花王株式会社(社長・澤田道隆)は、2025年、2030年、そしてそれ以降も持続的な成長が可能となる基盤構築に向けて、花王グループの新たな挑戦としてESG経営に大きく舵を切っていきます。まずは、2019年4月22日に公表した、ESG(環境・社会・ガバナンス)戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)を具現化させ、その活動を本格始動させていきます。花王グループがこれまでの企業活動の中で培ってきた“よきモノづくり”の思想を、“ESG視点でのよきモノづくり(ESGよきモノづくり)”へと高め、環境や社会に配慮した取り組みをより一層強化。グローバルで存在感のある会社をめざします。
花王では、130年の長きにわたり、人々の暮らしに寄り添うことで、豊かな生活文化の実現をめざしてきました。2017年には、「自ら変わり、そして変化を先導する企業へ」をスローガンに掲げ、4カ年の中期経営計画「K20」をスタート。2018年7月には、ESG部門を立ち上げ、2019年4月には、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を公表するなど、ESG活動を強化しています。
昨今、気候変動、高齢化社会、資源枯渇、海洋プラスチックごみ等といった社会的課題が、市場そのものに大きなインパクトを与え、消費者ニーズにも変化をもたらしています。そうした変化の中、花王では、消費者が求める持続可能な暮らしを「Kirei Lifestyle」 とし、それを実現するためのESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」をまとめました。これまで進めてきた “よきモノづくり”を、商品設計の最初の段階からESG視点を念頭においた“ESGよきモノづくり”へと高め、花王らしいアプローチで、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティへの貢献に取り組んでいきます。
花王は、“ESGよきモノづくり”を推進するにあたり、その第一弾として、プラスチック循環社会に向けた「リデュース/リサイクルイノベーション」と、QOL*1 の向上等に寄与する「ソーシャルイノベーション」に注力していきます。
これまで進めてきた容器の薄肉化、つめかえの促進、濃縮化、大容量化の継続的な推進とともに、以下の取り組みを進めます。
●プラスチックボトルレス化の加速~新しいフィルム容器活用の提案
花王が独自に提案し、普及に努めてきたつめかえ用フィルム容器を本体として使えるようにし、プラスチックボトルレス化をさらに進めていきます。「スマートホルダー*2 」との組み合わせに加え、フックと吐出部の装着による吊り下げ使用(右写真)を提案していくほか、「Air in Film Bottle(エアインフィルムボトル)*3 」等、新容器の提案も積極的に推進していきます。
●「プラスチック製アイキャッチシール」全廃へ
商品(パッケージ)にプラスして貼付しているプラスチック製のアテンションツール「プラスチック製アイキャッチシール」の全廃をめざします。「プラスチック製アイキャッチシール」は、消費者の購入時に商品特徴や正しい使用方法などを的確に伝達できるメリットがある反面、その分のプラスチック使用量が増え、プラスチックごみや廃棄時のCO2排出量の増大につながるという課題がありました。使用方法の伝達等がどうしても必要な場合は再生紙への変更を行ないますが、それ以外は「プラスチック製アイキャッチシール」全廃を早急に進め、プラスチックごみとCO2排出量の削減を実現していきます。
●廃棄物(製品・販促物)ゼロ化を推進
販売店からの返品は、最終的に廃棄処理を行なうため、大きな処理コストとともに、資源の無駄、CO2排出など環境面での負荷が発生しています。今後は、販売店との連携のもと、商品の配荷や切り替え方法の見直しなど、廃棄物の極小化をめざします。併せて、販促物についても使用後は廃棄されるため、デジタルを活用した情報発信に切り替えていきます。
●ホワイト物流
昨今、運ぶモノと回数の増加や、ドライバー不足に伴い、モノが運べなくなる物流危機が叫ばれています。花王では、この物流危機を解消していくために、納品リードタイムの確保、ロジスティックセンターにおけるトラック待ち時間の短縮、物量の平準化などを検討。サプライチェーン全体で連携することで、トラック台数やドライバー拘束時間を削減するなど、配送過程で発生する無駄をなくし、持続可能な物流の実現をめざします。
花王は、“ESGよきモノづくり”の取り組みの一環として、製品を発売して終わりではなく、廃棄(処理)まで責任を持って取り組んでいきます。これまで培った基盤技術をベースに、使用済みプラスチック容器の革新的リサイクル技術の構築、高品質・低価格な再生プラスチックの開発と活用、使用済みプラスチックから価値を創造する「リサイクリエーション*4 」の推進、プラスチックごみの産業用途への利用等に注力していきます。
●Fine Fiber(ファインファイバー)技術(2018年11月発表)
肌表面に、極細の繊維からなる積層型極薄膜を直接形成する「Fine Fiber技術」を開発しています。この極薄膜は、軽く、やわらかく、自然で、さらにその優れた毛管力により、さまざまな化粧品用製剤を、肌表面にしっかりと保持・均一化するとともに、適度な透湿性を保つことができます。実用化の第一弾としては、2019年末より、化粧品事業領域で応用していく予定です。将来的には医療領域への応用も視野に入れていきます。
●RNA Monitoring(RNAモニタリング)技術(2018年11月発表)
日々変動する皮膚状態を反映する遺伝子発現情報「RNA(リボ核酸)」を顔の皮脂から単離し、分析する新技術「RNA Monitoring」を開発しました。これにより、皮膚の現在の状態が詳細に解析でき、AIを応用することで、皮膚の将来の変化の予測が可能になると考えています。さらに体内現象との関連も見出されており、今後は、体内リスク評価への応用も検討していきます。近く、この技術の進捗状況について公表予定です。
●感染予防研究
衛生関連の本質研究をベースとし、新しい切り口で感染症予防に取り組んでいきます。最も身近なインフルエンザ感染のメカニズムに関し、その本質を深く研究することで、これまでにない切り口で予防効果が高まる成果を見出しました。今後、花王のモノづくりを通して社会に還元し、広い観点から感染症予防を含めた衛生領域の革新を進めていきます。
さらに2020年春には、「Kirei Lifestyle」を体現する新ブランドを欧米から発売するなど、花王は、ESGを根幹に据えた経営に大きく舵を切り、グローバルで存在感のある会社をめざします。
花王株式会社 広報部
※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。