発表資料: 2021年05月24日

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日本化学工業協会第53回日化協技術賞「環境技術賞」を受賞
超低温定着トナー『LUNATONE®』の開発

花王株式会社(社長・長谷部佳宏)は、このたび「超低温定着トナー『LUNATONE®』の開発」により、一般社団法人日本化学工業協会の第53回(2020年度)日化協技術賞「環境技術賞」を受賞しました。この賞は、優れた化学技術の開発や工業化によって化学産業ならびに経済社会の発展に寄与した業績が表彰されるものです。その中で、「環境技術賞」は環境負荷低減に対して著しい効果がある独創的技術あるいは改良技術で、科学技術の進歩に寄与した団体に与えられます。同賞の受賞は今回で4回目となります。

受賞研究の背景と概要

このたび花王は、レーザープリンターなどの印刷に用いる、超低温で定着可能なトナー『LUNATONE®』を開発しました。
レーザープリンターでは、トナーを熱や圧力によってとかし、用紙に定着させることで印刷を行ないますが、トナーの定着にはエネルギーの消費が大きく、環境負荷低減の観点から低温での定着化技術が求められていました。しかし、低温定着が可能なトナーは輸送・保管時の熱でトナー同士が凝集・融着してしまうため、耐熱保存性を維持することが困難でした。
『LUNATONE®』は、独自のポリエステル設計技術・界面制御技術を応用することで、従来の花王の低温定着トナーと比較して40℃低い、100℃以下の温度での超低温定着*1 と耐熱保存性の維持に成功。これにより、これまで印刷が困難だったラベルやパッケージなどの熱に弱いフィルムへの印刷が可能となりました。また、通常のトナーよりも熱応答速度が速いため、瞬時に濡れ広がって印刷面を覆うことで、少ないトナー量でも従来と同濃度の印刷ができ、トナー使用量の大幅低減を実現します。

  • * 1 花王所有外部定着機、トナー量0.45mg/cm2、A4縦35ppmでの評価

《 『LUNATONE®』の特長 》
1. 結晶性ポリエステルを高含有したポリエステル系コアシェル型トナー
2. 100℃以下の超低温定着*1 と耐熱保存性の維持、およびトナー使用量の大幅低減を実現
3. 印刷時に使用するトナー由来のCO2排出量を従来から40%削減*2
4. 従来のトナーでは印刷が困難だった熱に弱いフィルムへの印刷が可能

  • * 2 LCAを用いて、花王現行トナーと比較・評価した結果

花王は『LUNATONE®』により、オフィス印刷や産業印刷などの印刷市場全体の環境負荷低減に貢献します。また、今後も豊かな生活文化の実現と社会のサステナビリティの貢献に向けて、研究知見を結集・融合し、本質研究を深化させることで、環境への負荷低減と機能性を両立する商品づくりを進めていきます。

参考:花王の日化協技術賞「環境技術賞」受賞履歴

第37回(2004年度) Pd/C触媒を用いたアルコールとカルボニル化合物からのクリーンなエーテル製造法の開発
第41回(2008年度) 鋳造用湯道管『EGランナー』の開発
第45回(2012年度) 超濃縮衣料用液体洗剤『アタックNeo』の開発

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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