Q.

【成分・働き】界面活性剤とは?


A.

界面活性剤は、界面(物質の境の面)に作用して、性質を変化させる物質の総称です。構造としては、1つの分子の中に、水になじみやすい「親水性」と、油になじみやすい「親油性」の2つの部分を持っています。この構造が、本来、水と油のように混じり合わないものを、混ぜ合わせるのに役に立ち、汚れを落とす洗浄の働きをするのです。代表的なものに石鹸(脂肪酸塩)があります。また、洗剤の他にも、医薬品、化粧品、食品などの成分としても広く使われています。

界面活性剤のモデル

 マッチ棒の頭部分のような形の水になじむ部分と、棒部分のような油になじむ部分を持つ界面活性剤のモデル図


界面活性剤が汚れを落とすしくみ
界面活性剤には「浸透作用」「乳化作用」「分散作用」という3つの作用があり、それらが総合的に働いて、衣類や食器などの汚れを落とします。

  • 浸透作用
ウールなどの繊維を水に浸しても、繊維の中に水はなかなか入っていかず、なじみません。これは、界面張力(水の分子同士が引き合う力)が強く働いているためです。水に界面活性剤を入れると界面張力が下がり、繊維の表面と水がなじみやすくなるため、繊維の中に水が簡単に入っていきます。これを浸透作用といいます。
ビーカーに入れた水にウール繊維が浮いているところと、洗剤溶液に入れたウール繊維が沈んでいる写真

  • 乳化作用
水に油を混ぜようとしても、分離してしまいます。しかし、ここに界面活性剤を加えると、界面活性剤の親油基が油の粒子を取り囲み、親水基が外側に並ぶため、水と油が均一に混ざり合うことができます。これを乳化作用といいます。天然の乳化物の代表が牛乳です。牛乳は、含まれるたんぱく質が界面活性剤の働きをして、水と脂肪が混ざり合った状態を保っています。
ビーカーに入れた水に油が浮いているところと、洗剤溶液に入れた油が乳化して白濁している写真

  • 分散作用
ススのような粉体を水にいれても、混ざり合わずに表面に浮かんでしまいます。ここに界面活性剤を入れると、ススの粒子は界面活性剤の分子に取り囲まれて、水中に分散します。このように粉末を水に散らばらす作用を分散作用といいます。
ビーカーの水に入れた黒いススが浮いているところと、洗剤溶液に入れたススが分散して黒い水になっている写真

洗剤や石けんは上に述べたように、界面活性剤の三つの作用が総合的に働いて、汚れを落とすのです。
界面活性剤が汚れを取り囲んで浮き上がらせて落とすメカニズムのイメージと写真


この情報で解決されましたか?

送信できませんでした。しばらく経ってからお試しください。

こちらのフォームにお寄せいただいたご意見への回答は行っておりません。
回答をご希望の場合は、お問い合わせ一覧よりお問い合わせをお願いいたします。

送 信 中…

ご回答いただきありがとうございます。
今後の参考にさせていただきます。

その他のQ&Aを探す

キーワードから探す

Page Top