花王株式会社(社長・澤田道隆)テクノケミカル研究所は、以下の特長を有するVOCレス設計*1 の高耐久新規ポリエステル系水性インクジェット用顔料インクを開発しました。
《VOCレス設計の新規ポリエステル系水性インクジェット用顔料インクの特長》
1.VOC(揮発性有機化合物)レス設計で、印刷工程で排出されるVOC量を抑制することで、印刷作業環境を改善すると共に、地球環境への負荷を低減します。
2.花王独自の「顔料ナノ分散技術*2 」(顔料をナノサイズで分散安定化する技術)を応用しています。
3.紫外線硬化型インク同等の耐候性、耐アルコール性、耐傷性などの優れた画像耐久性を実現するため、オーバーコート処理が不要です。
4.フィルム印刷をはじめサイネージ*3 など、さまざまな産業印刷用途に展開が可能です。
なお、今回開発したインクは、国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展「IGAS2018*4 」(開催期間:2018/7/26(木)~31(火)、東京ビッグサイト/東展示棟1F花王ブース:東2ホール 2-26)に出展します。
今後花王は、本技術を用いて、環境と社会的課題の解決に貢献することをめざして、これまでに培ってきた研究知見を結集・融合した本質研究を深化させ、環境負荷低減*5 に貢献する商品づくりおよびサービス提供を進めてまいります。
【開発概要】
印刷業界においても、VOCに対する自然環境、労働環境などの環境負荷低減の取り組みが進められています。花王テクノケミカル研究所では、産業印刷用途のインクジェット用インク市場に対する新たな価値提案として、水性インクジェット用顔料色材(顔料分散液)およびインクの開発を進めてきました。2016年3月には、これまで花王の培ってきた「顔料ナノ分散技術」をさらに応用し、VOCレス設計の水性インクジェット用顔料インク(LUNAJET)の開発に成功。高品質で、環境負荷を低減した印刷物の提供に貢献しています。
今回、水性インクジェット用顔料インク技術と、(静電気的な現象を利用する)電子写真印刷向け粉体トナーに用いられているポリエステル系樹脂技術を融合させることで、非反応型かつ非危険物の水性インクでありながら、新たに紫外線硬化型インクと同等の耐候性、耐アルコール性、耐傷性など高い画像耐久性を実現し、多様な産業印刷への展開を可能にするポリエステル系水性インクジェット用顔料インクの開発に成功いたしました。
通常、紫外線硬化型インクは、紙やフィルムなどの基材上に印刷され、そこに紫外線を照射することによって硬化し、約10μm程度の強固な塗膜を形成します。それに対して、今回の新規ポリエステル系水性インクでは、新たに開発したポリエステル系樹脂が均質で強固な塗膜を形成します(図1参照)。この塗膜は、紫外線硬化型インクの塗膜の約1/10の膜厚にも関わらず、紫外線硬化型インクと同等の画像耐久性を実現しました。これによって、フィルム印刷をはじめとしてサイネージ向け産業印刷など、より広い用途に適用することが可能になります。
図1 新規ポリエステル系水性顔料インクと紫外線硬化型インクの特長
*本資料は、重工記者クラブに配信しています。
花王株式会社 広報部
※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。