• 研究開発トピックス

2015年11月27日

花王が独自に開発した「眼刺激性試験代替法STE試験」がOECD*1 テストガイドラインとして承認

花王が独自に開発した細胞を用いる眼刺激性試験代替法である短時間曝露試験法(Short Time Exposure(STE))は、日本動物実験代替法学会、JaCVAM*2 主導のバリデーション評価*3 、さらにICCVAM*4 による国際審査を経て、2015年7月に細胞培養系の眼刺激性試験代替法としては世界で初めて非刺激性物質、強刺激性物質のGHS区分*5 を可能とする国際的な試験法であるOECD テストガイドライン491として認められました。

採用された眼刺激性試験代替法「STE試験」

近年、動物愛護、EU域内での動物実験禁止等から動物を用いない化学物質の安全性試験の必要性が益々高まっています。動物を用いない眼刺激性評価法の開発研究は1980年代から行なわれており、細胞毒性試験、再構築組織モデル、摘出角膜や摘出眼球を用いたものなどさまざまな方法が開発されています。一般に培養細胞を用いる細胞毒性試験は、方法が簡便、迅速であり評価コストが安価という利点がありますが、一方で、試験試料を添加培養して評価するので、水溶性原料は評価できますが、難水溶性原料の評価には課題がありました。

花王では、眼刺激性試験代替法開発を2000年から開始し、実際の曝露状況に近いと考えられる短時間曝露で評価し、一定濃度での細胞生存率を眼刺激性の有無の判断指標としたSTE試験を確立しました*6 。STE試験は、試料溶媒として生理食塩水に加えミネラルオイルを用いることができることで、これまでの課題であった難水溶性原料、酸、アミン等の評価も可能としました。眼刺激性試験代替法「STE試験」が、OECDテストガイドライン491として2015年7月に承認されたことにより、今後、このSTE試験が欧州のREACH申請や化粧品開発に関する眼刺激性評価に広く利用される可能性が高まり、世界レベルで動物実験の削減に貢献できると考えています。また、化粧品業界、化学工業会、医薬品業界で活用されることで各業界の発展にも寄与できるものと考えています。

  1. *1 OECD:経済協力開発機構
  2. *2 JaCVAM:日本動物実験代替法評価センター(Japanese Center for the Validation of Alternative Methods)
  3. *3 バリデーション:複数の施設において、試験法の有用性、再現性などを確認するための試験
  4. *4 ICCVAM:米国動物実験代替法検証省庁間連絡委員会(Interagency Coordinating Committee on the Validation of Alternative Methods)
  5. *5 Globally Harmonized System(GHS):化学品の分類および表示に関する世界調和システム
  6. *6 Y. Takahashi, et.al., Toxicology In Vitro., 22, 760-770(2008)
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