界面活性剤は、界面(物質の境の面)に作用して、性質を変化させる物質の総称です。構造としては、1つの分子の中に、水になじみやすい「親水性」と、油になじみやすい「親油性」の2つの部分を持っています。この構造が、本来、水と油のように混じり合わないものを、混ぜ合わせるのに役に立ち、汚れを落とす洗浄の働きをするのです。代表的なものに石鹸(脂肪酸塩)があります。また、洗剤の他にも、医薬品、化粧品、食品などの成分としても広く使われています。
界面活性剤のモデル
界面活性剤が汚れを落とすしくみ
界面活性剤には「浸透作用」「乳化作用」「分散作用」という3つの作用があり、それらが総合的に働いて、衣類や食器などの汚れを落とします。
ウールなどの繊維を水に浸しても、繊維の中に水はなかなか入っていかず、なじみません。これは、界面張力(水の分子同士が引き合う力)が強く働いているためです。水に界面活性剤を入れると界面張力が下がり、繊維の表面と水がなじみやすくなるため、繊維の中に水が簡単に入っていきます。これを浸透作用といいます。
水に油を混ぜようとしても、分離してしまいます。しかし、ここに界面活性剤を加えると、界面活性剤の親油基が油の粒子を取り囲み、親水基が外側に並ぶため、水と油が均一に混ざり合うことができます。これを乳化作用といいます。天然の乳化物の代表が牛乳です。牛乳は、含まれるたんぱく質が界面活性剤の働きをして、水と脂肪が混ざり合った状態を保っています。
ススのような粉体を水にいれても、混ざり合わずに表面に浮かんでしまいます。ここに界面活性剤を入れると、ススの粒子は界面活性剤の分子に取り囲まれて、水中に分散します。このように粉末を水に散らばらす作用を分散作用といいます。
洗剤や石けんは上に述べたように、界面活性剤の三つの作用が総合的に働いて、汚れを落とすのです。