使用済み紙おむつの炭素化システムの開発

リサイクル技術

使用済み紙おむつは、年間200万トン以上がごみとして主に焼却処理され、燃えるごみの4~6%を占めると言われています。使用済み紙おむつは、多くの水分を吸収しているため、焼却炉の燃焼効率を悪化させる原因になります。
今後、高齢化による大人用紙おむつの使用量の増加に伴いごみの量が増えると予想されています。有効なリサイクル技術の確立が期待されている一方で、実現には多くの課題があります。

使用済み紙おむつリサイクルの抱える主な課題として2つ挙げられます。

  1. 使用済み紙おむつは排泄物を含み、2~4倍の重量になるため、保管・回収・運搬時にかさばり、悪臭の発生など衛生面の観点からも、頻繁な回収が必要となります。
  2. リサイクルするためには、構成素材を種類ごとに分離する必要がありますが、紙おむつはパルプと多種のプラスチックで構成されているため、種類ごとの分離が技術的に難しい側面があります。

花王では、介護施設などで利用実績がある既存のおむつ処理装置並びに生ごみの炭化装置をベースに、新たな「炭素化装置」の開発を進めました。2021年11月に、愛媛県西条市の保育施設に「炭素化装置」を設置し、実証実験を進めています。
また、「炭素化装置」から得られる炭素化した使用済み紙おむつの活用例として、保水・土壌改質剤、植物育成や下水処理への活用検討や、電子材料等の高度リサイクル素材への変換をめざし、研究を進めています。

開発した炭素化装置の写真(左側)、装置への使用済み紙おむつ投入の様子(中央)、炭素化した使用済み紙おむつの写真(右側)

炭素回収の高効率化、低エネルギー化、資源化の検討

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