花王株式会社(社長・長谷部佳宏)は、2023年4月10日、生物多様性と事業の関わりについて、TNFD*1 (自然関連財務情報開示タスクフォース)が提案する分析手法である、LEAPアプローチ*2 のフレームワークに沿って、アクセンチュア株式会社と共同で検討を行ったレポート「生物多様性がもたらすビジネスリスクと機会 –TNFD評価 地域特性を踏まえたケーススタディ–」を公開しました。
気候変動とともに、生物多様性の損失を防ぐことは世界における喫緊の課題となっています。花王の事業活動は、製品のライフサイクル全般にわたって、地球上のさまざまな生態系・生物多様性がもたらす豊かな恵みによって支えられています。花王では、自然や生物多様性に対する悪影響を減らすとともに、ポジティブな影響を与える行動を増やし、生物多様性を損失から回復へと反転させることをめざしてまいりました。2022年4月には、「生物多様性の基本方針」を改訂するとともに、引き続き持続可能な原材料調達や、限られた原料を有効活用するための技術開発を積極的に推進していきます。
TNFDは、常に変化する自然関連リスクと機会を組織が報告し行動を起こせるようにするための、リスク管理と情報開示に関するフレームワークを開発し提供しています。それにより、資金の流れが、自然にとってプラスの方向に転換されることをめざしています。2022年4月には、花王もTNFDフォーラムに参加し、分析手法開発状況の把握や公開された手法に対するフィードバック、他企業との情報交換を行ってまいりました。そしてこのほど、アクセンチュアとともに、このTNFDのフレームワームに沿って検討したレポート「生物多様性がもたらすビジネスリスクと機会 –TNFD評価 地域特性を踏まえたケーススタディ–」を公開するに至りました。
本レポートでは、「TNFD」(β版v0.3)LEAPアプローチ*2 に沿い、生物多様性と事業の関係を確認することに加え、今後の自然の状態と経済発展を考慮したうえで、製造業を想定したシナリオを検討しました。生物多様性や経済、社会の変化によって、花王の事業活動や財務情報に、どのようなリスクや機会を与えるのかを考察するとともに、花王のみならず製造業にとって、自然への貢献が高く、事業へのメリットが大きいと思われる事業機会領域を調査しました。具体例として、花王における活動事例の紹介も行っています。
花王グループは、2019年4月にESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)を策定しました。また、2021年からは、パーパスに「豊かな共生世界の実現」、中期経営計画「K25」のビジョンに「未来のいのちを守る~Sustainability as the only path」を掲げ、ESGを根幹に据えた長期視点での経営に取り組んでいます。今後も、花王は製品やソリューションの提供といった事業活動を通して、生物多様性の保全と回復、そして自然の再生に貢献するとともに、情報開示の試行も重ねてまいります。