環境調和型素材・陽イオン界面活性剤の開発

素材開発

素材開発の分野では、環境適合性・安全性の高い素材、カーボンニュートラルなバイオマス由来原料を活用した素材の開発を推進しています。

環境中に排出された化学物質は、微生物による速やかな生分解で消失し、さらに水生生物に悪影響を与えない事が求められます。十分な商品性能を備えつつ、排出時の生分解が容易で、水生生物に対して低毒性な化学構造を持つ素材を分子設計する必要があります。
一例として、ヘアコンディショナーの基剤である陽イオン界面活性剤の開発では、数多くの陽イオン界面活性剤を合成し、分子構造が生分解性や水生生物毒性に与える影響を研究しました。長鎖アルキル基の長さや疎水基連結構造の違いを入念に検討した結果、通常使用されるよりも長いアルキル鎖が水生生物毒性を低減させること、アミドプロピル構造が生分解性をより加速することを見出しました。こうして設計されたヘアコンディショナー用陽イオン界面活性剤は、優れたコンディショニング性能を維持しながら、100%の生分解性を達成するとともに、既存の陽イオン界面活性剤と比べて、水生生物毒性を大幅に低減しました。

本基剤は、環境適合性に優れる界面活性剤として、日本国内だけでなく海外においても広く利用されています。

(注)生分解性はOECD301B、水生生物毒性は、OECD201, 202, 203に基いた評価結果。
Yamane, M. et al. J. Oleo Sci. 57 (10), 529-538 (2008).

関連するテーマ

花王のESGの取り組み Kirei Lifestyle Plan

水保全

持続可能な開発目標(SDGs)

SDGsの目標12:つくる責任 つかう責任

Page Top