花王コーポレーション(スペイン)(以下KCSA)は、地球が将来発展するためには生物多様性が重要であることを認識し、KCSA独自の方針である「持続可能性とリスク防止の方針」を補完するものとして、2018年、生物多様性を維持、促進するためになすべきコミットメントを含む「生物多様性方針」を策定しました。この方針には以下の4つのコミットメントが含まれます。
KCSAでは、このコミットメントに準拠した一連の活動を実行しました。活動内容はすべての社員に情報を共有し、積極的な啓発に努めています。
花王コーポレーション(スペイン)(KCSA)
また、花王グループの生物多様性の基準に基づいて実施した評価の結果を踏まえ、KCSAの各工場の生物多様性を学ぶための資料となる小冊子、パンフレット、ポスターを制作しました。これらを工場見学者への説明や社員の啓発などに有効活用しています。
生物多様性を学ぶための資料(小冊子、パンフレット、ポスター)
2020年、KCSAの拠点の一つであるバルベラサイトで以下の活動を実施しました。
バルベラサイトで採用された新入社員が、タイム(タチジャコウソウ)やローズマリーなどの芳香性植物の植樹を行いました。
自社の生物多様性について深く学んでもらう目的から、動物および植物に精通した2人の外部専門家の協力により、社員が参加できるサイトツアーを実施しました。ツアーの途中で、コノハズク、イエスズメ、シジュウカラやアオガラといった種類の野鳥のための巣箱を設置し、昆虫のためのホテルも製作し設置しました。
以降毎年、植樹やサイトツアーを実施し、生物が巣箱や昆虫ホテルを利用している状況を観察し続けています。今後、各自社緑地内の生物多様性の評価が高まることで、結果的に生息する生物が増えることを期待しています。
社員が参加したサイトツアー
巣箱を設置する様子
昆虫ホテルを製作する様子
2021年、KCSAでは、各拠点に生息する生物の中から「今年の生物」を選定し、その生態について詳しく紹介する取り組みを新たに開始しました。生物に関する情報は非常に多いため、1年に一つの生物種をテーマにコミュニケーションを図ることで啓発活動の効果が上がるのではないかと考えました。
この年の「今年の生物」はスズメに決定しました。KCSAの3拠点に共通して頻繁に見られる野鳥でありながら、近年、世界中で急速に減少している野鳥です。そのスズメの生態について詳しく知って欲しいということが、この年の主な選定理由でした。
「今年の生物」の啓発資料
社内イントラネットにおいて「今年の生物」についての基本的な情報をクイズ形式にし、社員の誰もが気軽に学べるよう構築しました。また、スズメの生態について順を追って理解してもらえるよう、各工場のレセプションルームなどに説明パネルを設置し、社員により深く関心を持ってもらえるような工夫も行いました。
「今年の生物」の啓発パネル
2022年から2023年の生物は、スペインの侵略的外来種である「パンパスグラス」を選定しました。メール、ポスター、スクリーンセーバーなどさまざまな媒体を用いてこの植物に関する情報を提供しました。これにより、在来植物種を駆逐してしまう悪影響等についても社員に詳しく知ってもらうことができました。
パンパスグラス
この植物は特にバルベラ工場の広いエリアに根づいていたことから、専門会社に依頼して3日間をかけて除去作業を行いました。かつてパンパスグラスに占領されていたエリアに再び新たな種子が定着することのないように、今後定期的に監視を続けていきます。
「今年の生物」は今後、社員に選定してもらうなど、さらに社員に積極的に参加してもらうことを目標にしています。工場見学を休止している現在、本啓発プログラムは社員を対象にしていますが、工場見学が再開された時点で、見学参加者への情報公開も検討していきます。
除去作業の様子