花王ヘアケア技術で第3の毛髪を創る

ヘアケア

ヘアウィッグやヘアエクステンションに使用される繊維には、人の頭髪由来の人毛繊維や人工毛である合成繊維があります。世界的なヘアウィッグやヘアエクステンションの需要が年々高まっている中、人毛繊維には価格の高騰による入手性、合成繊維にはそのほとんどが化石燃料由来であることによる環境負荷の課題などがあります。

花王では、第3の毛髪として、アップサイクル素材である再生コラーゲン繊維に花王のヘアケア技術を応用した高機能繊維の開発に取り組んでいます。

一般的な再生コラーゲン繊維は、従来の合成繊維とは異なり、毛髪に似た外観や風合いを特長としますが、洗髪などで水に濡れた時のハリコシが弱いことや、ヘアアイロンなどで高温処理した時に繊維が縮れてスタイリングがうまくできないことが課題でした。そこで、再生コラーゲン繊維の繊維物性を向上させるため、繊維内部に重合物を形成させることを検討しました。再生コラーゲン繊維と親和性が良好な化合物を、改質剤として繊維内部に浸透させ、繊維内部で架橋剤と反応させることで、繊維内部に重合物を形成させる技術を開発しました。重合物を含んだ改質繊維は、ぬれ時のハリコシが大幅に向上すると共に、高温処理による縮れを抑制し、ヘアアイロンによるスタイリングが毛髪のようにできるようになりました。
改質した再生コラーゲン繊維は第3の毛髪として、ヘアウィッグ・ヘアエクステンションに応用していきます。

今後もヘアケア技術を活用し、より毛髪らしい繊維の開発を進めていきます。

再生コラーゲン繊維に改質剤を浸透させ、続いて架橋剤を浸透させて、コラーゲン繊維内部に重合物を生じさせている。

繊維内部への重合物形成イメージ

繊維の改質前後でヤング率を計測し、繊維のハリコシを評価。未改質のコラーゲン繊維に対して、改質コラーゲン繊維は、繊維が濡れた状態において、ハリコシの値がおよそ100から230程度まで改善され、人毛と同等となった。

改質前後の濡れ時のハリコシ比較

改質繊維をヘアエクステンションとして実際に人頭に装着。ヘアアイロンでカール形状をつけてみると、人毛と同様にきれいなカール形状が付与された。

ヘアエクステンションとしての着用イメージ

Page Top