環境調和型素材・セルロースナノファイバーの開発

素材開発

セルロースナノファイバー(幅:3nm、長さ:数百nm~数μm)は植物がつくり上げた究極のエコ素材であり、そのポテンシャルを引き出して最大限活用する技術や用途が待ち望まれています。

花王では、この水不溶ではあるが親水性の高いセルロースナノファイバーの界面を自在に制御することで、疎水性媒体中にでもナノ分散させる技術を開発しました。
技術ポイントは、計算化学により修飾基をぬれ性と立体斥力の観点で選定した2種類の修飾基をセルロースナノファイバー表面にグラフトさせる方法(図1)です。この新しい界面制御法により、これまで困難と考えていられていた疎水性樹脂中へのセルロースナノファイバーの孤立分散が可能となりました。

セルロースナノファイバーを効率的に分散させる「デュアルグラフトシステム」の概念図。セルロースナノファイバー(セルロース結晶)の表面に立体斥力を付与する少数の長鎖修飾基と濡れ性を付与する多数の短鎖を導入。

図1 デュアルグラフトシステム

さらにモルフォロジー解析により、樹脂中の分散状態の可視化に成功し、ナノネットワーク構造を形成していることを見いだしました(図2)。それにより、極少量の配合で従来の強化フィラーでは実現困難と考えられていた高強度、高靱性、低熱膨張性、高透明性等の特異的機能が明らかとなってきており、実用化に向けての評価を進めています。

疎水性樹脂/セルロースナノファイバーの複合材料の外観写真および原子間力顕微鏡(AFM)観察像。高い透明性を維持している一方で、AFM観察から樹脂中で微細なセルロースナノファイバーが緻密なナノネットワークを形成していることを確認。

図2 疎水性樹脂/セルロースナノファイバーの複合材料

花王は、これからもサステナブル社会への貢献をめざし、画期的な複合材料の開発に挑戦していきます。

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