発表資料: 2020年11月12日

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塗るだけでほうれい線を目立たなくする、新しいメイクアップ技術を開発

花王株式会社(社長・澤田道隆)メイクアップ研究所、生物科学研究所、解析科学研究所は、塗るだけでほうれい線を目立たなくする新しいメイクアップ技術を開発しました。
今回の研究成果は、第31回IFSCC(国際化粧品技術者会)Congress 横浜大会(2020年10月21~30日、オンライン開催)にて発表しました。

背景

人の見た目の年齢は、シワやシミ、深く刻まれたほうれい線(鼻唇溝)などの肌状態にも影響を受けます。なかでも、40代以上の女性の多くは、ほうれい線に悩んでいることがわかっています。ほうれい線は、目もとや額などほかのシワと比較して深く、さらに重力によりたるんだ肌が上から覆いかぶさり影が強調されることから、ファンデーションやコンシーラーなどを用いてカバーすることが難しいと考えられてきました。そこでこのたび、頬のたるみを手で持ち上げると、ほうれい線が目立たなくなることに着目し、頬のたるみを物理的に持ち上げることで、ほうれい線を即時に目立たなくするメイクアップ技術の開発に取り組みました。

ほうれい線を目立たなくするメイクアップ技術の開発

特定のポリマーを含む液体は、乾燥すると収縮して膜をつくる性質があります。今回、その収縮する力を利用して頬のたるみを持ち上げられないかを検討しました。
まず、頬のたるみを持ち上げるために必要な力を調べ、その力に相当する塗膜の乾燥時の収縮率を算出しました。さらに、製剤が乾燥した時に塗膜が割れないようにするためには柔軟性も重要であることから、高い収縮性に加え、肌への密着性も高く、適度な柔軟性も有するポリマーのスクリーニングを行ないました。収縮率は、PETフィルムに製剤を塗布し乾燥した時に生じる曲がり角度から算出しました。柔軟性は、製剤を乾燥させた塗膜を、直径の異なる円筒形のPETフィルムに沿って折り曲げ、膜が割れない最小の直径をもとに評価しました。
その結果、あるシリコーン系の疎水性ポリマーが、収縮性と柔軟性、両方の特性を発現するユニークな素材であることを見いだしました(図1)。

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図1 ポリマーの収縮率と柔軟性の比較

さらに、肌に塗った時に自然な仕上がりにするためには、薄く塗布しても同様の収縮力を保つことが必要です。このポリマーの収縮率は速く乾燥するほど高くなるため、揮発性の高い油剤を加えモデル処方を完成させました。

モデル処方を塗布した際のほうれい線の変化

次に、40~50代女性12名を対象に、モデル処方を頬(ほうれい線の上部)と口もと(ほうれい線の下部)に塗布し、専門評価者が塗布前後のほうれい線の目立ちを「ほうれい線グレード」*1 をもとに比較しました。その結果、12名中11名において、ほうれい線の目立ちが改善されました(図2)。

  • * 1 『スキンエイジングアトラス』(2010年Med'com Publishing出版)が定めるほうれい線の目立ちを評価するグレード

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図2 専門評価者による塗布前と塗布10分後のほうれい線グレードの比較

続いて、12名のうちの11名を対象*2 に、VECTRA®M3*3 を用いて、塗布前(素肌)と塗布後のほうれい線の最深部の変化を調べました。その結果、塗布後には、ほうれい線の深さが平均で約1mm浅くなっていたことが確認できました(図3)。

  • * 2 ほうれい線の目立ちの改善が見られたが、試験に参加できなかった1名を除く
  • * 3 顔の3D画像を撮影でき、さまざまな部位の距離を測定できる装置

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図3 塗布前と塗布後の比較(著効例)

まとめ

今回、肌に塗るだけで、ほうれい線を非侵襲で目立たなくするメイクアップ技術を開発しました。これは、肌に密着した膜が収縮することで頬のたるみを引き上げる新しい技術であり、ほうれい線が平均約1mm浅くなることもわかりました。本技術を今後のメイクアップ商品の開発に応用し、ほうれい線を目立たなくすることで、少しでも若々しく見せたいという人々の思いに応えていきます。

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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