保湿ケア
皮膚最外層の角層は、生体内への異物の侵入を防ぐバリア機能と肌のうるおいを保つはたらきを有しています。このはたらきが低下すると肌はうるおいを失い、外部刺激によって肌トラブルが起こりやすい「乾燥性敏感肌」になります。この角層のはたらきに重要な役割をはたすのがセラミドを主成分とした角層細胞間脂質です。健康な肌は、角層細胞間脂質がラメラ構造を形成し、角層細胞の隙間を埋め、その層間に水を保持して肌のうるおいを保ち、バリア機能を発揮します。
セラミドは配向しやすい反面、結晶化、析出しやすく、製剤中で十分な機能が発揮できない課題を有しています。花王では、健康な肌自身のうるおいを保持するメカニズムを保湿ケア製品に応用したセラミド機能成分の配合製剤の開発をめざしています。これまでに、物理化学的手法により結晶化抑制メカニズムを解析し、ラメラ構造を形成させる脂質会合制御技術を開発しました。
また、セラミド機能成分を角層に効率的に届けるために、ラメラ構造を保ちながら微細乳化分散する技術を開発しました*1 。セラミド製剤の技術の開発により、高い保湿効果とバリア機能の改善効果で、乾燥性敏感肌の敏感症状を改善できることを実証しました*2 。
花王は、研究開発部門内での連携のほか、大学などの外部機関と協働しながら乾燥性敏感肌の肌状態やスキンケアの製剤化技術を分子レベルで解明し、すこやかで美しい素肌のための製品開発を進めています。
角層細胞間脂質のラメラ構造と皮膚の保湿メカニズム
微細乳化分散とラメラ構造を両立した製剤により角層への浸透量が向上