花王株式会社(社長・長谷部佳宏)は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する「バイオものづくり革命推進事業」*1 において、「未利用バイオマス資源を活用した産業を創出する糖化酵素供給プラットフォームの構築」を提案し、このたび採択されました。今後、糖化酵素に関する研究開発を進めるとともに、バイオものづくりを行う企業へ糖化酵素を供給するプラットフォームの構築を行います。
「バイオものづくり革命推進事業」は、古紙やパルプ、食品残渣など未利用バイオマス資源を原料に、微生物などの働きを活用して有用な化合物や製品を生み出すことを目的とし、研究開発や実証を支援する取り組みです。バイオエタノールやSAF(持続可能な航空燃料)の製造をめざすプロジェクトの多くでは、未利用バイオマスを活用するにあたり、バイオマスを分解して糖に変換する糖化酵素が必要不可欠です。しかしながら、有用な糖化酵素を国内で安定的に供給する体制は十分でなく、整備が課題となっています。
そこで花王は、長年にわたり培ってきた独自の技術を活用し、実用性の高い糖化酵素の創出をめざして、研究開発から生産技術、製造設備設計までを一体的に推進します。あわせて、それら成果をバイオものづくりを行う企業へ展開し、糖化酵素を供給するプラットフォーム構築に取り組んでまいります(図1)。

図1.花王がめざす糖化酵素供給プラットフォームのイメージ
バイオマスの種類によって分解に最適な糖化酵素は異なるため、多様な糖化酵素の開発に取り組みます。あわせて、糖化酵素の働きを体系的に蓄積したデータベースを構築し、効率的にバイオマスを分解できる糖化酵素の開発をめざします。
糖化酵素を効率的に生産する技術構築をめざし、糖化酵素をつくり出す微生物の改良や生産方法の開発を行います。
SAFやバイオ製品などの製造時に、糖化酵素を安定かつ効率的に使用できるよう、ユーザーの工場内で糖化酵素を製造する「オンサイト製造設備」の設計検討を進めます。
①~③で得られた成果をもとに、バイオものづくりの実証を支援します。さらに、関係者との連携で改良と検証を継続的に行うことで、糖化酵素の性能や使いやすさを高めていくしくみの構築を行います。
花王は、30年以上にわたって汚れを分解する成分として洗剤に酵素を用いており、酵素の開発から生産に至るまでの技術や知見を蓄積しています。これらを活かし、2023年からケミカル事業部門でバイオ事業を本格的に開始。バイオエタノール製造用の糖化酵素*2 や、発酵生産による没食子酸*3 、バイオ製品の製造工程を支えるプロセス薬剤なども供給しています。今回採択された「未利用バイオマス資源を活用した産業を創出する糖化酵素供給プラットフォームの構築」を通して得られた知見は、今後のバイオ事業に展開していく予定です。
花王は、産業界に向けたケミカル事業を展開しています。“精密界面制御技術”を強みに、油脂および高分子に関する豊富な研究知見を応用した多岐にわたる製品やソリューションを提供。身近な生活用品をはじめ、電子材料や農業、道路土木資材など、幅広い領域で産業界や社会の課題解決に取り組んでいます。