参考資料: 2024年07月31日

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花王が独自開発した皮膚感作性試験代替法「EpiSensA」が
経済協力開発機構(OECD)テストガイドラインに収載

花王株式会社(社長・長谷部佳宏)が開発した、皮膚感作(アレルギー)性試験代替法「EpiSensA(エピセンサ: Epidermal Sensitization Assay)」が、2024年6月25日、公的試験法として世界的に合意されているOECDテストガイドライン*1 に収載されました*2 。「EpiSensA」は、既存代替試験法の課題であった油溶性原料を含む多種多様な原料の評価が可能であり、人工皮膚モデル*3 を用いた皮膚感作性試験代替法としては世界で初めての収載です。同ガイドラインに収載されている花王の皮膚感作性試験代替法は、2016年に株式会社資生堂と共同開発した「h-CLAT*4 」に続き2つ目となります。
また、花王は、本技術の普及を目的とし、単独で権利化している「EpiSensA」の基盤技術に関する特許(日本国特許第6031221号)を2024年8月末までに放棄することを決定しました。これにより「EpiSensA」は、今後、日本国内を含む全世界で広く使用可能となります。

皮膚感作性試験代替法「EpiSensA」について

「EpiSensA」は、感作成立の際に角化細胞で生じる抗酸化応答および炎症応答に着目し、人工皮膚モデルに評価したい原料を塗布した際のマーカー遺伝子の発現応答から皮膚感作性を判定する試験法です。既存代替試験法では、評価したい原料を培地(水溶液)に溶かす必要があったため、油溶性原料は評価ができないことが課題でした。この課題を克服するために、2011年より人工皮膚モデルを用いる次世代型の代替試験法として「EpiSensA」の開発を進めてきました。
「EpiSensA」で使用する人工皮膚モデルは、実際の皮膚と類似の構造を有することから、原料を皮膚に塗布する場合と同じように評価することが可能です(図1)。既存代替試験法の課題であった油溶性原料の評価も可能となり、産業界の新規化学物質の開発に大きく貢献すると考えます。

図1.EpiSensAの試験イメージ 角層と角化細胞からなる人工皮膚に評価したい原料を塗布。感作性物質が存在すると、マーカー遺伝子の発現が増強する。

図1.EpiSensAの試験イメージ

動物を用いない試験法に関する取り組みと展望

花王は、動物を用いることなく皮膚感作性を精緻に評価できる技術の開発と普及を進めています。2016年には、皮膚免疫細胞の働きに着目し、株式会社資生堂と共同開発した代替試験法「h-CLAT」が、OECDテストガイドラインに収載されました。さらに今回、既存代替試験法の課題を克服した次世代型の代替試験法「EpiSensA」が、JaCVAM*5 が主導するバリデーション評価*6 を経て、人工皮膚モデルを用いた皮膚感作性試験代替法としては世界で初めて、同ガイドラインに収載されました。
今後は、他の感作成立過程の現象を再現する代替法と、今回の「EpiSensA」を組み合わせた評価体系の開発、標準化、普及をInternational Collaboration on Cosmetic Safety(化粧品の安全性に関する国際協力)とも連携しながら進めていきます。

  • * 5 Japanese Center for the Validation of Alternative Methods
  • * 6 複数の施設において、試験法の有用性、再現性などを確認するための試験

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