洗濯ストレス軽減を追求した衣類改質技術

ファブリックケア

洗濯では洗い工程における強い機械力により布同士がひっかかることで衣類同士のからまりが発生します。
衣類がからまった状態で脱水されると、取り出し時のからまりや干す時の衣類しわなど、洗濯の大きなストレスにつながります。

界面活性剤は、水中での集合状態に起因して洗浄と表面改質*1 などの機能を発現することが知られています。界面活性剤が球状の集合体(ミセル)として存在すると洗浄力を発揮し、二重膜のカプセル状の集合体(ベシクル)の状態をつくると表面に付着しやすくなり表面状態を変化させることができます。
そのため、衣料用洗剤中に含まれる界面活性剤は洗浄性に優れるものの、摩擦抑制をはじめとする表面改質性には劣ることが一般的でした。これは衣料用洗剤の使用場面のような低濃度域において、ミセルとベシクルという異なる集合体を形成することが非常に難しかったからです。

花王は、独自開発したアニオン界面活性剤(アルキル鎖の炭素数が18のバイオIOS:C18IOS)が、洗濯環境下において水道水中の硬度成分*2 を活用することでその集合体の構造を変化できることを明らかにしました。
これにより希釈濃度(洗い工程~すすぎ工程)によってミセルとベシクルを形成し、洗浄と繊維間摩擦を低減(表面改質)させることの両方の機能を発現できることを発見しました。

本質を追求する界面化学研究を通じて、衣料用洗剤に新たな価値を提案していきます。

  • * 1 対象表面の性質を変えて、潤滑能・帯電防止能などを付与すること(ヘアコンディショナー、繊維柔軟剤などに用いられる)
  • * 2 カルシウムイオンやマグネシウムイオン

水道水中でのバイオIOS(C18IOS)の集合状態の変化、洗浄時相当ではミセル(粒径数nm)、すすぎ時相当ではベシクル(電子顕微鏡写真あり、粒径約200nm)、さらに低濃度ではモノマー

水道水中でのバイオIOS(C18IOS)の集合状態の変化

バイオIOS:C18IOSの代表構造の分子モデル、隣接した2つの親水基と分岐アルキル鎖の疎水基からなる

バイオIOS(C18IOS)の代表構造の分子モデル

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