花王TNFDレポート
―生物多様性領域における財務影響に関するレポート

花王は、「ハイジーンリビングケア」「ヘルスビューティケア」「化粧品」「ビジネスコネクティッド」の4つの事業分野で、生活者に向けたコンシューマープロダクツ事業を展開しています。「ケミカル」事業においては、産業界のニーズにきめ細かく対応した製品を幅広く展開しています。花王は、これらの事業活動を通じて、持続可能で豊かな共生世界の実現に貢献していきます。

花王の製品は多くの原料を自然の恵みに依存し、製品の使用後は環境へと排出されています。したがって、生物多様性の保全と回復、再生は、花王にとって重要なテーマです。事業活動と自然の接点を理解し、リスクや機会、将来的な財務影響を見積もることは、ネイチャーポジティブに向けた戦略を立案し、活動を推進するうえでとても重要なことです。
洗浄剤は、複数の事業領域にわたる花王の主要製品であり、戦略を考える上で優先的に取り組む製品です。これまで、サプライチェーン全体に対して自然への依存と影響、リスクと機会を特定し、シナリオ分析を行うことで2050年における財務影響を見積もるとともに、その財務影響を最小化するための対応策を検討し、TNFD*1 の開示フレームに即して公開してきました。

洗浄剤の分析に引き続き、化粧品や紫外線ケア製品に関する分析も実施しています。化粧品は洗浄剤に比べると多種多様な原材料を使用しており、洗浄剤とはまた違った自然との接点があると考えられます。そして近年の気温上昇に伴い、気候変動の適用製品ともいえる紫外線ケア製品が注目されており、花王においても注力している製品のひとつとなっています。

本レポートでは、洗浄剤と化粧品、紫外線ケア商品に関する分析結果をまとめています。

  • * 1 TNFD:2021年に正式発足した「Taskforce on Nature-related Financial Disclosure:自然関連財務情報開示タスクフォース」のこと。自然資本等に関する企業のリスク管理と開示枠組みを構築するためのもの。

洗浄剤に関するLEAP分析*2

Locate(優先地域の特定)

ENCORE*3 から抽出された課題に対して、顕在的および潜在的リスクを追加調査し、各種GISデータ*4 を用いて解析を行いました。その結果、ホットスポットとして、パーム(核)油の原産国(インドネシアやマレーシア)、水ストレスや水質汚染を抱える地域にある拠点及び販売国が挙がってきました。

  • * 2 LEAP分析:TNFDが提唱する分析手法。Locate(優先地域の特定)、Evaluate(依存と影響の把握)、Assess(リスクと機会の特定と評価)、Prepare(戦略と目標設定と評価、報告)の順に分析アプローチを行う。
  • * 3 ENCORE:自然資本分野の国際金融業界団体「Natural Capital Finance Alliance(NCFA)」の主導のもと公表されたリスクアセスメントの評価ツール。セクターごとの自然関連の依存・影響・リスクの分析に活用できる。ENCORE: Exploring Nature Capital Opportunities, Risks and Exposure
  • * 4 GISデータ:Geographic Information System(地理情報システム)で扱われる、位置情報(緯度経度など)を持つデータの総称。地図上の位置情報(空間データ)と、それに関連する情報(属性データ)をコンピューター上で重ね合わせて表示・分析することで、場所ごとの傾向や関連性を視覚的に把握し、課題解決や意思決定に役立てることができる。

Evaluate(依存と影響の把握)

バリューチェーンの上流、直接操業、下流において、自然に関する依存と影響因子を抽出しました。これらの因子を、自社事業活動への影響度の軸と、自然や社会への影響およびステークホルダーの関心度の軸の2軸で整理しました。
それぞれの軸における評価がともに高く、特に重要と評価されたテーマは以下の通りです。

  • 森林破壊(上流)
  • 水資源の利用および環境中への排出(直接操業および下流)
  • 廃棄物の排出(主にプラスチック容器、下流)

Assess(リスクと機会の特定と評価)

自社事業活動、自然・社会・ステークホルダーへの影響ともに高かった4つのリスクに対して、「自然共生シナリオ」と「成り行きシナリオ」を立てて、2050年に予想される財務インパクトを見積もりました。

Prepare(戦略と目標設定と評価)

