新型コロナウイルスの基礎情報

新型コロナウイルスの感染機序

新型コロナウイルスの感染経路や、潜伏期・感染可能期間、
及び、季節性などについてご紹介しています。

感染経路

COVID-19の主要な感染経路は、飛沫感染経路、接触感染経路であると報告されています(ref.1)。また、換気の悪い環境や空気の流れによっては、咳やくしゃみなどによって放出されたウイルスが離れた所にいる人にまで到達し感染が成立する可能性も指摘されています。有症者が感染伝播の主体ですが、無症状病原体保有者からの感染リスクもあります。

潜伏期・感染可能期間

潜伏期は1~14日間とされており、曝露から5日程度で発症することが多いとの報告があります(ref.1)。発症前から感染性ウイルスを放出しており、これが市中感染を拡大している原因の一つと考えられています。
肺炎を起こすSARS-CoV-2は上気道と下気道で増殖していると考えられており、重症例ではウイルス量が多く、排泄期間も長い傾向にあります。発症から3~4週間で、病原体遺伝子が検出されることもまれではありません。ただし、病原体遺伝子が検出されることと、感染性があることは同義ではないと考えられています。感染可能期間は、発症2日前から発症後7~10日間程度(積極的疫学調査では隔離されるまで)と考えられています(ref.2)。
SARS-CoV-2はACE2受容体を細胞形質膜に発現するヒト細胞に感染すると考えられます。ヒトは、肺、口腔(舌)、鼻粘膜、腸管、血管など多種の臓器でACE2受容体を発現しているため、SARS-CoV-2の感染部位も様々です。症状と感染部位に応じて、唾液(飛沫)、血液、尿、便から感染性のあるSARS-CoV-2が検出されることが報告されています(ref.3, 4, 5)。

季節性

コロナウイルス感染症は、一般に温帯では冬季に流行するとされていますが、COVID-19にもこれが当てはまるかどうかは、現時点では明らかになっていません。

fig. コロナウイルス局所細胞の感染から全身性の症状発症へ

コロナウイルス局所細胞の感染から全身性の症状発症についての図。 SARS-COV-2は受容体ACE2を発言する多種多様なヒト細胞に感染することが報告されている。血中移動、血管内皮細胞への感染、口腔内(舌)上皮細胞への感染、気管支・肺上皮細胞への感染、腸管上皮細胞への感染を図示。

Baig AM et al. ACS Chem Neurosci. 2020 Mar 13. PMID: 32167747

Reference

  • 1)
    WHO(2020) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)WHO公式情報特設ページ
  • 2)
    Wölfel R, et al. Virological assessment of hospitalized patients with COVID-2019. Nature 2020
  • 3)
    Baig AM, et al. ACS Chem Neurosci. 2020 Mar 13. PMID: 32167747
  • 4)
    Jun L, et al. Nature. 2020 Mar 30. 581:215-220
  • 5)
    横畑綾治,石田悠記,西尾正也,山本哲司,森卓也,鈴木不律,蓮見基充,岡野哲也,森本拓也,藤井健吉(2020)接触感染経路のリスク制御に向けた新型ウイルス除染機序の科学的基盤~コロナウイルス,インフルエンザウイルスを不活性化する化学物質群のシステマティックレビュー~,リスク学研究 30(1): 1–24
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