参考資料: 2025年06月25日

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皮膚バリア機能が低下傾向にある敏感肌とセラミドの実態研究
Journal of Cosmetic Dermatology誌に掲載

花王株式会社(社長・長谷部佳宏)スキンケア研究所・解析科学研究所は、帝京科学大学生命環境学部生命科学科中沢寛光准教授(前、関西学院大学理学部物理・宇宙学科)との共同研究により、敏感肌における特徴的なセラミドプロファイルの変化*1 が、角層細胞間脂質構造の乱れや敏感肌特有の刺激感受性の高さに関係する可能性を明らかにしました。この成果は、2025年4月2日、香粧品皮膚科学に関する世界的学術誌Journal of Cosmetic Dermatologyに掲載されました*2

主な内容

敏感肌は、通常では何ともない刺激に対しても、痛みやかゆみなどの不快な感覚が生じる刺激感受性が高い状態の肌で、その要因のひとつに皮膚バリア機能の低下が挙げられます。花王は、皮膚疾患がないにもかかわらず刺激感受性が高い敏感肌について、研究を進めてきました。2023年には、このような肌では特定の種類のセラミド量が少なくなっており、そのプロファイルがアトピー性皮膚炎と類似していることを見いだしてきました*1
今回は新たに、敏感肌では角層細胞間脂質のパッキング構造*3 にも変化が生じており、敏感でない肌と比べて、脂質の密度が低くなっていることを明らかにしました。角層細胞間脂質の主要な構成成分はセラミドです。皮膚疾患のない敏感肌において、特定の種類のセラミド量が低下したり、セラミドNSに対するセラミドNPの存在比率が低いことが、パッキング構造の乱れに影響を与える可能性を示しました。これらの結果として、皮膚バリア機能が弱まり、刺激感受性が高くなることがあると考えます。

  • * 3 角層細胞間脂質の側方配列構造のこと

疾患のない敏感肌と健康な肌の細胞間脂質のパッキング構造の違い(イメージ図) 敏感肌では、細胞間脂質中のオルソロンビック構造の存在比率が低い

これらの結果は、皮膚バリア機能が低下傾向の敏感肌に対して、有用なスキンケア製品を開発する上で基盤となる重要な知見です。今後もこうした知見を踏まえ、敏感肌の本質的な理解をより一層深めていきます。

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