花王のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(以下、KLP)の活動には、生物多様性と関連が強いテーマがたくさんあり、ミティゲーションヒエラルキー(回避、最小化、現場での機能回復/復元)に従い、生物多様性の損失を減らし、回復させることにチャレンジしています。
想定されたリスク要因に対して、現在進行中の取り組みを推進していくことで、負の財務インパクトを回避、縮小できる可能性があることが確認できました。また、新たなビジネス機会の例として、土壌改質技術などの「再生農業」分野での展開の可能性が考えられます。

TNFDフレームワークに沿った開示

【ガバナンス】

生物多様性に関する重要テーマについては、社長執行役員を議長とするESG最高機関である「ESGコミッティ」で報告や意思決定を行っています。
「ESGコミッティ」では、生物多様性に関わる各種方針の承認や、自然関連の依存・影響、リスクの機会についての報告、シナリオ分析による事業活動への影響報告や将来にわたる活動の方向づけを行っています。
役員クラスがオーナーである4つのESGステアリングコミッティ(脱炭素、プラスチック包装容器、人権・DE&I、化学物質管理)においても、生物多様性に関連するテーマが議論されています。より具体的な活動はESG部門が主管し、関連部署と連携しながら進めています。
また、花王ではサプライチェーン全体において、生物多様性戦略の実行にあたり、日々の業務や意思決定のガイドラインとして次の方針を策定しています。

  • 自然と共生する未来の実現をめざした、生物多様性を保全・回復させ、自然を再生へと導くための8つの活動方針を規定
  • 生物多様性の基本方針に則り、より具体的なアクションを示したもの。生物多様性の国際的な情報開示や目標設定に対する姿勢を提示
  • 企業活動全体において人権尊重の責任を果たす努力をしていくことを宣言
  • 人権に配慮した購買行動を行い、社会的責任を果たすことを表明
  • 本質研究に基づく技術で、地球環境、生物多様性、人権への影響を真に最小化しながら、多様な顧客・社会・未来に向けて価値を最大化すると表明

【戦略】

企業理念「花王ウェイ」に示すように、花王のパーパスは「豊かな共生世界の実現」です。これはまさしく自然との共生を示したものです。
花王は、生物多様性に関連するKLPの推進を通じて、ネイチャーポジティブの実現をめざしています。KLPの中で、生物多様性に関連の深いテーマは、「責任ある原材料調達」「脱炭素」「ごみゼロ」「水保全」「大気および水質汚濁防止」「責任ある化学物質管理」「人権の尊重」等が挙げられます。

従来から行われてきた活動を再整理し、また、戦略をより強固なものとするために、TNFDのLEAP分析に則り、バリューチェーンの上流、直接操業、下流において、自然に関する依存と影響因子を抽出しました。得られた結果に対して、自社事業活動への影響と、自然・社会・ステークホルダーへの影響の2軸で整理を行いました。分析にはENCOREやGISデータ、公表されているフレームワークやガイドライン、レポート、事例調査等を活用しました。

特に重要度の高いテーマは下記の通りです。

  • 「森林破壊」:人口増加や経済と花王のビジネス伸長により、パーム油や紙・パルプの需要が増加する中で、森林破壊を伴う新たな開発をせずに原材料を確保するための活動が求められます。
  • 「環境中への排出」:製品使用後に家庭から排出される生活排水中に含まれる物質の量や種類によっては、環境や生態系への影響が懸念されます。
  • 「水資源の利用」:生産拠点における過度な水の利用は、周辺地域あるいは流域の生態系へ影響を与えるおそれがあります。製品の「使用場面」における水不足は、生活者の日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
  • 「廃棄物の排出(主にプラスチック容器)」:使用後の容器の不適切な処理によるプラスチック汚染の増加が懸念されます。

これらの項目に対し、「自然共生シナリオ」と「成り行きシナリオ」を立て、想定されるリスクに対する2050年の財務インパクトを見積もりました。
「自然共生シナリオ」は、世界や花王がめざす姿であり、大きな社会変革が必要になるものの自然と経済が両立する世界です。質とともに環境に配慮した製品やサービスに集約され、サプライチェーンの集中化が進む世界観を描きました。この世界では、気候・生態系共に回復し、自然保護関係の規制等が厳格化、必要な技術革新が進むシナリオを立てています。また、生活者が環境に配慮した製品を選ぶようになります。
一方、「成り行きシナリオ」では、現在のやり方が踏襲され、このまま自然の劣化が進んでしまう世界です。自国優先で自然環境が劣化しても政治や規制の介入が限定的であり、生活者の環境意識はあまり向上せず、価格重視の大量消費の購買行動が続くと想定しています。事業インパクトを見積もるために、リスク顕在化の経路を立て、見積もりに必要なパラメーターが収集できたものに対して事業インパクトを見積もりました。
なお、自然関係のパラメーターは時間軸をそろえた収集が困難ですが、2050年の予測データがあるものに関しては、2050年時の値にそろえて見積もりを行いました。

