界面制御によるサステナブルな食品加工技術

食品工学

界面活性剤は、さまざまな食品加工において、乳化や起泡、分散、表面改質など、重要な役割を果たしています。花王では、界面活性剤の機能を最大限引き出すことで、サステナブルな加工技術を食品産業に提供しています。

たとえば豆腐は、豆乳中のタンパク質を塩や酸で凝固させたゲル状食品です。豆乳の凝固に“にがり”を使うと大豆の甘味を引き出すことができますが、凝固反応が速く、品質を安定させるには職人の技術が必要でした。豆乳中には性質の異なる複数のタンパク質がコロイド状態で存在します。豆乳からゲルを形成するためには、イオン強度を適時・適切に変化させて、凝集物間でネットワークをつくる必要があります。“にがり”を油に分散させたW/O(Water in Oil)型の乳化にがりは、豆乳に分散させてW/O/W型とすることで、徐々に解乳化を起こし、内水相に含まれる“にがり”をゆっくりと放出します。

ニガリ(塩化マグネシウム水溶液)を内包した油滴(W/Oエマルション)が、豆乳中に微細に分散されている状態を示す電子顕微鏡写真

界面制御により凝固速度をコントロールすることできめ細かなゲルを形成し、高度な職人技がなくても弾力と硬度のある、おいしいにがり豆腐を製造できます。乳化にがりはおいしさに加えて、製造時の歩留改善、省力化、省人化にも貢献します。

私たちは、このほかにも界面活性剤を分子レベルで分散させる液晶化技術で、製菓製パン業を中心にさまざまな加工技術を提供し、おいしさ、日持ち向上、製造の効率化などに貢献しています。

凝固速度の違いにより、タンパク質の密集した凝集状態と、広がったネットワークを形成する状態の違いを示すイメージ図

凝固速度の違いにより想定される豆乳タンパク質コロイドの凝集状態の違い

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