花王株式会社(社長・澤田道隆)感性科学研究所、スキンケア研究所は、どのような化粧品の感触が使用時にどのような感情を引き出すのか、感触と感情の関係性について2012年から検討を続けています。塗布感触の異なる7種類のサンプル(無香料・無着色のクリーム)それぞれを使用した際の感情を「化粧版感情評価尺度」* により確認し、感触の違いが異なる感情を喚起させることを見出しました。
なお、本研究内容は、日本感情心理学会第21回大会(2013年5月)にて発表したものです。
以下の方法で、感触の異なる化粧品(無香料・無着色のクリーム)を使用した時の感情を確認しました。
【対象およびサンプル】
試験(1)30代女性29名、サンプルP・Q・R・S
試験(2)20-30代女性29名、サンプルR・U・W・X
※サンプルRのみ試験(1)(2)の両方で用いました。
【試験方法】
試験(1)(2)とも同じ手順で実施しました。試験ごとに、塗布感触の異なるサンプル(無香料・無着色のクリーム)4種をそれぞれ連続する3日間(朝のスキンケア時は任意、夜は必須)使用し、各サンプルの感触と夜の使用時の感情を、3日間使用後に評価してもらいました。感情の評価には、「化粧版感情評価尺度」を用いました。
【試験結果】
<感触の評価>
各感触の評価項目について分散分析を行なったところ、試験(1)、試験(2)それぞれにおいて、「やわらかい」「べたつきがある」など複数の項目でサンプル間に有意差がみられ、試験に使用したサンプルの塗布感触が確かに異なっていたことを確認しました。
<感情の評価>
各サンプル使用時の感情(12因子)について分散分析を行なったところ、試験(1)、試験(2)それぞれにおいて、複数の感情因子でサンプル間に有意差がみられ、試験に使用したサンプルにより喚起される感情が異なることを確認しました。
<各サンプルの感触と感情のマッピング>
各サンプルの感触評価と使用時の感情評価それぞれについてコレスポンデンス分析を行ない、マッピングを行ないました。これにより、感触マップ上で異なる象限に位置されるサンプルが、感情マップ上でも異なる象限に位置すること、感触マップ上のサンプル位置と感情マップ上のサンプル位置が概ね対応していることを確認し、異なる感触によって、異なる感情が喚起されることが示されました。
(まとめ)
化粧品使用時の塗布感触の違いによって、喚起される感情が異なることが示されました。感触が使用者の感情に与える影響を確認し、感触と感情の関係性の理解が可能となりました。
花王株式会社 広報部