トップメッセージ

未来の命を守る会社に
Sustainability as the Only Path

画像

画像

画像

2021年6月
代表取締役 社長執行役員 長谷部 佳宏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、お亡くなりになられた方々とそのご家族に謹んでお悔み申し上げます。そして献身的にご努力をされている医療従事者の皆さまとそのご家族、社会要請によりお仕事が困窮されていらっしゃる方々、不自由を余儀なくされている多くの皆さまに一刻も早く平穏な日常が戻ることをお祈り申し上げます。

社長就任にあたって

2021年度、花王グループは新たな中期経営計画「K25」をスタートします。こころ豊かな暮らしに貢献する花王の基本ミッションは変わることはありません。一方、地球環境や人の生命にもっと目を向け、私たちはあらためて、生きとし生けるすべての「未来の命を守る」企業として、社会に欠かすことのできない存在をめざします。
今、世界は混沌の中にあります。パンデミック、意見衝突による人々の分断、そして地球環境問題は日々深刻さを増しています。右肩上がりの経済神話は崩れ、明日の生活がどうなるかを不安に感じている人たちも増え続けています。花王は、多くのモノをつくり、それらを消費していただくことで、社会に貢献してきた企業です。しかしその一方で、多くの物質とエネルギーを使い、廃棄物を出している企業とも言えます。私たちは、消費を前提としたモノづくりから、資源を循環させるモノづくりへと変貌させなければなりません。「数」と「量」の線形型経済から、「質」と「絆」の循環型経済への移行をめざします。
豊かな生活は、すこやかな毎日があって初めて実現されます。これから高齢化社会が深刻化する中で、病気を繰り返す人や病気と隣り合わせの家族は年々増え続けていきます。私たちは、健康で豊かな生活を守るために、病気の時間を減らすことに取り組むべきだと考えます。生態系の保全と健康時間の延伸という2つの社会課題解決目標が、今後、花王が注力する貢献領域であると考えます。
私たちに課されたこの大きな課題は、これまでの経営感覚や経験則では乗り越えられません。さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、消費、働き方、社会全体が大きな変革を余儀なくされる今後の10年は、花王にとっても大きな転換期です。これまでの古きしがらみを一切断ち切ると同時に、よきこだわりを守り続けることが、2021年1月に社長執行役員を拝命した私に託された花王流「両利きの経営」であります。この二刀流の経営を推進するために、これまでの経験と力をすべて尽くす所存であります。

数と量の線形型経済から、質と絆の循環型経済への意向をめざします

前中期経営計画「K20」について

「K25」策定にあたり、その前身となる「K20」は、2016年12月に公表し、特長ある企業イメージの醸成、利益ある成長、ステークホルダー還元、この3つの目標をかかげ、全社一丸となって進めてきました。
特長ある企業イメージの醸成に関しては、客観的に多くの視点からのご評価をいただきました。特に、企業倫理や企業の社会的責任を専門にする米国のシンクタンクEthisphere Instituteが毎年発表しているWorld’s Most Ethical Companies®において、世界最多の15年連続選定、国際NGOであるCDPが実施した評価において、世界の5,800社の中から、10社選定されたうち、花王は日本初のトリプルAを獲得いたしました。
事業に関しては、3つの1,000億円ブランド育成、アジア事業の伸長、ケミカル事業の収益性向上などにおいて成果を上げましたが、過去最高益更新の継続、実質売上高CAGR+5%、営業利益率15%は達成するに至りませんでした。2020年度の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けましたが、要因はそれだけではありません。デジタル化対応をはじめとする未来型戦略への変革の遅れ、大型新商品の目標未達、および未来を見据えた新規事業創出が不十分であったと考えています。この点につきましては、「K25」にてしっかりと改革を進めていく所存です。
ステークホルダー還元に関しましては、株主への連続増配継続、社員への継続的な処遇アップと健康サポート、顧客に対してはWin-Winの最大化の取り組み、社会的課題に対しては先進的取り組みを率先して行ないました。
ESGと資本効率を掛け合わせた企業経営の新機軸(ROESG)という新しい指標においては、日本で3位、世界で35位のポジションという評価もいただきました。今後も引き続き、資本効率性を追求しながら、持続可能な社会の実現をめざしていきます。

