発表資料: 2020年10月14日

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花王、アピカルグループ、アジアンアグリがインドネシアの小規模パーム農園の支援プログラム「SMILE」を開始

花王株式会社(社長・澤田道隆)と油脂製品製造および販売会社のアピカルグループ(英語名: Apical Group、President: Dato’Yeo How)、農園(プランテーション)会社のアジアンアグリ(英語名:Asian Agri, Managing Director: Kelvin Tio)の3社は、パーム油の持続可能なサプライチェーンの構築をめざし、インドネシアの小規模パーム農園の生産性向上、持続可能なパーム油に対する認証の取得を支援するプログラム「SMILE」 (SMallholder Inclusion for better Livelihood & Empowerment program)を開始します。

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インドネシアの小規模パーム農園の様子

パーム油は、加工食品、食用油、バイオディーゼル燃料、洗剤原料などに広く使われ、世界でもっとも消費されている植物油で、主にインドネシア、マレーシアで生産されるアブラヤシのパーム果実から採取されます。一方、インドネシアでの新規農園開発における森林ならびに野生生物の生息地の破壊と、先住民の人権侵害、パーム農園で働く労働者の労働環境、児童労働などが大きな社会問題になっています。このような問題に対し、花王、アピカルグループ、アジアンアグリの3社は、環境や社会に配慮したサプライチェーンの構築を実現するために、RSPO*1 での活動や、農園までのトレーサビリティの確保といった取り組みを進めています。しかし、インドネシアでパーム果実の生産量の約30%を占める小規模パーム農園では、生産技術に関する情報の不足による低い生産性に加え、貧困や劣悪な生活環境など、さまざまな課題を抱えており、その取り組みはまだ道筋が見えていない状態です。

  • * 1 Roundtable on Sustainable Palm Oil、持続可能なパーム油の生産と利用を促進するための円卓会議

3社は、こうした小規模パーム農園が抱える課題の解決に向けて、協働で支援を実施。生産者と対話をしながら、生産性向上に向けて農園の管理方法や技術を指導していきます。そして、収穫量の増大による新規農園開発の抑制、持続可能なパーム油に対する認証の取得支援、生産者の生活の改善・向上をめざします。花王、アピカルグループ、アジアンアグリは、これからも、社会のサステナビリティへ貢献するべく、可能な部分から取り組んでまいります。

【小規模パーム農園支援 概要】
●支援内容

支援対象となる小規模パーム農園に対し、経験豊富な農園管理・技術指導グループを編成。農園を訪問し、以下3点を実施します。
(1) 持続可能性に配慮した生産管理方法と生産性向上に向けた教育
(2) RSPO認証取得に向けた支援
(3) 安全な作業方法に関する教育と、ヘルメット・手袋といった安全対策器具の支給や消火器の設置等

●実施期間
2020年~2030年の11年間

●実施場所
インドネシア 北スマトラ州・リアウ州・ジャンビ州

●目標値
対象小規模パーム農園数 約5,000件 (農地面積:約18,000ヘクタール)

花王グループのESG(環境、社会、ガバナンス)に関する取り組み

花王グループは、毎日の暮らしの中で使用する製品を提供する企業の責務として、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷の低減に積極的に取り組んでおり、米国S&Pダウ・ジョーンズ社とスイスのロベコSAM社が開発した、持続可能性(サステナビリティ)に優れた企業を選定する「Dow Jones Sustainability World Index」(DJSI World)他、多くの外部機関から評価を受けています。2019年4月にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)を策定し、19の重点取り組みテーマを設定。経営にESGの視点を導入することで、事業の拡大と消費者や社会へのよりよい製品・サービスの提供を推進しています。今回の取り組みは、重点取り組みテーマの、「責任ある原材料調達」の一環として行ないます。

製品のライフサイクル全体の中で、環境負荷が高い原材料調達の過程におけるパーム油の調達については、「『持続可能なパーム油』の調達ガイドライン」を公表しています。森林破壊ゼロの支持を表明した上で、倫理的な課題にも配慮した持続可能な調達の推進と、トレーサビリティの確認を実施しています。また、2007年からRSPO*1 に加盟しパーム油認証品の購入を進めるとともに、2018年には全工場のSCCS*2 認証取得を完了しています。2019年に設立した「持続可能なパーム油のための日本ネットワーク」(JaSPON)には、理事として参画しています。

