新衛生検査法の確立による施設感染予防ソリューション

衛生科学

新型コロナやインフルエンザなどの感染症では、感染者のウイルスを含む唾液飛沫が物に付着し、それを非感染者が触ることで体内にウイルスを取り込んで感染する、接触感染が経路のひとつと考えられています。
感染防止には、周辺環境を衛生的に保ち、経路を遮断することが重要です。昨今では、効率的な衛生管理のために、ウイルスが付着した場所を特定する簡便な方法が求められています。

ウイルスの多くは感染者の唾液と共に体外に飛散します。

唾液に含まれる成分、タンパク質(アミラーゼ、ムチンなど)、無機質(カルシウム、リン酸など)、口腔細菌、その他(白血球、食物残渣など)、感染者の唾液にはウイルスが存在

唾液に高濃度で存在するアミラーゼの、環境表面に存在する量を視覚的に判別する方法として、抗原抗体反応を利用したイムノクロマト法を用いることを検討しました。
唾液飛散が起こる行動(咳、くしゃみ、食事)の実施前後に、周囲のプレート表面でのアミラーゼ検査を行いました。その結果、唾液飛沫が付着していると考えられる対象者周辺のプレートからはアミラーゼが検出され、距離が遠いプレートでは検出されませんでした。

イムノクロマト法によるアミラーゼ量の検出結果、基準に対するテストラインバンドの濃さで判定、アミラーゼ量 125ng(ナノグラム)ー濃さ3プラス、62ngー濃さ2プラス、31ngー濃さ1プラス、0ngー濃さマイナス

モデル行動(咳、くしゃみ、会話を伴う食事)と検査位置によるアミラーゼ検査結果との関係、咳、胸元、バンドの濃さ1プラス、くしゃみ、足元、3プラス、約2m、1プラス、約3m、マイナス、会話を伴う食事、胸元、2プラス、テーブル中央、1プラス

感染者の唾液飛沫の付着場所は、消毒剤などを使用して清拭し、衛生的に保つことが重要です。本研究で見いだした知見を用いて、効率的な衛生管理に貢献できるような取り組みを進めていきます。

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