ヘアケア
ヘアウィッグやヘアエクステンションに使用される繊維には、人の頭髪由来の人毛繊維や人工毛である合成繊維があります。世界的なヘアウィッグやヘアエクステンションの需要が年々高まっている中、人毛繊維には価格の高騰による入手性、合成繊維にはそのほとんどが化石燃料由来であることによる環境負荷の課題などがあります。
花王では、第3の毛髪として、アップサイクル素材である再生コラーゲン繊維に花王のヘアケア技術を応用した高機能繊維の開発に取り組んでいます。
一般的な再生コラーゲン繊維は、従来の合成繊維とは異なり、毛髪に似た外観や風合いを特長としますが、洗髪などで水に濡れた時のハリコシが弱いことや、ヘアアイロンなどで高温処理した時に繊維が縮れてスタイリングがうまくできないことが課題でした。そこで、再生コラーゲン繊維の繊維物性を向上させるため、繊維内部に重合物を形成させることを検討しました。再生コラーゲン繊維と親和性が良好な化合物を、改質剤として繊維内部に浸透させ、繊維内部で架橋剤と反応させることで、繊維内部に重合物を形成させる技術を開発しました。重合物を含んだ改質繊維は、ぬれ時のハリコシが大幅に向上すると共に、高温処理による縮れを抑制し、ヘアアイロンによるスタイリングが毛髪のようにできるようになりました。
改質した再生コラーゲン繊維は第3の毛髪として、ヘアウィッグ・ヘアエクステンションに応用していきます。
今後もヘアケア技術を活用し、より毛髪らしい繊維の開発を進めていきます。
繊維内部への重合物形成イメージ
改質前後の濡れ時のハリコシ比較
ヘアエクステンションとしての着用イメージ