2021年09月22日
花王インダストリアル(タイランド)は、2021年6月15日のASEANデング熱の日に、工業団地開発会社のアマタ・コーポレーション、タイ工業団地公社、タイ国立電子コンピューター技術研究センター、タイ保健省疾病対策局媒介感染症課と、デング熱の蔓延防止を目的としたプロジェクトを立ち上げました。ASEAN諸国では、数十年にわたり、デングウイルスによる罹患者や死者の増加が大きな問題となっています。全国のデング熱に関する最新情報を提供するモバイルアプリケーション「RooTan」を通じて、生活者に正しい知識を提供し、デング熱の蔓延防止に取り組んでいきます。まずは、チョンブリ県のノンマイデーン地区、ドンフアロ地区、アマタシティ・チョンブリ工業団地において、3年間でデング熱の発生の防止を目指します。
花王インダストリアル(タイランド) 社長 清水裕二のコメント
「デング熱は、タイにおいて長年にわたり社会問題となっている感染症です。原因のひとつである蚊の幼虫の繁殖を抑えることができていないため、感染率や死亡率が上昇しています。そこで、人口密度が高く、デング熱蔓延の可能性も高い3地域を選定し、3年以内に蚊が媒介する疾患の発生を抑えることを目的とし、デング熱蔓延防止プロジェクトを実施します。住民の方々やプロジェクト参加企業の人事部門に対し、防止のピンポイントとなる蚊の生態、感染の防ぎ方、蚊の繁殖の原因となる廃棄物の管理について伝えていきます。それにより、3地域でのデング熱の患者を減少させ、2024年までに発生ゼロにしていきます。」
アマタ・コーポレーション ディレクター・CMO Viboon Kromadit氏のコメント
「このプロジェクトは、近隣の地域と共に、アマタ・コーポレーションが開発した工業団地に住む25万人以上の人々の生活の質を高めるという、私たちの方針と一致しています。モバイルアプリケーション「RooTan」で人々にデング熱への注意を喚起すると同時に、最新の状況を緊密にモニターすることは、テクノロジーは産業開発のためにあるわけではなく、人々の生活の質の向上にも役立つことを示しています。このプロジェクトはベトナム、ラオス、ミャンマーの工業団地のロールモデルとなる、当社の理想のスマートシティの足がかりにもなると考えています。」
タイ工業団地公社 知事 Veeris Ammarapala氏のコメント
「アマタシティ・チョンブリ工業団地の半径5km以内には、181,879人の住民、212の村が存在します。私たちは、タイにおける最大の健康上の懸念に対処するこのプロジェクトを、非常に重要視しています。産業の持続的な発展と地域の人々の暮らしが共存し、経済・社会・環境面でバランスの取れた相互支援が可能になるからです。」
保健省 疾病対策局 媒介感染症課 Chantana Padungtod博士のコメント
「デング熱は、新型コロナウイルスによる新たな生活様式により、蔓延が80%減少したにもかかわらず、依然として致死的な病気であり、常に警戒が必要です。デング熱による子どもの死亡率が高い数値となっている一方、2016年以降は成人の死亡者数も増加しており、家族・社会・経済に深刻な影響を及ぼしています。デング熱のワクチンや治療法の研究はどれも結実しておらず、この病気を新型コロナウイルスよりもさらに難しいものにしています。これまでのところの最善の予防策は、蚊の幼虫を取り除くということです。このプロジェクトを通じて、タイにおける経済回復の原動力である人々の、生活の質の向上に貢献していきます。」
タイ国立電子コンピューター技術研究センター 常務理事 Chai Wutiwiwatchai博士のコメント
デング熱に対する理解を向上するためのモバイルアプリケーション「RooTan」に関し、開発したWutiwiwatchai博士は、タイ国立科学技術開発庁と共同で開発したソフトウェア「TanRabad」の重要性を語っています。「TanRabad」は過去5年使用されている、医療従事者がデング熱の伝播を監視できるソフトウェアです。
「『RooTan』は、2020年からAndroidとiOSで一般に公開されており、現在いる場所や他の場所について、健康上のリスクを確認することができます。デング熱の蔓延状況に加え、PM2.5の濃度や熱中症に関わる暑さ指数など、他のリスクの情報も網羅しています。」
花王インダストリアル(タイランド)社長の清水裕二は、ASEANデング熱の日に行なわれた発表会の締めくくりに、以下のように述べました。「人々の心豊かで健康な暮らしに貢献するという花王の思いと共に、私たちはこのプロジェクトに賛同し、全面的に支援をすることで、タイ社会における持続的な健康を実現していきたいと考えています。デング熱の完全な根絶に向けて、このプロジェクトを通してデング熱の蔓延と闘い、また、プロジェクトの拡大も図っていきたいと思います。」