衛生科学
手洗いをはじめとする感染対策は古くから知られていますが、COVID-19のパンデミックを経て以前より身近になりました。接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染といった複数の経路からの感染を防ぐために、ウイルスに対する高い有効性に加え、安心で使い続けやすい対策が求められています。
手指衛生の分野では、手指の皮膚に抗菌・抗ウイルス力が備わっていることを発見し(手指バリア)、そのメカニズムに基づいた技術開発を進めています。手洗いやアルコール消毒のような従来の手指衛生法では、瞬間的には病原体が除去されますが、そのあと何かに触れれば再度汚染される可能性があります。皮膚本来の力を高めることによって、手指衛生のレベルアップをめざしています。
手指バリアを可視化した様子(青色の着色部は大腸菌が生存していることを示す。)
空間衛生の分野では、エッセンシャルワーカーの安全な勤務を守ることを目的に、塵芥車向けウイルス除去剤を開発しました。塵芥車のごみ投入口で製剤を自動噴霧することで、手間をかけずにごみ袋に付着したウイルスから作業者を守っています。
これらの感染制御研究は、社内だけでなく社外の専門家とも連携しながら進めています。感染対策のために過度な手間をかけたり社会を分断したりすることなく、豊かな社会生活が持続できることを願って研究開発を続けていきます。