2026年05月15日

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花王、日本化学工業協会第58回日化協技術賞で「総合賞」「環境技術賞」を受賞
環境技術賞「鋳造用無機コーテッドサンド「Kao ICS」の開発」

花王株式会社は、このたび、「鋳造用無機コーテッドサンド「Kao ICS」の開発」により、一般社団法人日本化学工業協会の第58回(2025年度)日化協技術賞「環境技術賞」を受賞しました。この賞は、優れた化学技術の開発や工業化によって化学産業ならびに経済社会の発展に寄与した業績が表彰されるものです。その中で、「環境技術賞」は環境負荷低減に対して著しい効果がある独創的技術あるいは改良技術で、科学技術の進歩に寄与した団体に与えられます。
あわせて、「嗅覚受容体の網羅的な評価系「ScentVista 400®」の開発」により「総合賞」も受賞しており、本年2件の受賞となりました。異なる分野の技術がそれぞれ高く評価されたものです。

受賞技術の背景

鋳造とは、砂で作った型(鋳型)に高温で溶かした金属を流し込み、冷やし固めることで目的の形の金属製品(鋳物)を作る方法です。複雑な形も成形できることから、自動車や工作機械など幅広い分野の部品製造に用いられています。鋳造に欠かせない鋳型の作製には、耐熱性の高い有機材料であるフェノール樹脂を接着剤として、あらかじめ砂の表面にコーティングした有機コーテッドサンドが広く使われています(図1)。

図1.有機コーテッドサンドを使用した鋳造のイメージ

しかし、有機コーテッドサンドは、さらさらとした乾いた状態で扱いやすい反面、溶けた金属の熱によって分解して臭気や有害なガスが発生します。その結果、作業環境の問題だけでなく、発生したガスが原因で鋳物の内部や表面に欠陥(ガス欠陥)が生じやすく、高品質な鋳物づくりの妨げになることが課題です。こうした課題への対応として、近年ではガスなどが発生しにくい無機材料の水ガラスをコーティングした砂の活用が注目されています。しかし、水ガラスは液体のため砂が粘着しやすく、複雑な形状では型への充填が難しいことに加え、吸湿性があるため高湿度下では作製した鋳型が壊れる問題もあり、普及が進みにくい要因になっています。
そこで花王は、無機材料を用いながらも、有機コーテッドサンドのようなさらさらとした状態を維持できる、新しい無機コーテッドサンドの開発に取り組みました。

受賞技術の概要

花王は、水ガラスに替わる接着剤として、さまざまな素材やその組み合わせを検討し、特定のケイ酸塩に着目。これを砂表面に固定化する独自技術を開発することで、本来のさらさらとした流動性を損なうことなく、乾いた状態を維持できることを見いだしました。さらに、特殊な無機添加剤を加えることで吸湿性を抑制し、高湿度下でも鋳型が壊れるのを防ぐ技術も確立。以上の検討成果を踏まえ、新しい無機コーテッドサンド技術「Kao ICS」を開発しました(図2)。

《 受賞技術の特長 》

  1. 鋳造時の臭気やガスの発生を抑制し、作業環境の改善と鋳物の品質向上に貢献
  2. 乾いた状態で流動性に優れ、既存の有機コーテッドサンド向け設備の活用も可能
  3. コーテッドサンド製造や鋳造工程で、有機コーテッドサンドよりもトータルのCO2排出量を約50%削減

左は水ガラスを接着剤として使用した砂で、鋳型への充填時に充填不良が発生しやすい。右は花王が開発した無機コーテッドサンド

図2.砂の状態と型への充填比較

花王は、50年以上にわたって鋳造に使用する材料などの技術開発に取り組んできました。今後、「Kao ICS」を応用した鋳造用無機コーテッドサンドの実用化を通じて、鋳造業界のさらなる発展に貢献したいと考えています。

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