発表資料: 2019年05月31日

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身体活動量計を用いて、生活リズムとメンタルヘルスの関係を解明

花王株式会社(社長・澤田道隆)パーソナルヘルスケア研究所は、健康寿命の延伸に貢献する取り組みの1つとして、「歩くなどの日常生活活動および運動(身体活動)」に着目し、一生涯を通じたヒトの“歩く”特徴を科学的に解明する研究を積み重ねています。研究を進めていく中で、身体活動量計を用いて歩数(身体活動量)を測定・解析して、ヒトの“歩く”特徴を数値化(=見える化)することによって、1日の中での歩数の変化のパターン(生活リズム)がヒトの健康に関係していることがわかってきています*1
今般、身体活動量計を活用して、20~60代の職域(働く)世代の1日の中での歩数の変化パターン(生活リズム)とメンタルヘルスとの関係を解析しました。その結果、以下のことがわかりました。

  • * 1 生活リズムと健康に関する、これまでの研究実績
    2018.09 身体活動量計を用いて、生活リズムと肥満の関係を解明(2018年 第73回日本体力医学会大会)
    … 平日の生活リズムが肥満に関係していることがわかりました。
    2018.11 身体活動量計を用いて、生活リズムと睡眠の関係を解明(2018年 第77回日本公衆衛生学会総会)
    … 平日と休日の生活リズムのズレが睡眠に関係していることがわかりました。

今回の研究知見

20~60代の職域(働く)世代における対象者1,521名(男性:855名、女性:666名)において、メンタルヘルスの不調の程度の判定にストレスチェックを用いて高ストレスの有無の判定を行ない、
・高ストレス判定者群99名(男性:52名、女性:47名)
・健常者群1,422名(男性:803名、女性:619名)
に対して、就業日と休業日の場合に分けて、1日の歩数(3時間毎の歩数)を比較しました。
その結果、高ストレス判定者群は、健常者群に比べて、休業日の朝(6-9時)の歩数が、有意に少ないことがわかりました(図1)。

20190531-001-01

図1 就業日と休業日における、1日の歩数
(3時間毎の歩数)と高ストレス判定の有無との関係

なお、本研究内容は、第92回日本産業衛生学会(2019/5/22~25、愛知県)にて発表しています。

花王は身体活動量計を活用して、これからも一人でも多くの方に、自分の“歩く”特徴について知っていただく機会を提供するとともに、蓄積したデータから、一生涯を通じたヒトの“歩く”特徴を科学的に解明する研究を積み重ねていきます。

研究内容

身体活動量計を活用して、20~60代の職域(働く)世代の1日の中での歩数の変化パターン(生活リズム)とメンタルヘルスとの関係について調査、解析を行ないました。

【対象者】
2018年度に実施したストレスチェックの回答者のうち、身体活動量計の装着希望者で、以下の装着有効条件を満たす計1,521名(男性:855名、女性:666名)。

【装着有効条件】
ストレスチェック回答期間中の2018年6月の1カ月間で、装着時間が1日5時間以上を満たす日が70%以上。

【測定方法】
・身体活動量:3軸加速度計(HW-100、花王製)を用いて、1日の歩数(身体活動量)を測定。
・ストレスチェックを実施。

【ストレスチェック】
メンタルヘルスの不調の程度の判定には、厚生労働省ストレスチェック制度実施マニュアルに基づき、新職業性ストレス簡易調査票(80問)を用いました。ストレスによっておこる心身の反応に関する設問の合計点により高ストレス者かどうかを判定しました。その結果、上記対象者1,521名は、以下の2群に分類されました。
・高ストレス判定者群99名(男性:52名、女性:47名)
・健常者群1,422名(男性:803名、女性:619名)

【1日の中での歩数の変化パターン(生活リズム)について】
就業日と休業日の場合に分けて、3時間毎の1日の歩数を比較しました。

身体活動量計を用いたヒトの“歩く”特徴を解析する研究背景

超高齢社会となった日本において、高齢者の生活の質(QOL)の向上・健康維持・増進および健康寿命の延伸に貢献する取り組みは、重要なテーマのひとつです。最近では、運動だけでなく、日常生活全般において、「生活活動(からだを動かすこと)」を含めた「身体活動(動けるからだ)」が重要であることがわかってきました。
花王は、乳幼児用紙おむつの開発を通じて、成長と歩行特徴(歩行パラメータ)との関係を研究してきました。この研究をベースに、2010年から、高齢者の歩行機能低下に対して、ヒトの“歩く”特徴を科学的に解析して数値化(=見える化)する研究を積み重ねてきました。その結果、動けるからだづくりには、「歩行の量(歩数、時間)」と「歩行の質(速度、歩き方)」を向上させることが重要であることがわかり、歩行の特徴が測定できる身体活動量計および歩行測定・解析システムを開発しました。これらのシステムは、地域、職場、学校などの団体に向けて提供を行なっています。

*本資料は、重工記者クラブに配信しています。

お問い合わせ

花王株式会社 広報部

03-3660-7041~7042

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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