年代を重ねるほど、目もとや肌を“イキイキとした印象”に導くことで「若々しさ」を演出できる可能性
花王株式会社(社長・澤田道隆)スキンケア研究所は、外見的な顔の「若々しさ」がどのように認知されているのかについて30代および50代女性を対象として検討を行なった結果、どちらの年代においても、“若々しく見える顔”は「イキイキ感」が特に重要であることを見出しました。また、「イキイキ感」には目の状態や目周りの肌状態等が影響を与えており、この影響度は年齢を重ねるほど高いことが示唆されました(図1)。
今回の研究成果は、第21回日本感性工学会大会(2019/9/12~14)にて発表しました。
「若く見える」とはどういうことか、古くからさまざまな研究が行なわれてきました。その多くは、年齢を外見から判断する場合に何を手掛かりとしているか、というものです。しかし、「イキイキとして若々しい」といった表現があるように、「若々しい」という言葉も、日常的に年齢の低さのみならず元気さや活力をあらわす意味で使われています。
このことから花王は、「若さ」を年齢という側面でのみとらえるのは不十分ではないかと考え、外見的な顔の「若々しさ」はどのような印象と関連が深いのか、そしてそれはどのような顔の特徴によって認知されているのかを明らかにすることを目的に検討を開始しました。昨年、50代女性を対象として、見た目の顔の若々しさは特に「イキイキ感」「清潔感」と関係が強いことを見出し報告しましたが*1 、今回はさらに、30代女性も対象に加え、50代との年代間比較を行ないました。
30代(30名)、50代(32名)の日本人女性の素顔、無表情、正面の顔画像について、美容専門評価者*2 が、「若々しさ」の度合い、「推定年齢」、顔画像から受ける印象*3 、および「目力がある」「透明感がある」など顔の特徴*4 を評価しました*5 。これらの評価値に対して統計解析を行ない、「若々しさ」と「印象」「顔の特徴」の関係性を分析しました。
(1)若々しく見えるための“印象”
重回帰分析の結果、「若々しさ」は、30代においても、50代においても、「推定年齢」のみならず「イキイキ感」や「清潔感」といった意味も包含する複合的な印象であることが示されました。また、若々しく見えるためには、「推定年齢」よりも、元気、疲れて見えないなど「イキイキ感」が重要であることがわかりました(図2)。
(2)「イキイキ感」につながる顔の特徴と年代による影響度
「若々しさ」にとって最も重要である「イキイキ感」は、30代、50代どちらの年代でも、目のぱっちり感や黒目のはっきり感を示す「目力感」や「目周りのくすみ感」といった目もとの状態と強く関係していることがわかりました。さらに、50代は30代と比較して、シワ、たるみの有無など、「イキイキ感」につながる顔の特徴が増え、それらの影響度がより大きいことが示されました。
外見的な顔の「若々しさ」がどのように認知されているのかについて、感性工学的なアプローチを用いて検討を行なった結果、若々しく見えるためには「イキイキ感」が特に重要であることがわかりました。このことから、「若々しさ」は、年齢という側面からとらえるだけでは十分ではなく、「イキイキ感」などのような印象を演出することも大切であるといえます。
また、「イキイキ感」は目もとの状態等によってもたらされますが、この影響度は年齢を重ねるほど高いことが示されました。この結果から、目もとを明るくぱっちりと見せるといった工夫によって、顔全体の印象がイキイキ、若々しく見えるようになる可能性があること、さらにその可能性は年齢とともに増していくことが推察されます。
花王は引き続き、イキイキと満ち足りた毎日の実現をめざして、内面の充実感なども大切にしたウェルエイジング研究を進めていきます。
※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。