「SMILE」プログラムでは、花王が開発した植物原料由来の高濡れ性展着剤「アジュバントシリーズ」を農園に提供します。「アジュバントシリーズ」は、農薬散布時に薬剤をより確実に植物表面に付着、広げるはたらきがあります。この効果によって、農園の生産性の向上と、農薬使用量の低減による収益改善、環境負荷の低減といった効果が期待されます。有効利用方法に関する技術指導は、アピカル、アジアンアグリと共に行なう予定です。また、花王は「SMILE」プログラムで支援する農園とは別の約500件の農園に対し、小規模パーム農園の持続可能な生産管理と生産性向上、生産者の生活環境改善の観点から、効果的なサポートが行なわれているのか、さらなる改善が可能な分野などについて、NGOや現地NPOと連携しアンケート調査や分析も実施していきます。

  • * 2 Supply Chain Certification System、生物多様性保全のための厳しい条件をクリアし、RSPO に認められた農園で収穫した持続可能なパーム油を使った製品を生産・販売し、消費者に届ける目的でつくられたサプライチェーンシステム

アピカルグループについて

アピカルグループは、インドネシアにおけるパーム油輸出企業最大手のひとつであり、インドネシア国内および輸出向けパーム油の精製、加工を行なっています。インドネシア、中国、スペインに生産拠点があり、5つのパーム油精製工場、3つのバイオディーゼル工場に加え、オレオケミカル工場、パーム核搾油工場をひとつずつ所有しています。アピカルは、インドネシアにおける広範な調達ネットワーク、戦略的に立地された精製設備、効率的な物流網により、幅広い顧客からの要望に対応しています。独自のビジネスモデルと世界水準のパーム油精製設備、貯蔵・輸送施設によって、製品の品質を維持した上で、サステナビリティや食の安全の問題に取り組んでいます。

「Apical Sustainability Policy 2014」を開始して以来、事業活動や子会社内、サプライヤーとのパートナーシップの中で、世界基準とベストプラクティスを採用することにより、変革の道を歩んできました。アピカルのパーム油精製工場は2010年からISCC*3 の認定を受けており、2011年からRSPO*1 のメンバーとなっています。2015年にはパーム搾油工場までのトレーサビリティを達成。2020年までにパーム農園までの完全なトレーサビリティの実現をめざし、保護価値の高い(HCV)*4 地域、炭素貯蔵量の多い(HCS)*5 地域、泥炭地の保護と、社会経済発展に向けた活動を推進しています。2017年からはTropical Forest Alliance2020(TFA 2020)にも参画しています。TFA2020は、パーム油、牛肉、大豆、パルプ・紙などの商品の供給に伴う森林破壊を減らすため、政府、民間、市民団体が参画した、世界的なパートナーシップです。また、環境NGOのEarthwormやProforest、環境コンサルタントのDaemeterとの協働により、責任ある調達と継続的なサプライチェーンの改善を行なっています。アピカルは、グローバル市場のニーズに対応した高価値製品を提供するため、事業の基本となる持続可能な経営に取り組んでいます。

  • * 3 International Sustainability & Carbon Certification、バイオ燃料の持続可能性の認証制度
  • * 4 High Conservation Value、保護価値の高い
  • * 5 High Carbon Stock、炭素貯蔵量の多い

詳しくは、アピカルのウェブサイト(英語)をご覧ください。

アジアンアグリについて

1979年創業のアジアンアグリは、インドネシア最大のパーム油生産者のひとつです。現在、100,000ヘクタールの自社農園を所有し、2万5000人以上を雇用しています。1980年代にインドネシア政府主導で実施された、移住を伴う農園拡大施策のパイオニアであり、リアウ州やジャンビ州で契約パーム農園を主体に、彼らの生活の質および経済的発展に貢献しています。1994年以降、厳格な「野焼きゼロ」政策と、持続可能な植林管理におけるベストプラクティスを実施しているほか、工場では、先端技術の活用により、エネルギーを自給自足し、温室効果ガスの排出を最小限に抑えています。

2006年からRSPO*1 のメンバーであり、北スマトラ州、リアウ州、ジャンビ州で所有する自社農園の86%以上、リアウ州、ジャンビ州の契約パーム農園の100%がRSPO*1 の認証を、すべての自社農園と契約パーム農園はISCC*3 の認定を受けています。また、アジアンアグリはISO 14001の認証を受けており、リアウ州にある教育機関と保育研究センターは、ISO 9001の認証を受けています。トゥビンティンギの研究開発センターの実験室は、国家認定委員会(ILAC相互承認協定『ILAC MRA』)によって認定されています。

詳しくは、アジアアグリのサイト(英語)をご覧ください。

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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