財務インパクトが大きいものとしては、シナリオによらずパーム油・パーム核油価格の変動が想定されました。一方で、自然共生シナリオにおいてのみ、EUDR規制*5 への対応が不十分であった場合に発生する課徴金(EUDR規制に準ずる規制がグローバルに広がるケースを想定)やプラスチック容器課税が挙がってきました。

  • * 5 EUDR規則。EU Deforestation Regulation:欧州森林破壊防止規則。森林減少防止を目的として、EU域内で流通する特定の品目に関し、当該品目の生産において森林減少を引き起こしていないことの確認(森林デューデリジェンス)等を義務化するもの。

2050年財務インパクト予測と花王の対応状況

マテリアリティ リスク要因と財務インパクト(単位:億円) 対応状況と効果(単位:億円) *対応費用
リスク要因 自然共生
シナリオ
成り行き
シナリオ
花王の対応状況 自然共生
シナリオ
成り行き
シナリオ
リスク 森林破壊 パーム油の調達コストの上昇 -475 -416
  • 省資源高付加価値処方化
  • 代替え原料開発
  • 小規模農園支援(SMILE,収量アップ)
現時点算定困難 現時点算定困難
木材パルプの調達コストの上昇 -13 -11
  • 省資源高付加価値処方化
現時点算定困難 現時点算定困難
EUDR対応不十分による
課徴金の支払い
-620 -64
  • RSPO認証品の購入費用
-400* -400*
  • トレーサビリティ確保費用
    (森林フットプリント等)
-10* -10*
上記諸対応による課徴金回避 +620 +64
不買運動による売り上げ減少 -57
  • トレーサビリティ確保
    (森林フットプリント実施)
+57
水資源の使用 操業停止期間中の
売り上げ減少額
-44 -84 節水型製造技術の開発 現時点算定困難 現時点算定困難
水道料金の上昇 -6
  • 水使用量の削減
  • 水のリサイクルやカスケード利用
+2
環境水中への排水 賠償金の発生 -13 法令より厳しい基準での排水管理 現時点算定困難 現時点算定困難
プラスチック汚染 プラ容器の調達コストの上昇 -2 -54 リデュースイノベーション、詰め替え 現時点算定困難 現時点算定困難
プラスチック課税 -115 リサイクルイノベーション
  • 再生プラスチック導入
  • 水平リサイクルの実用化
+104
不買運動による売り上げ減少 -57 +57
機会 再生農業 2030年グローバル市場規模 105兆円

*7,000億ドル、@150円/$換算

出典:WEF 「The Future Of Nature And Business」
  • 高濡れ技術による、製品研究開発
    > スマート農業等
  • 土壌物理制御技術による、製品研究開発
    > 土壌改良剤、Bio Stimulants等

これらの財務インパクトは、花王が適切な対応を取ることで縮小ないし回避可能なものです。
花王は優先するテーマおよび地域から活動を進めています。たとえば、パーム農園までのトレーサビリティの確認や衛星を使った森林フットプリントの評価を進めることで、EUDR規則にも対応していきます。そして、すべてをパーム油、パーム核油に頼らなくても済むように代替原材料への転換や省資源化設計の推進により、原料価格の上昇や認証に伴うコスト負担の縮小を図っていきます。
また、プラスチックに関するリデュースイノベーションとリサイクルイノベーションにより、プラスチックに関する財務インパクトも最小化できると見ています。
これらリスク対応の活動の成果はそのまま市場における競争力向上やビジネス機会の拡大、利益増大につながる可能性があると考えています。

