Cryo-ToF-SIMS/SEMによる溶液の組成・構造解析

解析科学

花王では、洗剤やスキンケア製品などさまざまな液体状の製品を開発しています。製品に含まれる界面活性剤や油剤、高分子などの成分は、種類や濃度によってエマルション、ミセル、液晶などの多様な微細構造を形成しています。
より高機能で高い安定性を持つ製品を開発するためには、機能に関与する微細構造において個々の成分の分布を明らかにすることが必要です。しかし、含まれている成分は多種多様であり、詳細に解析することは困難でした。

花王は、名古屋大学との産学連携により、複数の成分分布が解析できる質量イメージング技術と、極低温で微細構造を観察できる電子顕微鏡を組み合わせたcryo-ToF-SIMS/SEMを導入し、溶液の組成・構造複合解析に取り組んできました。
解析技術は、モデル柔軟剤の安定性評価に応用しています。これまでに、保存性の異なる柔軟剤の液中に形成される微細構造の詳細な組成を解析し、界面活性剤のアルキル鎖長やアルキル鎖数の違いによって微細構造中の分布が異なることを明らかにしました。

花王の解析科学研究では、溶液の組成・構造複合解析技術の開発により、さまざまな製品の機能発現に関する本質を解明していきます。

Cryo-SEMで観察した溶液構造にCryo-TOF-SIMSで分析した界面活性剤と油剤の空間分布を重ね合わせた画像

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