
花王は、事業のグローバルな広がりに伴い、アジア・米州・欧州においても、高付加価値商品を継続して生み出すべく、消費者・顧客視点での“よきモノづくり”を基本姿勢として、積極的に研究開発活動を推進しています。
一般消費者に向けたコンシューマープロダクツの分野では、各地域の人々の絶え間なく変化する生活習慣や嗜好、人種による肌や髪質の違いなど、消費者の生活やニーズの探索を行い、その知見に商品開発研究、基盤技術研究の成果や技術を融合させながら、各地域の消費者の要望に応えるための商品開発を行っています。
一方、市場そのものが国境を越える工業用製品の分野では、花王独自の基盤技術に基づいた多様な製品を積極的に世界で展開しています。
グローバルな研究開発活動においては、「対話」がより重視されます。消費者との対話はもとより、さまざまな研究分野の専門家同士が組織・地域の別を問わず、対話や議論を重ね、真に世界に通用する新しい技術や価値を生み出しています。
日本の研究所の萌芽は、花王が明治20年に長瀬商店として発足した時に既に芽生えていたといえます。研究所として正式に設立されたのは、1934年の家事科学研究所が最初となります。
その後、事業の発展とともに研究分野が広がり、商品開発研究では、5つの事業分野である「ハイジーン&リビングケア」「ヘルス&ビューティケア」「ライフケア」「化粧品」「ケミカル」での研究に取り組んでいます。また、物質科学、生命科学、人間科学、生産技術といった基盤技術研究の諸機能がここに集約され、海外の研究所とも有機的に協働しながら、日々、革新的な商品・技術の開発を進めています。
さらに、2014年7月には、カネボウ化粧品小田原研究所を花王小田原研究所と改組し、花王グループトータルの化粧品研究開発の拠点としました。

東京

和歌山

栃木

小田原
花王欧州研究所(EuRL)は、ドイツ・ダルムシュタットに位置し、花王のグローバルなヘアケア事業を支える主要拠点です。Goldwell、Kerasilk、KMSなどのプロフェッショナルサロンブランドに加え、John FriedaやGuhlといったコンシューマーブランドの開発を担い、さらにロンドンに本社を置くMolton Brownの成長にも貢献しています。
EuRLでは、ヘアカラー剤やパーマ剤からシャンプー、コンディショナー、スタイリング製品に至るまで、幅広い製品の研究・開発を行っています。さらに、毛髪科学の理解を深め、多様な髪のニーズに応える新しい価値を提案しています。プロの美容師や消費者から得られる知見をもとに、急速に変化するヘアケア業界における革新を推進しています。
花王のヘアケアブランドの競争力を高める拠点として、EuRLは世界中の人々に新しい価値を届ける革新を追求し、研究開発の過程で環境や社会への配慮も重視しています。


花王米州研究所(AmRL)は、米国オハイオ州シンシナティに拠点を置き、Jergens、Ban、Bioré、Curel、Bondi SandsといったKao USA Inc.の主要ブランドの製品開発を担っています。生み出された革新的な製品は、北米・南米、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、そして世界中の市場へと届けられています。
AmRLでは、多様な専門分野が連携しながら研究開発に取り組んでいます。さまざまな肌タイプに関する研究やスキンケア製品の処方開発から、安全性評価、香りの創出、パッケージデザイン、臨床試験に至るまで、幅広い知見が集結しています。
「人々が日々の生活の中で真の美しさを実感できるように」という使命のもと、AmRLは確かな効果を提供するだけでなく、喜びや感動、安心、そして信頼をもたらす製品を創り出し、世界中のお客様に笑顔を届けています。


上海に拠点を置く花王中国研究開発センター(KCRC)は、アジアにおける重要なイノベーション拠点です。KCRCの研究分野には、ビューティケア(スキンケア・ヘアケア)、ヘルスケア、衛生用品があります。中国の消費者の暮らしやニーズに寄り添い価値創造することで、高付加価値製品を効率的に開発し、その成果をアジア各地でも展開しています。
KCRCは、中国の研究コミュニティとの幅広いつながりを活かし、中国・アジアに暮らす人々のより良い生活に貢献しています。さらにKCRCは、伝統中国医学の研究を続け、花王のホリスティック研究と融合させることで、中国独自の知恵を生かした新たな価値創造に取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、KCRCは今後も、「すべての人に、より美しく健やかな暮らし」を届け続けます。