花王の1,000億円ブランド

Bioré

Attack アタック

Merries メリーズ

中期経営計画「K25」について

「K25」策定にあたっては、プロジェクトメンバーと多くの世界各国の社員との対話をベースとして、花王が次にめざす方向性を検討してきました。今後の企業がめざすべき方向性は「持続可能な社会の実現」ですが、これに反する活動をすべて取り除くことは容易ではありません。しかし、花王は、サステナビリティ以外の退路は断ち、前に進むことに決めました。それが、「Sustainability as the only path」というK25ビジョンにつながりました。その意味合いから、「未来の命を守る」という言葉と同義です。
これまでの花王の中核事業は、人がすこやかに暮らすきれいな生活への貢献、同時にきれいな地球環境を守る生態への貢献でありました。そしてこれから、人の命そのものを危害から守り、幸せに暮らす時間を増やす生命への貢献も強めていきます。私たちは、3つの「生」に関わり、生きとし生ける、すべての未来の命を守る存在をめざしていきます。
2030年までに持続可能でよりよい世界をめざす国際目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)を見据え、花王は3つの方針を立てました。1つ目は、「持続的社会に欠かせない企業になる」ことです。これは、社会的課題解決に向けて前進しながら、経済発展の両立を果たす企業の姿であり、多くの企業を牽引する存在となる覚悟を表しています。つまり、社会課題解決につながるESG投資を、未来の循環型事業につなげることであり、また、サステナブル自走社会をリードすることで、事業を発展させることをめざしています。
2つ目の方針は、「投資して強くなる事業への変革」を掲げています。これは、次なる利益ある成長のために、市場、競合、お客さまにとってダントツの事業をめざしていく方針です。拮抗する事業は、多くのコストがかかり、価格競争などに陥りやすい。しかし、独創的な価値提供に優れた事業は、長期にわたり安定した利益を生み出します。
これら2つの方針を実践していくのは社員ですが、これまでの働き方では非常に難しく、より柔軟に考えていくことが大切です。そのため、3つ目の方針では、「社員活力の最大化」を掲げています。人の力は、働き方やモチベーションによって大きく変わります。自社で何もかも完結するという意味の“自前主義”から脱却すれば、力は何倍にも増えます。社外との協業を率先的に進めることで、自社にないノウハウや能力との組み合わせが可能となり、実現できる事業は飛躍的に増えます。異なるものが交わることにより、いわゆる新結合が起こります。そのために、これまでよりも一人ひとりが挑戦しやすい環境を醸成するために人事制度も変えました。
この3つの方針に沿って目標を達成すると、結果として、売上と利益は過去最高となり、多くのステークホルダーの期待にお応えすることになると考えます。

最後に

2021年度から始まる「K25」は、次なる利益ある成長のための土台づくりと考えております。世界にはCOVID-19の影響がしばらく残ることが予測されますが、会社の持続的な発展のためには、新たなビジネスモデルを構築しながら、基盤となる既存事業を同時に強化しなければなりません。ステークホルダーの皆さまには、花王の現状と目標および進捗をできる限り公開しながら、丁寧に説明を尽くしてまいります。そして、未来発展型のM&Aを積極的に推し進めるとともに、これまでこだわってきました連続増配も継続していく所存です。
花王は、「未来の命を守る」を新たに宣言し、人の生命、生活、生態を守る欠かせない存在となることをめざします。そして、勇気をもって新たなことに挑戦し、お客さまの新しい常識となる「よきモノづくり」を進めていきます。

Page Top