発表資料: 2018年07月12日

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<こころで感じるスキンケア研究>

唾液中のオキシトシン* 量と肌の質感との関連性を確認

花王株式会社(社長・澤田道隆)感性科学研究所、スキンケア研究所、メイクアップ研究所は、快感情を喚起する刺激に着目したスキンケア研究を行なっている中、今般、以下の研究知見を得ました。
1) 快感情を喚起する触覚刺激により、唾液中のオキシトシン* 量が増加すること
2) 唾液中のオキシトシン量が多いほど、肌の質感スコア(見た目の肌状態)が高いこと
なお、本研究内容は、第82回SCCJ研究討論会(2018年7月12日、大阪府)にて発表します。

  • * オキシトシン
    脳の視床下部で合成されるホルモンのひとつで、スキンシップを積極的に行なうと出やすくなることが研究でわかっています。
    このオキシトシンには、愛着関係を深めたり、ストレスを軽くしたり、情緒を安定させたりするはたらきがあります。

<こころで感じるスキンケア研究>これまでの研究知見

・化粧時の感情を評価する12の感情因子を抽出し、感情の評価尺度を作成。

・スキンケア行動のひとつである、顔肌への触覚刺激が快感情を喚起する。
・快感情を喚起する顔肌への継続的な触覚刺激が、見た目の肌状態(肌の質感)を向上させる。

今回の研究知見

以下の試験条件で、快感情を喚起する触覚刺激による生理変化が肌状態に及ぼす影響を検討しました。

試験-1

【対象】
20-49歳の大きな肌トラブルがない女性、33名。
【試験方法】
触覚刺激前と4週間後の唾液を採取し、唾液中のオキシトシンなどのホルモン量の変化を検討。
快感情を喚起することが報告されている、チークブラシを用いて速さ;約3cm/秒、荷重;約20-40gで前腕伸側部を撫でる刺激を、1日2回(朝と晩、3分間/回)、4週間継続してもらい(継続的な触覚刺激)、触覚刺激前後の唾液を採取し唾液中のホルモン量の変化率を算出。
【試験結果】
快感情を喚起する継続的な触覚刺激により、唾液中のオキシトシン量が増加することを確認しました(図1)。

20180712-001-01

図1 継続的な触覚刺激とホルモン量(オキシトシン)の変化

試験-2

【対象】
20-49歳の大きな肌トラブルがない女性、89名。
【評価項目】
(1)対象者の唾液中のオキシトシン量を測定。
(2)対象者の肌の質感スコア(見た目の肌状態)を、一定の評価基準で客観的な目視評価のトレーニングをした専門家により、肌の質感を「ない(-3)」-「ある(3)」の7段階で評価。
【評価結果】
唾液中のオキシトシン量と肌の質感スコア(キメの整い感、色むら(なさ)、つや、肌表面のなめらかさ)とが、弱い正の相関を示しました(表1)。

20180712-001-02

表1 オキシトシン量と肌の質感スコアの関係

試験-3 確認試験

上記試験-1、2から、20-39歳の大きな肌トラブルがない女性40名に対して、スキンケア行動のひとつとして、顔肌を両手で包み込むように(ハンドプレスによる触覚刺激)30秒間触れた後、顔から手を離して30秒間安静にする試行を、全5回繰り返し行なってもらいました。
評価として、触覚刺激前後で、以下の評価を行ないました。
1) 唾液を採取し、触覚刺激によるオキシトシン量変化率を算出しました。
2) 10cmのVisual analog scaleを用いて、快感情の感覚量の程度を評価値で表し、触覚刺激前後の評価値の差分(喚起度合い)を算出しました。
その結果、唾液中のオキシトシン量変化率は、顔肌への触覚刺激前後の快感情の評価値差分(喚起度合い)に対して、弱い正の相関を示しました(図2)。

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図2 オキシトシン量変化率と快感情の喚起度合いの関係

(まとめ)
ハンドプレスなどのスキンケア時の触覚刺激による快感情の喚起度合いに応じて、生体内のオキシトシン量が増加し、肌の質感が向上することが示唆されました。

今後の取り組み

今回の研究成果から、五感を介した刺激の生理作用に着目したスキンケア研究を積み重ねていきます。

お問い合わせ

花王株式会社 広報部

03-3660-7041~7042

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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