ウイルス関連法規制の国際状況

米国と欧州の法規制の比較

EUでは、医薬品規制とBPR規制があり、BPR規制においても抗ウイルス製品の許認可の枠組みが存在しています。承認の基準を米国と比較して下記に記載していますが、BPR規制ではウイルス種毎に別々に効果の承認はされず、環境表面に使用する製品では、特定の非エンベロープウイルスに効果のあった製品について抗ウイルス訴求が認められています。一般的にエンベロープウイルスに比べて、非エンベロープウイルスの方が薬剤へのストレス耐性が高いことが明らかになっています。従って、EU-BPRの制度設計ではSARS-CoV-2のようなエンベロープウイルスに効果を有する製品であっても抗ウイルス訴求をするためには非エンベロープウイルスに対する不活性化効果も有している必要があり、過剰性能を要求する仕組みとなっています。2020年5月時点では制度が始動したばかりであるため、承認を得ているものは、まだほとんどない状態です(ECHA, 2020)。

Table. 米国FIFRA規制とEU-BPR規制の抗ウイルス訴求基準比較

米国FIFRA 欧州BPR
ウイルス種 種別に訴求可能 Adenovirus及び
Murine norovirus必須
不活性化効果 3log以上 4log以上
接触時間 10min以内 5min以内
試験方法 懸濁試験
ASTM1052
環境表面試験
ASTM1053
医療用途懸濁試験
EN14476
食品用途懸濁試験
EN136101
医療用途表面試験
EN16777
畜産用途表面試験
EN14765

Reference

  • 横畑綾治,石田悠記,西尾正也,山本哲司,森卓也,鈴木不律,蓮見基充,岡野哲也,森本拓也,藤井健吉(2020)接触感染経路のリスク制御に向けた新型ウイルス除染機序の科学的基盤~コロナウイルス,インフルエンザウイルスを不活性化する化学物質群のシステマティックレビュー~ ,リスク学研究 30(1): 1–24
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