。
2019年春、NPO法人カマコン、株式会社カヤックと共に御成小学校の6年生に環境授業を実施しました。子どもたちからは大人顔負けのアイデアが数多く提案され、熱心な様子に刺激を受けた周囲の大人たちも、本気で活動に取り組むようになりました。
子どもたちはまた、この活動を多くの市民に知っていただこうと、鎌倉のラジオ局からも呼びかけました。
子どもたちの声や力は街を動かし、学校内に設置された回収ボックスは、鎌倉市役所・小売店・レストランなどにも設置されるようになり、活動は広範囲に拡がりました。

2022 年には、「デジタル駆動超資源循環参加型社会共創拠点」プロジェクト内のひとつのテーマとして「リサイクリエーション」活動が位置づけられることとなりました。このプロジェクトは、慶應義塾大学 田中浩也 環境情報学部教授を中心に、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が行う、「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に、地域共創分野育成型プロジェクトとして採択されたものです。
2022年5月には、慶應義塾大学により、鎌倉市と参加企業の共創と市民参加型の実験を加速するため、研究拠点施設として「リサイクリエーション慶應鎌倉ラボ」が鎌倉市内に開設されました。
2023年からは育成型から本格型プロジェクトに昇格。『リスペクトでつながる「共生アップサイクル社会」共創拠点』に名称が改められました。

今後も産官学民による、さらなる活動の広がりが期待されています。

慶応義塾大学によって鎌倉市内に開設された「リサイクリエーション慶應義塾鎌倉ラボ」の外観を写した写真。使用済みつめかえパックを回収する「資源ポスト」が設置されている。

慶應義塾大学によって開設された「リサイクリエーション慶應鎌倉ラボ」。使用済みつめかえパックを回収する「しげんポスト」を設置。

北海道北見市での取り組み

カーリングで有名な北海道北見市において、2018年10月より「リサイクリエーション」活動を開始しました。北見市環境課が事務局を務める市民団体「北見エコスクールSDGs協議会」を中心に、市内全域で活動を行っています。

北見らしいクリエーションでリサイクルの啓発とカーリング競技の応援を行う、という意味を込めて、おかえりブロックで巨大カーリングストーンモニュメントを制作することを目標に回収活動を拡大しました。
2021年には目標の回収枚数に到達し、2021年10月に通称「100倍ストーン」が完成しました。北見市内のカーリングホールにおいて2022年3月まで展示されたあとに、北見市のクリーンライフセンター、北見駅前、環境イベントなどで展示され、北見市民にリサイクリエーションへの参加を呼びかけています。

北見リサイクリエーションでは産官学民の連携が特徴です。中規模都市の資源循環モデルをめざし、現在も活動が広がっています。

巨大カーリングストーンモニュメント制作の活動記録動画

北海道北見市の北見エコスクールSDGs協議会の皆様が回収物を確認している写真。

北見エコスクールSDGs協議会の皆さまによる回収物の確認

宮城県女川町・石巻市での取り組み

女川町では、2017年4月、町の商店街の活性化と資源循環を組み合わせた、女川町の新しい取り組みのひとつとして「リサイクリエーション」活動を取り入れ、社会実装の効果の検証を進めています。女川町商工会議所と、女川町観光協会に回収ボックスを設置し、使用済みつめかえパックの回収量に応じて、地域通貨(アトム通貨)に還元しています。今後もこの活動で女川町の活性化に貢献できるよう進めていきます。

石巻市では、市民の皆さまと共同する新しい取り組みとして、「リサイクリエーション」活動の社会実装の効果の検証を開始しました。石巻での活動主体は、震災を経験した石巻だからこそできる、新たな環境に配慮した生活の提案をめざして地域で活動する、一般社団法人サステナブルデザイン工房です。石巻市の協力のもと、2017年11月より市役所など5カ所に回収ボックスを設置して本格的に洗剤やシャンプーなどの使用済みのつめかえパックの回収を開始しました。現在、研究会の開催や、ラジオ放送、環境教育などを通じてコミュニティが広がり、多くの方々のご賛同をいただきました。その結果、回収場所は60カ所を超え、市内全域に広がっています。

子供たちが、おかえりブロックを使って、女川町公認キャラクター「シーパルちゃん」のレリーフを作製している写真。

女川町公認キャラクターのレリーフを作製する子どもたち

大谷地小学校の皆さんが制作した、カラフルなおかえりブロックでつくられた回収ボックスの写真。

大谷地小学校の皆さんが制作した回収ボックス(石巻市役所に設置)

徳島県上勝町での取り組み

徳島県上勝町では、2016年より、使用済みのつめかえパックの回収を実施しています。上勝町で3年間で回収したパック総量の350kgを再生加工、「おかえりブロック」と名づけたブロックを作成し、1月26日に上勝小学校にて、ブロックの譲渡式典を実施しました。

上勝町は、2003年に日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を公表しました。廃棄物の徹底した分別回収を実施しており、その取り組みは世界的に注目を集めています。
花王は上勝町の政策と背景にある思いに共感し2016年より「リサイクリエーション」の協働を提案、活動を続けています。
つめかえパックの回収は、地域の方々の協力のもと、パートナー企業と協働して行っています。町民全員が利用する町内に1カ所あるごみステーションに、回収ボックスを設置し、分別回収を続けています。

上勝町のごみステーションに設置された回収ボックスの写真。つめかえパックから作った板が材料となっている。

ごみステーションに設置した回収ボックス

上勝町の上勝小学校で行われた、おかえりブロック譲渡式の写真。

上勝町で行なわれた譲渡式典の様子

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