界面活性剤の性質とその水溶液の蚊の体や 羽への作用についての実験結果をご紹介します。
界面活性剤は、物質と物質の境界面(界面)に作用して性質を変化させるという働きがあります。たとえば水と油の界面に界面活性剤が作用すると、本来なら混じり合わない水と油を混ぜ合わせることができます。同様に、水をはじく表面にもなじみやすくなります。(図4)
蚊の表面に水をたらしてもはじかれてしまいなじみません。これは、界面張力(水の分子同士が引き合う力)が強く働いているためです。界面活性剤を利用すると界面張力が下がり、蚊の表面と水がなじみやすくなるため、蚊の体の表面をぬらすことができるようになります。
花王は、このような界面活性剤の性質を利用することで、水になじみにくい疎水的な蚊の体や羽の表面をぬらすことができるようになることを見いだしました。さらにさまざまな界面活性剤水溶液を比較検討した結果、表面張力低下能の高い界面活性剤を用いると、効率的に蚊の表面をぬらすことができることがわかりました(図5)。
図5. 表面張力が低い液体は蚊の羽をぬらすことができる