花王と弘前大学COI・COI-NEXTとの取り組み

(1)COI・COI-NEXTとは

文部科学省では、潜在している将来社会のニーズから導き出されるあるべき社会の姿、暮らしの在り方として3つのビジョンを設定し、このビジョンを基に10年後を見通した革新的な研究開発課題を特定した上で、既存分野・組織の壁を取り払い、企業だけでは実現できない革新的なイノベーションを産学連携で実現するため、平成25年度から「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」を開始しました。その結果、全国18の拠点で一つ屋根の下、大学や企業の関係者が一体となって研究開発が強力に推進されてきました*1
COIの取り組みは一定の成果が得られたとして、令和2年度より共創の場形成支援プログラムとして、大学等が中心となって未来のありたい社会像(拠点ビジョン)を策定し、その実現に向けた研究開発を推進するとともに、プロジェクト終了後も、持続的に成果を創出する自立した産学官共創拠点の形成を目指す産学連携プログラムを開始しました。この取り組みをCOI-NEXTと呼び、令和7年時点では全国で16拠点が活動を行っています*2

(2)弘前大学の取り組み

弘前大学のCOI拠点(以下、弘前大学COI)では、長年にわたって実施してきた「岩木健康増進プロジェクト・プロジェクト健診(以下、岩木健診)」のビッグデータを解析し、認知症や生活習慣病の早期発見と予防方法の提唱、そして社会実装を行う取り組みが行われています。これにより、青森県の「短命県脱出」と元気な高齢社会の実現に向けた目標を追求しています。
弘前大学COIは、健康を基軸にした魅力的な産業の創出、経済発展の推進、そして全世代が生きがいを持ちながら働き続けることができる「well-beingな地域社会モデル」の実現を目指しています。これには、多様なステークホルダーとの連携が重要であり、企業、地方自治体、関係機関、市民、若い世代などが協力してインキュベーション環境を形成していくことが求められています。この文科省が開始したCOI STREAMは2021年度で終了しましたが、現在、文部科学省・国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する大型研究支援プログラム「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」において弘前大学はCOI-NEXT拠点(以下、弘前大学COI-NEXT)となり、拠点名を「健康を基軸とした経済発展モデルと全世代アプローチでつくるwell-being地域社会共創拠点」と名付けました。ここでは、健康を基軸に、地域の人々を健康にする魅力的な産業を創出することによって経済発展し、全世代の人々が生きがいをもって働き続けることができ、心身共にQOLの高い状態での健康寿命を延伸する、well-beingな地域社会モデルの実現というビジョンを達成しようとしています*3

(3)花王の取り組み

弘前大学大学院医学研究科が進めてきた岩木健診のビッグデータを解析・活用することを目的として、花王は2015年より弘前大学COI、弘前大学COI-NEXTに参画してきました。今後も、青森県の健康寿命延伸から日本全国、あるいは世界に通用するヒューマンヘルスケア研究の推進と活用を進めて参ります。

引用文献

  • * 1 https://www.jst.go.jp/coi/index.html
  • * 2 https://www.jst.go.jp/pf/platform/outline.html
  • * 3 https://coi.hirosaki-u.ac.jp/overview2

(2025年10月現在)

Page Top