発表資料: 2019年06月10日

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微弱な生体発光現象バイオフォトンにより、
紫外線による目に見えない肌ダメージをはかる新しい評価法を開発

花王株式会社(社長・澤田道隆)生物科学研究所は、バイオフォトン(Biophoton)という微弱な生体発光に着目し、紫外線によって日常気づかないうちに受けている肌ダメージを定量することに成功しました。これまで紫外線による肌ダメージは、日やけして赤くなった状態を翌日に評価することでしか把握できませんでしたが、今回、紫外線照射1~3分後に発生するバイオフォトン量を測定することで、目に見えない肌ダメージの程度を評価できる可能性を見出しました(図1)。
この方法は、紫外線による肌ダメージをはかる優れた指標になると考えられます。今後、紫外線から効果的に肌を守る技術の開発へと応用していきます。

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今回の研究成果は、2019年4月4日~7日に開催された「第9回アジア酸化ストレス学会(The 9th Biennial Meeting of Society for Free Radical Research-Asia)」にて発表しました。

背景

肌は日常生活のなかでさまざまなストレスにさらされ、目に見えないダメージを受け続けています。なかでも、紫外線は、肌に日やけを生じさせるだけでなく、将来的にシミ・シワ・たるみなどの光老化を引き起こすことが知られています。しかしこれまで、紫外線による肌ダメージは、日やけとして赤くなった状態を翌日に評価することでしか定量できず、知らず知らずのうちに受けている肌ダメージはとらえることができていませんでした。花王は、肌内部の目に見えないダメージを知り、その蓄積を防ぐことが、肌を美しく保つために重要と考え、長年、肌ダメージの定量方法の開発をめざしてきました。

紫外線による肌ダメージを評価する取り組み

紫外線を浴びると、肌には活性酸素種(ROS;Reactive Oxygen Species)が発生し、これが体内の物質を酸化させます。花王は、そのうちの過酸化脂質が紫外線による肌ダメージにつながることに着目し、紫外線を浴びた肌内部の過酸化脂質量を推測する手法を検討しました。
そこで活用したのは、「バイオフォトン(Biophoton)」という微弱な生体発光です。バイオフォトンは、活性酸素種(ROS)や一部の過酸化脂質の発生に伴って生じることがわかっていました(図2)が、これまでは、肌ダメージと関連が深い過酸化脂質のみを検出する手法は確立されていませんでした。

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新知見 紫外線による肌ダメージを定量する技術を開発

今回、バイオフォトンを高感度に検出する装置を用い、紫外線を浴びた肌に生じるバイオフォトンの変化について詳細な解析を行ないました。バイオフォトンは、紫外線照射後数分間にわたってみられる発光現象ですが、その多くは照射1分以内に消えていきます。しかし今回の解析で、過酸化脂質をあらわすバイオフォトンは、照射1~3分後(図3の点線で囲まれた範囲)に生じていたことを見出しました。さらに、このように特定の時間まで発生が持続するバイオフォトンの量は、従来の評価法である肌の赤みと高い相関を示すことを確認しました(図4)。

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従来の肌ダメージ評価法との関連

さらに検討を進めた結果、肌の赤みを生じない程度の弱い紫外線によっても、その強さに応じてバイオフォトンが発生していることがわかりました。これにより、紫外線照射1~3分後に発生するバイオフォトン量をはかることで、目に見えない肌ダメージをも高感度に検出できることを突き止めました(図1)。


紫外線による肌ダメージの蓄積は、将来的にシミ・シワ・たるみなどの光老化へと結びつきます。今回開発した方法により肌内部の見えないダメージについて理解することは、光老化につながるわずかなダメージの発生や蓄積を防御する技術の開発につながると考えます。

お問い合わせ

花王株式会社 広報部

03-3660-7041

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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