また花王は、主要な原料であるパーム油、パーム核油に関して、持続可能でかつ森林破壊と土地転換を起こさない原料調達に向けて、そして新たな事業機会としての再生農業分野に取り組むための準備を進めています。
一般的に、土壌の健全性と植物の生育には相関があることが知られています。もし、パーム農園における土壌の健全性を良好に保つことができれば、より長期的にパーム収量を確保することができ、新たな農園開発による森林破壊や土地転換の抑制につながるのではないかと考えています。土壌の健全性を評価する指標の例には、土壌水分量と土壌有機物量があります。しかしながら、パームにおける土壌健全性を広範囲で検討した例が少なく、収量低下のリスクを低減し、あるいは新たな機会創出に向けた取り組みを開始する候補地を絞り込む手段が限られていました。

パーム農園のイメージ。従来法は特定の場所でサンプリングした土壌を化学分析。(評価はごく一部の場所に限られる)

そこで花王は、外部機関の協力を得て、人工衛星データを使った土壌健全性の評価に取り組みました。インドネシアのリアウ州、北スマトラ州、西カリマンタン州、アチェ州、ジャンビ州は、花王と取引があるミル数が多い地域です。ミル周辺にある農園の土壌の状態を評価した結果、農園によって土壌水分量*6 や有機物量*6 に差がある(土壌水分量は中央値に対して±15%程度、土壌有機物量は中央値に対して±3%程度の差がある)ことがわかりました。一般的には、土壌水分量や有機物量が適当な範囲にない場所は植物の生育に不利であることから、リスク低減や機会創出の取り組みを行う候補地になりうるものと考えています。ただし、植物の生育は土壌水分量や有機物量だけで決定されるものではなく、現地との対話や追加の調査を行い、次のアクションへとつなげていきたいと考えています。
以下に、人工衛星による観察データ等を用いて、インドネシアにおける土壌健全性を評価した結果を示します。

  • * 6 土壌水分量:土壌の単位重量当たりに含まれる水分量の比率、土壌有機物量:土壌の単位重量当たりに含まれる有機物量の比率

インドネシアにおける広範囲の土壌健全性を示す地図

土壌中の水分量の分布図

インドネシアにおける広範囲の土壌健全性を示す地図

土壌中の有機物量の分布図

洗浄剤以外の製品に関する分析結果

化粧品や紫外線ケア製品に使用されている原料は多岐にわたるため、すべての原料を分析対象とすることは効率的ではありません。そこで、花王にとって特に重要な原料(使用量が多い、あるいは性能や商品コンセプトを特徴づける原料、代替えの難易度など)に絞り込みを行い分析を行いました。さらに、それらの原料をコモディティ原料(HICL*7 に掲載されている原料)および非コモディティ原料(HICLに掲載されていない原料)の視点と有機物か無機物かという視点で整理し、5つの原料を分析対象として選定しました。

分析対象の原材料の主要生産地から製造拠点、販売国までのバリューチェーン全体に渡って分析を進めました。得られたリスクはすでに洗浄剤の分析から得られたリスクに帰属可能で、新たに追加しなければならないような化粧品“固有”のリスクは得られませんでした。また、サニタリー製品に関する詳細な分析は行っていませんが、サニタリー製品を構成する原材料はパルプやプラスチック類であり、こちらも洗浄剤の分析結果(マテリアリティとしての森林破壊や廃棄物)に統合できると考えています。

  • * 7 HICL:High-Impact-Commodity-List。自然への影響が大きいとされるコモディティ(原材料)をリスト化したもの。SBTs for Nature(科学に基づく自然関連目標)ガイダンスのv1.0に掲載。

【リスクとインパクトの管理】

1. バリューチェーンにおける生物多様性への依存と影響、並びにリスクと機会の把握

花王は、複数の事業領域にわたる花王の主要製品である洗浄剤、並びに化粧品や紫外線ケア製品に対して、TNFDが推奨するLEAP分析の手法に則り、事業と自然との接点を特定し、バリューチェーンにおける生物多様性への依存と影響、並びにリスクと機会を把握しています。

2. ミティゲーションヒエラルキー(回避、最小化、現場での機能回復/復元)に従った活動

花王は、KLPの推進を通じて、生物多様性の損失を減らし回復させることにチャレンジしています。

3. 拠点および周辺地域における生物多様性の保全と回復活動

花王の各拠点では、生物多様性の保全や回復を目指して、国や地域の特性に合わせて独自の工夫を加えた自主的な活動を長年積み重ねています。また、生物多様性に関するイベントの開催や外部プログラムへの参加を通して、社員が生物多様性に対する理解を深める機会を提供しています。日本国内事業所のうち和歌山、川崎、鹿島の3事業所は、環境省が定める「自然共生サイト」に認定されています。