花王台湾研究所(ASRL(TW))は、新竹県に拠点を置き、台湾、香港をはじめとする地域の生活者の暮らしに貢献しています。
当研究所は、スキンケア・ヘアケア、ファブリック&ホームケア、ヘルスケアなど幅広い分野で研究を展開しており、日本の研究開発チームと密接に連携しながら、生活者の真のニーズを的確に捉え、それに応える技術の創出に取り組んでいます。
ASRL(TW)の研究活動は常に、「社会と共に守り、共に生きる」という理念に基づいて進められています。社会課題の解決を目指し、独自の抗ウイルス機能を備えたファブリックケア製品や、ペットとの快適な共生を支えるソリューションの開発などを進めています。また、プラスチックやCO2の削減などに取り組む活動を通じて、外部機関から多数のESG関連表彰を受けています。
ASRL(TW)は、革新的な研究を通じて、よりよい暮らしと持続可能な社会の両立をめざしています。


花王アジア研究所(ASEAN)(ASRL(ASEAN))は、バンコクに拠点を置く花王コンシューマープロダクツ(東南アジア)株式会社の研究開発拠点であり、ASEAN地域における花王のイノベーション拠点としての役割を担っています。ASEAN各国の生活文化や多様なニーズを的確にとらえ、地域に根ざした研究を進めています。ASRL(ASEAN)はヘルス&ビューティケア事業に注力し、ビオレ、メンズビオレ、フェザーといった主要ブランドの開発を推進しています。現地の生活者の声や課題に耳を傾け、文化やライフスタイル、生活習慣や嗜好といった側面だけでなく、強い紫外線、熱帯気候、大気汚染などの都市環境といった地域特有の条件に対応した製品を生み出しています。花王の先進技術と現地の視点を融合させ、ASRL(ASEAN)は人々の暮らしを快適にするソリューションを開発し、消費者に喜ばれる製品を提供しながら、ASEAN市場での持続的な価値創出をめざしています。


欧州花王化学(KCE)は、バルセロナ近郊の4工場を核に、ドイツやメキシコを含む計7つの拠点で研究・製造・技術サービスを展開し、欧州・中南米から中東・アフリカまで幅広い市場へソリューションを提供しています。
KCEの研究開発は、「界面活性剤技術」「オレオケミカル」「アロマケミカル」「イメージング材料」を柱として、界面活性剤や脂肪アミン、香料原料、ポリエステル樹脂、トナー、インクジェットインクなど多彩な製品を創出し、産業・消費者双方のニーズを先取りした高付加価値製品を提供しています。
また、KCEは環境と人々の健康への配慮を最優先に掲げ、エネルギーやCO2排出削減を重視した環境配慮型の製品・プロセスを追求しています。社員の主体性とステークホルダーとの協働を原動力に、持続可能な社会の実現と顧客価値向上の両立をめざしています。


花王インダストリアル研究所(KIT)は、チョンブリー県アマタ工業団地に拠点を構え、ASEANおよびインド市場における花王の化学事業の最大級の開発拠点として機能しています。急速に成長を続けるこれらの地域において、グローバル競争力を高める戦略拠点として、現地のニーズに即した製品開発や技術サポートに取り組んでいます。
KITは、長年にわたり培った知見と先進技術を活かし、油脂誘導体、界面活性剤、機能性ポリマー、香料化学品を中心に研究開発を推進しています。これらは化粧品・トイレタリー、農業、鉄鋼・金属、精密洗浄、建設、鋳造、プラスチック・ポリマーなど幅広い分野で活用されています。
KITはお客様とともに新たな価値を創造し、省エネルギーの推進やCO2排出削減に取り組み、持続可能な未来の実現に貢献していきます。


花王インドネシア化学研究所(KIC)の研究開発拠点は、インドネシア・カラワンに位置し、トイレタリーや農業分野をはじめ、インフラ、金属・資源分野、さらには道路舗装材や高機能タイヤといった特殊用途まで、多様な市場に向けて革新的な価値を生み出しています。
KICの研究開発組織は、花王が誇る先進的な界面活性剤技術を活用し、インドネシアのみならずASEAN全域に貢献できるソリューションを創出しています。KICはお客様と密接に連携しながら処方を開発・最適化し、地域特有のニーズに応える性能評価を行っています。高度な技術知見と花王グローバルR&Dネットワークを融合させることで、持続可能で高品質な製品と技術サポートを、消費者市場および産業市場の双方にお届けしています。

