発表資料: 2015年07月30日
皮膚科学と健康科学を融合し、「生命美容科学」のステージへ
花王株式会社(社長・澤田道隆)は、ヒトの健康的な美しさをさらに高いレベルで実現することを目的に、皮膚科学研究と、健康科学研究の融合を図り、「皮膚も身体の一部」という視点を加えた「生命美容科学」研究の領域に注力していきます。
その一環として、花王・ヘルスビューティ研究所では、血管力*1 が高い人は、皮膚性状(肌荒れの有無)が良好であることを見出し、皮膚性状の指標として、血管力が有効であることがわかりました。さらに、血管力が高い人は、ストレス度や体調悩み意識(冷え性、血行、睡眠の質、疲れやすさなど)も低いことを確認しました。
花王では、このような皮膚を身体の一つととらえた「生命美容科学」に着目し、研究をさらに進めていきます。
外部環境の変化に応じて血流を調節する力、皮膚血流調節能を意味します。ここでは、冷水負荷後の皮膚温回復率で計測しています。
冷水負荷後の皮膚温回復率とは、冷水負荷(15℃の冷水に1分間手を浸漬)後、手を冷水より引き上げ、直後のサーモグラフィー画像により、指先の皮膚温度を測定します。その後、10分後の指先の皮膚温度を測定して、皮膚温回復率を算出します。
・血管力の高い人:10分後の皮膚温回復率≧70%、・血管力の低い人:10分後の皮膚温回復率<70%
今般「生命美容科学」研究の一環として、皮膚性状と血管力、特に皮膚性状の季節変化と血管力との関連を調べるため、女性37名(30代18名、50代19名)に対して、同一個人について夏季、冬季の各1回ずつ皮膚性状(肌荒れ;頬、前腕、すね)を測定*2 しました。夏季の皮膚温回復率の計測から、血管力の高い人(N=14)、低い人(N=23)で2群にわけ、皮膚性状の季節変化を比較検討した結果、夏季の血管力が高い人では、冬季において、顔、体の両方で鱗屑(りんせつ)*3 ができにくかったのに対し、血管力が低い人では冬季に鱗屑が悪化しやすいことがわかりました(図1)。このことから、血管力は、季節変化などの外部環境が変化した際の皮膚の状態と関連していることがわかりました。
図1 血管力の高・低と皮膚性状(肌荒れ;頬、前腕、すね)の関係
さらに、同様に、血管力の高い人(N=14)、低い人(N=23)の2群に対して、ストレス度*4 および体調悩み意識*5 についても比較検討した結果、血管力が高い人は、ストレス度および体調悩み(冷え性、血行、睡眠の質、疲れやすさなど)の意識が低いことがわかりました(図2)。
図2 血管力の高・低と体調(ストレス度、体調悩み意識)の関係
花王は、すべてのヒトの「もっと健康的に美しくなりたい」という想いに応えるために、30年以上の長きにわたり、肌のしくみを解き明かすことに注力し、皮膚科学の研究と新しい技術の開発を積み重ねてきました。今般、これまでに培ってきた長年の皮膚科学研究に、健康科学研究の考え方を融合することで、「皮膚も身体の一部」という視点を加え、新たに「生命美容科学」研究を重視していきます。これは、ヒトが本来持っている機能・美しさを引き出し、個々人に合わせた最適な健康・美を提案するための本質を追究する研究で、「皮膚」だけでなく、その土台となる「血液循環・神経系」「炎症・免疫系」「内分泌・代謝系」などの身体機能にも着目。なかでも、まずは最も重要だと考える「血管力」に関する知見を深耕していきます。「血管力」は、血液をすみずみまで行き渡らせることで、ヒトが本来持つ自らの健康状態を維持する力の下支えをしており、ひいては健康的に美しくなろうとする力に寄与しています。
花王では、今後も「生命美容科学」研究に基づき、本質を追究する研究に注力して研究知見を積み重ねていきます。
花王株式会社 広報部
※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。