化粧品開発のための皮膚科学研究

皮膚科学

花王の皮膚科学研究は、長年こだわり抜く研究と、最先端技術開発を両輪とし、日々進化しています。

私たちは、皮膚のヒアルロン酸にいち早く着目し、40年以上研究を続けています*1-5 。体のいたるところでつくられるヒアルロン酸の多くは皮膚に存在し、組織内の水分環境を整えるだけでなく、細胞の増殖や分化、移動など、さまざまな生理機能を持っています。

花王では、皮膚におけるヒアルロン酸の合成や分解のメカニズムを世界に先駆けて解明し、その変化と光老化症状(シワやたるみ)との関係性などを明らかにしてきました。そして、ヒアルロン酸の合成と分解のバランスを保ち、適切な量を保つことが大切という考えのもと、優れた化粧品素材を多く開発してきました。

  • * 1 Sugiyama, Y., Shimada, A., Sayo, T., Sakai, S., Inoue, S. (1998). Putative hyaluronan synthase mRNA are expressed in mouse skin and TGF-β upregulates their expression in cultured human skin cells. Journal of Investigative Dermatology, 110(2), 116-121.
  • * 2 Sayo, T., Sugiyama, Y., Takahashi, Y., Ozawa, N., Sakai, S., Inoue, S., Ishikawa, O., Tamura, M. (2013). Hyaluronan synthase 3 regulates hyaluronan synthesis in cultured human keratinocytes. Journal of Investigative Dermatology, 118(1), 43-48.
  • * 3 Yoshida, H., Nagaoka, A., Kusaka-Kikushima, A., Tobiishi, M., Kawabata, K., Sayo, T., Sakai, S., Sugiyama, Y., Enomoto, H., Okada, Y., Inoue, S. (2013). KIAA1199, a deafness gene of unknown function, is a new hyaluronan binding protein involved in hyaluronan depolymerization. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 110(14), 5612-5617.
  • * 4 Yoshida H., Nagaoka A., Komiya A., Aoki M., Nakamura S., Morikawa T., Ohtsuki R., Sayo T., Okada Y., Takahashi Y. (2018). Reduction of hyaluronan and increased expression of HYBID (alias CEMIP and KIAA1199) correlate with clinical symptoms in photoaged skin. British Journal of Dermatology. 179(1), 136-144.
  • * 5 Endo, Y., Yoshida, H., Akazawa, Y., Yamazaki, K., Ota, Y., Sayo, T., Takahashi, Y. (2022). Antiwrinkle efficacy of 1-ethyl-β-N-acetylglucosaminide, an inducer of epidermal hyaluronan production. Skin Research & Technology, 28(1), 58-65.

ヒアルロン酸が存在する代表的な身体の組織。皮膚、脳、硝子体、関節、筋肉などにヒアルロン酸は広く分布している。

全身のヒアルロン酸分布

表皮と真皮に存在するヒアルロン酸の染色像。表皮細胞や真皮の線維芽細胞間にヒアルロン酸は存在している。

皮膚のヒアルロン酸染色像

皮膚には、表皮や真皮などの多層構造に加え、コラーゲンなどの構造物や血管が複雑に存在しています。CT-Skin®の開発により、光の干渉を利用し、皮膚内部をデジタル空間上に3次元的に可視化することを実現しました。CT-Skin®では、皮膚を傷つけることなく、自由自在に皮膚内部を観察できます。また、同じ部位を経時的に計測することで、皮膚のダイナミックな変化を捉えることも可能です。

今後も、最先端技術を駆使しながら、ありのままの皮膚を深く理解し、エビデンスに基づいた魅力ある化粧品の開発を進めていきます。

花王 コーポレート CT-Skin ~傷つけずに肌の中まで観察できる未来の技術 ~

次の動画には音声がありません。動画の映像情報を書き起こしたテキストを用意しています。

動画のテキスト版はこちら

この動画は「肌を傷つけず肌の中まで観察できる未来の技術:CT-Skin」について簡単に説明しています。

CT-Skin?
光を当てるだけで肌の内部が3Dで見える。目尻のシワにフォーカス。128枚の断層画像から肌内部を3Dで再現。肌表面のシワや表皮、さらにその下のコラーゲンや血管、リンパ管も可視化。360度どこからでも見える。

本技術により「肌の中の状態が見える」。実際に、70代女性の目尻のシワが浅い人と深い人の肌内部の状態を比較している。コラーゲンの部分がピンク色で示され、シワが浅い目尻ではコラーゲンの状態は良く、シワが深い目尻ではコラーゲンの状態は悪いことが見てわかる。

さらに肌の変化まで見える。血流と表皮だけを抽出して表示。炭酸処理した皮膚では血流が表皮直下までじわじわ高まっているダイナミックな変化も見ることができる。

肌を傷つけず肌の中まで観察できる未来の技術:CT-Skin。
Kaoのロゴ。

Page Top