花王とアース製薬、タイにおいて“虫（蚊）ケア”領域で協業

デング熱は蚊が媒介するウイルス性感染症のひとつです。感染者の多くは子どもで、重症化すると死に至ることもあります。現在、デング熱には、予防するワクチンや治療薬がないため、デングウイルスの感染を防ぐためには、媒介する蚊に刺されないことや、蚊の発生を防ぐことが重要な対策となります。経済的な負担が大きいといった理由で、東南アジア諸国を中心に長年の社会課題となっています。近年、地球温暖化や急速な都市化によりデングウイルスを媒介する蚊の生息エリアが拡大していることから感染者が増えており、2023年のデング熱感染者は世界で過去最多を記録しています。
花王は、これまでとは違う視点で蚊から身を守る独自の研究を進めており、2023年、蚊の羽や体表面を濡らすことで飛行を妨げ、ノックダウン状態にする新たな技術を開発しました。この技術は、従来の化学合成殺虫成分を使用しないという点で、使用場面の拡大に寄与できる可能性があります。
アース製薬は1980年にタイで、ARS CHEMICAL(THAILAND)CO.,LTD.（現EARTH (THAILAND) CO., LTD.）を設立し、現在では虫ケア用品「ARS」ブランドをはじめとする商品開発・生産・販売・物流までを一手に担う現地法人を展開しています。タイの生活習慣やニーズを掘り起こし、現地に根づいたビジネスで成長を遂げてきました。また商品のみならず、保健省や学校などの教育機関と共に消費者に向けた啓発活動も進めています。

このたび両社は、蚊による感染症課題の解決に貢献するという共通の志のもと、新しい視点の蚊を駆除するスプレーを展開します。本商品は、デング熱で苦しむ人々の一助となると考えます。

2024年7月／タイ

アース製薬は、タイ国内において虫ケア用品などの快適な暮らしをサポートする日用品で売上を伸ばし、現在高いシェアを築いています。新しい視点で蚊の駆除スプレーを投入することで、今後もタイ市場においてシェア拡大をめざしていきます。

花王株式会社　代表取締役　社長執行役員　長谷部 佳宏
花王は、中期経営計画「K27」のビジョンとして「未来のいのちを守る」を掲げています。なかでも、世界的な脅威となっている蚊を媒介とした感染症から人々のいのちを守ることは喫緊の課題であり、これまでにないアプローチで蚊から身を守る研究を進めてまいりました。本商品に採用している「水」を巧みにコントロールして蚊を駆除する技術を、アース製薬株式会社さまとともにタイの生活者の皆さまにお届けし、蚊の脅威のない安心安全な暮らしの実現に貢献することをめざしてまいります。

アース製薬株式会社　代表取締役社長CEO　川端 克宜
アース製薬は『生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。』という経営理念のもと、感染症トータルケアカンパニーとして、世界中の人々の健康と快適な生活の実現に向き合い、虫を媒介して罹患する恐れのある感染症予防に取り組んでまいりました。今回、花王株式会社さまとお互いの考えを共有し、新たな技術とのコラボレーションによって新領域の開拓を行い、新しい価値を持つ商品開発を実現しました。日本はもとより世界中の人々の暮らしに寄り添い、さらに豊かで快適な生活が実現できるよう貢献してまいります。