発表資料: 2021年01月18日

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「Fine Fiber Technology(ファインファイバーテクノロジー)」
肌を守る機能が明らかに
極薄膜が、外的な要因から肌を保護するとともに肌の皮脂を吸着

花王株式会社(社長・長谷部佳宏)スキンケア研究所、メイクアップ研究所、解析科学研究所は、直径が1ミクロン以下の極細繊維を肌に直接ふきつけることで、軽く、やわらかく、自然な積層型極薄膜を肌表面につくる技術「Fine Fiber Technology(ファインファイバーテクノロジー)」によりつくられる極薄膜の機能を、「肌の保護」という観点から解析しました。
この検討により、ファインファイバー膜は、花粉やPM2.5などを肌に触れさせず、同時に、肌からでる皮脂も吸着するという機能を見いだしました。膜に付着した汚れや過剰な皮脂は、はがすことで簡単に取り除くことが可能です。

背景

身体の最外層にある肌は、常にさまざまな環境の影響を受けています。肌に外から影響を与えるという意味では、近年、日本のみならず中国、欧米において、大気汚染などに対する意識が高まっています。また昨今、世界中の多くの人々が日常的にマスクをして生活する中、マスクを着用すると肌の調子が悪いといった声も多く聞かれます。
花王が2018年に発表したファインファイバーテクノロジーは、肌上に直径が1ミクロン以下の極細繊維が折り重なった極薄膜を形成する技術です。花王はこの極薄膜の機能性を検討し、ファインファイバー膜で肌を覆うと肌表面の水分の蒸散を制御して肌を良好な状態に保つ、またファインファイバー膜の上にベースメイク化粧料を重ねると、肌の凹凸をカバーしてシミも美しくカバーできるなど、さまざまな機能を見いだしてきました。今回はさらに、「ファインファイバーの膜構造が肌を守る」という視点から、検証を行ないました。

(1)ファインファイバーの折り重なった繊維がつくる細かな隙間の直径は平均して1.8ミクロン
ファインファイバー膜は極細繊維が重なりあった立体構造をしており、多数の細かな隙間があります。今回花王は、この細かな隙間(図1に赤で表示)の大きさ(細孔径分布)をポロシメーターを用いて測定。その結果、ファインファイバー膜の細穴径は概算で1.8ミクロン程度、大気汚染物質(汚れ)の大きさと比較すると、PM2.5を捕捉可能なサイズであることが確認できました。

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図1. 極細繊維がつくる立体構造膜の細かな隙間

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図2. ファインファイバーの細穴径と大気汚染物質(汚れ)の大きさの比較

(2)外部環境からの保護 ~大気汚染物質(汚れ)の付着抑制
モデル皮膚上にファインファイバー膜をつくり、その上に、花粉、塵・ほこり、黒煙、PM2.5などの大気汚染物質(汚れ)を付着させ電子顕微鏡で観察しました。得られた画像から、これらの大気汚染物質はファインファイバー膜の隙間または膜上に保持されていることを確認しました(図3)。また、これらの微粒子(汚れ)が付着した膜をはがすと、モデル皮膚上から大気汚染物質をほとんど除去することができました。このことから、肌に形成したファインファイバー膜はフィルターのようにはたらき、さまざまな汚れ物質を捕捉して肌に付着させない役割を果たすことがわかりました。

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図3. 大気汚染物質(汚れ)がファインファイバー膜に付着した様子

(3)外部環境からの保護 ~こすれや摩擦の低減
肌にファインファイバー膜を形成したときの、物理的刺激(こすれや摩擦など)からの保護効果について確認しました。20~30代の男性および女性計5名を対象に、肌上に一定時間残る製剤を塗布したあと、片方の頬にのみファインファイバー膜を形成し、4時間程度マスクを着用してもらいました。マスク着用後すぐと、4時間後、肌上に残った製剤とファインファイバー膜の残存状態を両方の頬で比較し、こすれの程度を可視化、定量化しました。
その結果、ファインファイバー膜をつけていない側の頬は、製剤による塗膜の大部分がなくなっていたのに対し、ファインファイバーをつけた側の頬は、4時間経過後にマスクを外した際にも、ファインファイバー膜と製剤が肌に残っていることが確認できました(図4)。このことから、肌に形成したファインファイバー膜は、製剤を保持するだけでなく、この膜によってマスクのこすれや摩擦の影響を少なくさせることができると考えられます。

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図4. ファインファイバー膜がマスクによるこすれの影響を少なくする様子

(4)肌から分泌される皮脂を除去
ファインファイバー膜は、多孔質の構造により強い毛管力がはたらいていることがこれまでの検討からわかっています。そこで、膜の内側には肌から出る皮脂が吸着されているのではないかと考え、検証を行ないました。
20~50代の女性29名の片側の頬にファインファイバー膜をのせ、4時間経過後に、両頬の素肌をシガレットペーパーで拭って皮脂を回収し、皮脂量を液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)で定量しました。その結果、4時間後には、ファインファイバーを使っていない頬に皮脂が多く、ファインファイバーを使用した側は少ないことを確認しました。一方で、肌からはがしたファインファイバー膜を同様にLC/MSで定量したところ、分泌された皮脂の約70%は、ファインファイバーの膜に移行していたことがわかりました(図5、6)。

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図5. 4時間経過後の肌上の総皮脂量

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図6. ファインファイバー膜側への皮脂吸収特性

まとめ

今回の検討で、ファインファイバー膜は、花粉やほこり、PM2.5などの大気汚染物質(汚れ)が直接肌につくことを防いだり、摩擦などの物理的刺激から肌を保護したりする機能があること、また同時に、余分な皮脂を膜中に捕捉する機能もあることがわかりました。膜に付着した汚れや過剰な皮脂は、はがすことで簡単に取り除くことが可能です。
花王は、ファインファイバーテクノロジーのこういった知見を、大気汚染などの関心が高いエリアでの活用や新しい使用場面の提案につなげていきたいと考えます。さらに、新しい着眼点の商品開発も継続していく予定です。

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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