中期経営計画

外部環境の変化への対応

花王は創業から「人々の暮らしを清潔に保つこと」を核として事業を展開し、豊かな生活文化の実現に貢献してきました。しかし、グローバルで気候変動、高齢化社会、資源枯渇、プラスチックごみ問題などの課題は年々深刻化しています。また、現在、世界中で蔓延している新型コロナウイルス感染症以外にも、デング熱やマラリアといった猛威を振るう感染症が多くあり、今後も多くの感染症が高い頻度で発生することが予想されています。
世界中の生活者の意識も大きく変化しており、商品を購入する際、環境や人権に配慮しているかを判断材料にするエシカル消費が若い世代を中心に広まっています。また、SNSなどの普及もあいまって、自分に合った商品を求めるパーソナライズ化が進むなど、生活者の購買行動は多様化しています。さらに、インターネットやスマートフォンの普及に伴いeコマースなどの新しい流通チャネルが近年大きく伸びており、花王を取り巻く事業環境も大きく変化しています。
こうした環境変化を踏まえ、「私たち自身が大きく意識を変えなければ、未来に大きな発展は望めない」という危機感のもと、2021年度から2025年度までの花王グループ中期経営計画「K25」を策定しました。「K25」策定にあたっては、プロジェクトメンバーと多くの世界各国の社員との対話を重ね、花王が次にめざす方向性を検討しました。サステナビリティ以外の退路は断って、前進することを決断し、「Sustainability as the only path」というビジョンを掲げました。
これまでの花王の中核事業は、人がすこやかに暮らすきれいな生活への貢献、きれいな地球環境を守る生態への貢献が中心でした。これからは、人の命そのものを危害から守り、笑顔で暮らせる時間を増やす生命への貢献ができるよう努めていきます。3つの「生」に関わり、生きとし生ける、すべての未来の命を守る存在となることをめざしていきます。
2030年までに持続可能でよりよい世界をめざす国際目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)を見据え、花王は3つの方針を立てました。これら3つの方針に沿った取り組みを進めると、結果として2025年度には、過去最高の売上高1兆8,000億円と営業利益2,500億円(過去最高)、連続増配36期が実現し、社員、生活者・顧客、取引先、株主などの多くのステークホルダーの期待にお応えすることができると考えています。

3つの方針

1. 持続的社会に欠かせない企業になる

社会的課題の解決に向けて前進しながら経済の発展を果たし、多くの企業を牽引する存在となることをめざします。そして、社会的課題解決につながる環境、社会への投資を必ず財務的なリターンにつなげていきます。

2. 投資して強くなる事業への変革

これまで培ってきた技術や知見、デジタルを最大限に活用し、未来の命を守る新たな事業(「Another Kao」)を生み出します。同時に、その基盤となる既存事業に新しい力を加え、「Reborn Kao」として再活性化させます。これまで花王ではマスマーケットを対象としたモノづくりをしてきましたが、今後は全く違うビジネスモデルを構築していきます。既存事業もしっかり推進していきますが、今後の成長のカギを握るのは「プレシジョンライフケア」と、その実現に必要な「デジタルトランスフォーメーション」です。
たとえば、花王には、RNAから将来起こりうる病気を予見する「RNAモニタリング* 」の技術や、歩行状態から体の変化を察知する技術など、人の命を守る、予防や診断に役立つユニークな技術がたくさんあります。このような技術を用いて高い精度で解析したデータをデジタルライフプラットフォーム上で相互に掛け合わせることによって、より精緻な健康状態の予測が可能になり、いま何に対処するべきかを正確に提案できるようになります。これがプレシジョンライフケアです。花王だけでなく、多くのパートナーに花王のモニタリング技術を活用していただくことでデジタルライフプラットフォームを成長させていきたいと考えています。

  • * RNAモニタリングとは
    日々変動する肌の状態を反映するRNA(リボ核酸)を顔の皮脂から採取し、分析する技術です。DNAがその人固有のもので一生変化しないのに対し、DNAのコピーであるRNAは食生活、紫外線、ストレスなどの外部環境によって変化するという性質があります。そのため、RNAはさまざまな環境要因により日々変化する肌状態を知るのに役立ちます。さらに、AIを使ったディープラーニングに強みを持つプリファードネットワークス社とも協働しています。同社が持つディープラーニング技術により、RNAを分析して得られたデータを高度に解析すると、その人の将来の肌・健康状態の予測が可能になります。この技術を活用してパーキンソン病などの早期診断の共同研究を進めていきます。

3. 社員活力の最大化

これら2つの方針を実践するためには、ワクワクした社員の活力は欠かせません。そこで、社員一人ひとりが自ら掲げる大きな挑戦を最大化できるよう、これまでの目標管理型のKPIを廃止し、新たな組織マネジメント制度「OKR(Objectives and Key Results)」を導入しています。また、積極的に新事業を展開していくためには、新しい分野において高い知見を持つ専門人財や、先進的な技術を持つ他社との連携が不可欠となるため、今後は外部からの専門人財の採用も積極的に進めていきます。

OKRとKPIのイメージ比

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OKRの3つの視点

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これら3つの方針に沿って目標を達成すると、結果として、2025年には売上・利益は過去最高(売上高1兆8,000億円、営業利益2,500億円、連続増配36期)を達成することができ、社員、生活者・顧客、取引先、株主等の多くのステークホルダーの期待にもお応えすることにもなると考えています。

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