現在花王は、より精緻で持続可能なモニタリング手法の導入に取り組んでいます。花王独自の環境RNA評価技術は、水環境中の生物を捕捉することなく、種の存在や生息状況、さらには生体のストレス状態や生態系の変化を網羅的かつ高感度に把握することができます。現在、和歌山事業場において環境RNA技術を用いたパイロット調査を実施しており、現場での適用性評価、検出精度の検証および既存調査手法との比較検討を進めています。本技術は従来調査を補完し、回復活動の効果検証や影響評価の高度化に寄与すると考えられます。

4. ネイチャーポジティブに資する技術開発とビジネスの創出

ネイチャーポジティブに向けたビジネス機会として、市場ポテンシャル、競争環境、自社事業とのシナジーといった点から、候補となる分野を調査しました。たとえば、再生農業に代表される生物多様性配慮型の農業は、市場ポテンシャルも大きく、花王の有するアグロ関連技術・ビジネスが生かせる可能性がある分野のひとつです。その他、BtoC企業として「地球にやさしい消費」「循環型・資源効率型モデルの構築」などが挙げられました。

【測定指標とターゲット】

LEAP分析で特定したマテリアリティに対して、下記の指標を用いて活動を行っています。

森林破壊ゼロ、土地転換ゼロに向けた取り組み

花王は、森林破壊ゼロ、土地転換ゼロをめざして、さまざまな活動を行っています。TNFDによるコア開示指標では、「高リスクコモディティの量とその認証品の量」の開示が奨励されており、花王にとってはパーム油、パーム核油が該当します。2024年12月期の認証油の購入量(Book&Claimを含む)は20万トンでした。その他のコア開示指標(管理している土地の面積や各種土地利用面積の変化)に関しては、農家までのトレーサビリティの確保を進めるとともに、衛星を使った森林フットプリント分析を始めており(インドネシアのリアウ州を対象に実施済み)、将来的には定量的な数値として把握することが可能になると考えています。

持続可能なパーム油調達に向けた花王の活動については、パームダッシュボードを参照ください。

また、花王は貴重な資源であるパーム油やパーム核油について、最小限の使用量で最大限活用するための技術開発を進めています。パーム油の中の固体部分はこれまで界面活性剤としての用途が限定されていました。そこで花王は、界面科学や界面活性剤の合成技術を適用することで、「バイオIOS」という、品質の高い界面活性剤を生み出しています。「バイオIOS」は、2019年より衣料用濃縮液体洗剤「アタックZERO(ゼロ)」で実用化されています。

水資源の利用と環境中への排水

TNFDでは、「排水(排水汚染)」に関わる開示指標として、「環境中への排水量」や「排水中の主要汚染物質の濃度」の開示が推奨されています。花王では各拠点における「環境中への排水」管理として、法令に定められた規制値よりも厳しい管理基準を設けています。2025年の全生産拠点の漏出件数は0件でした。KLP「水保全」では、花王グループの全拠点を対象に、2030年までに製品ライフサイクル全体で2017年比10%削減(売上原単位)を目標として活動を進めています。なお、TNFDでは地域性を加味した目標設定が推奨されています。花王は、これまでの分析から、水資源の利用の観点から重要となる、渇水地域にある拠点(直接操業)の特定を終えています。そして、花王は各拠点での取水量データを蓄積しており、現在は、各製造の特性に応じた水管理目標(取水関連)を設定中で、2026年に公表する計画です。

廃棄物の排出(主にプラスチック容器)

TNFDでは「プラスチック包装材の使用量」と「再生樹脂使用量」を指標としています。KLPごみゼロのロードマップでは、2030年に包装容器で使用したプラスチック総量をピークアウトさせ、使用量の50%以上を再資源化する、2040年までに「ごみゼロ(花王のプラスチック包装容器使用量と、花王がプラスチック再資源化に関与した量が等しい状態)」、2050年までに「ごみネガティブ(花王のプラスチック包装容器使用量よりも、花王がプラスチック再資源化に関与した量が上回る状態)」をめざしています。2024年のプラスチック包装材の使用量は86千トン、再生プラスチック使用量は6.4千トンでした。

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