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2020年09月23日

環境に配慮した原料『C-HPC(カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース)』および、環境負荷を低減させた新規製造法の開発により

近畿化学協会2019年度「環境技術賞」&セルロース学会2019年度「技術賞」をダブルで受賞

花王は、住居用の洗剤やヘアケア製品、化粧品などの商品を提供しているメーカーですが、配合する原料から自社で研究、開発することも数多くあります。マテリアルサイエンス研究所が15年をかけて開発・実用化したセルロース誘導体『C-HPC(カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース)』もそのひとつです。
この原料は、シャンプーなどのヘアケア製品に配合すると、泡を安定化させることで泡の量を増やしたり、シリコーンなどの油分を均一に行き渡らせて髪をまとまりやすくしたり、また皮脂を吸着させて髪をべたつきにくくしたり、というような目的で使われるポリマーです。配合する量はごく少量ですが、商品を使いやすくしたり、魅力のある機能を実現する、とても重要な成分といえます。

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C-HPCを配合している商品の例
(左から、メリットシャンプー、エッセンシャルシャンプー、ビオレuボディウォッシュ)

※商品の感触や性能は、ひとつの成分だけではなく、さまざまな原料の組み合わせによってかわります。
C-HPCの配合目的は、商品によって異なります。


原料から自社で研究開発するのは、目標とする性能を発揮させるためだけではありません。花王は、その原料がどんなものからできているか、生産する際にいかに環境に負荷をかけないかという視点も大切にしています。
『C-HPC』は、セルロースからつくられる植物由来の原料です。セルロースは、化石燃料ではない(資源を枯渇させない)、使用する際に二酸化炭素を増加させないといった点から、環境調和型素材といわれています。また非可食なため食料と競合しないといったメリットもあります。
さらに、『C-HPC』の生産については、環境負荷の少ない製造法の開発にも長年研究を重ねました。開発した方法では、製造の際に使う化学物質を極力減らし、精製工程を簡略化することで、従来製造法に比べて、製造時の使用エネルギー量を93%、CO2排出量を75%削減できるようになりました(花王試算)。

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このような研究の成果が専門分野の団体から認められ、今年、花王マテリアルサイエンス研究所と加工・プロセス開発研究所、ヘアケア研究所は、以下の2つの賞を受賞しました。


◆近畿化学協会 「第20回環境技術賞」 2020年5月29日
地球環境との共存並びにその維持・改善を積極的に意識した新技術で工業的・社会的・学術的価値が明らかであること、顕著な業績を上げた際、与えられる賞です。

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近畿化学協会 「第20回環境技術賞」の賞状・記念品

◆セルロース学会 「技術賞」 2020年9月4日
セルロースに関する技術について、優秀な研究・開発を行ない、セルロース関連の工業の発展に貢献した際、与えられる賞です。

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セルロース学会 「技術賞」の賞状・記念品

花王は、今回の受賞を励みに、より一層“ESG視点でのよきモノづくり”を推進し、環境や価値創造に貢献できる技術・素材の開発にも挑戦してまいります。

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