2025年05月08日

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EVA(経済的付加価値)およびROIC(投下資本利益率)について

2025年3月21日に開催された当社定時株主総会において、EVA(Economic Value Added:経済的付加価値)およびROIC(Return On Invested Capital:投下資本利益率)に関するご質問を株主の皆さまよりいただきました。当社は金融市場と透明性のあるコミュニケーションを重視しており、これらの指標の活用および算出方法について、以下のとおり追加でご説明いたします。

1. 当社の目標とする経営指標

当社は、EVAおよびROICを経営の主指標としています。1999年にEVAを経営指標として採用し、「EVA経営」を推進してまいりました。ROICは、2023年8月に公表した中期経営計画「K27」より、主要な経営指標として導入しております。両者の本質は、株主等の資金提供者の視点を持って、資本を効率的に活用し利益を生み出すことにあります。EVAを継続的に増加させていくことが企業価値の増大につながり、すべてのステークホルダーの長期的な利益とも合致するものと考えています。そして事業規模の拡大を図りながら、EVAを増加させることを事業活動の目標としており、設備や買収等の投資評価、年度ごとの業績管理や報酬制度等に活用しています。さらにROICにより事業ポートフォリオマネジメントを強化することで、EVA経営の深化を図っています。ROICは、各事業における資本コストに対する意識を高めるとともに、それぞれの特性や競争環境を踏まえた管理を可能にします。事業別に利益と併せて資本効率も重視することにより、成長事業への重点投資と健全なポートフォリオの改善を実施し、EVAの向上を目指します。

花王の中期経営改革「K27」進捗の図

2. 指標の定義および算定方法

EVAおよびROICの定義および算定方法は以下の通りです。

定義 NOPAT 投下資本
EVA 資本コストを上回る価値創造の「絶対額」(金額で示す) 当期利益+税金考慮後の支払利息および一時費用(構造改革費用等) 資本計+借入金+社債+その他金融負債の一部*1 +過去償却済みのれん等*2
EVA=調整後NOPAT-(調整後投下資本*3 ×WACC*4
ROIC どれくらい効率的に稼いでいるかを見る指標(比率%で示す) 当期利益+税金考慮後の支払利息 資本計+借入金+社債+その他金融負債の一部*1
ROIC=NOPAT/投下資本*3

EVAとROICでは、計算過程で使用する投下資本とNOPAT(税引後営業利益)の定義が異なっております。EVAでは持続的な企業価値の増大を促進するために、NOPATに対し構造改革費用等の一時費用を資本化し加算することもあります。投下資本は、上表の通り過去に償却したのれん等の費用を加算し、またNOPATに加算した構造改革費用等の一時費用を加算することもあります。今後は一時費用を加算した場合には、EVAでは「調整後」と明記させていただきます。

  • * 1 リース負債含まず
  • * 2 旧会計基準(日本会計基準)下で償却済みであったのれん等は投下資本に反映してまいりました。これにより帳簿上は消滅した投資も投下資本に含め、それを上回る価値を毎年生み出すべく「高いハードル」を設け、企業として真に付加価値を生み出しているかを厳格に評価しています。
  • * 3 該当年度の期首、期末の平均値
  • * 4 現行5%で計算

3. EVAにおける資本コスト率の設定と活用

EVAの算出における資本コスト率はWACC(Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト)を採用し、1999年EVA導入時より以下の考えにも基づき設定しております。

  • CAPM(Capital Asset Pricing model:資本資産評価モデル)に基づき、外部専門家の助言を得ながら毎年検証
  • 中長期の投資の意思決定に用いることから安定性を考慮
  • 現在は花王グループとして5%が妥当な水準であると判断し、外部データとの整合性も確認

4. ROIC計算方法

当社では中期経営計画「K27」を公表した2023年8月より、ROICを経営指標としております。2023年5月発行の「花王統合レポート2023」にて開示しておりましたROICは、EVAの算定に用いているNOPATおよび投下資本で算出しておりました。そのため、2023年統合レポートと2024年以降の統合レポートでは過年度におけるROICの数値が一致しておりません。2023年8月以降は、K27の目標値も含めてすべて一貫した前述の計算式を用いて過去の実績値についても遡及再計算を実施し、公表しております。

ROIC導入の経緯

5. より分かりやすい開示に向けた取り組み

今後は、EVAおよびROICの構成要素(NOPAT、投下資本、WACC等)について、図解、数値、FAQ形式などを活用し、統合レポートや決算説明資料等における説明の一層の充実を図ってまいります。また、指標の定義や算出方法に変更が生じた場合には、過去との比較が可能となるよう、変更前の定義との併記・説明も適宜行ってまいります。

6. すべての株主との対話を重視して

当社は、株主の皆さまの多様なご意見を重要な資産と捉えており、どのようなご質問・ご懸念にも真摯に対応してまいります。

今後も透明性のある情報開示を通じて、株主の皆さまに安心して投資いただける企業であり続けるとともに、長期的な企業価値および株主価値の向上に努めてまいります。

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