発表資料: 2019年03月06日

  • ニュースリリース
  • 研究開発

大人用超薄型紙パンツの継続使用による軽失禁群*1 のQOL向上の可能性を示唆

花王、鹿児島県西之表市、筑波大学の産官学による共同研究

花王株式会社(社長・澤田道隆)、鹿児島県西之表市、筑波大学は、産官学の連携で西之表市住民に対する健康寿命延伸に向けた調査・研究を2018年から行なっています。今般、軽失禁の症状を訴える女性を対象に、吸水機能付き下着としてはける超薄型紙パンツタイプの尿ケア用品を一カ月間使用する研究(介入研究)を実施し、心と体の変化を検証しました。その結果、継続使用による心身の機能向上への有効性、およびQOL向上の可能性を示唆する知見が得られました。
本研究内容は、第20回健康支援学会・学術集会(2019年3月2~3日、宮城県)で発表したものです。2019年自然と共生するスマートエコアイランド種子島シンポジウム(2019年3月9日、鹿児島県)でも発表の予定です。今後も産官学の連携による健康寿命延伸・QOL向上に向けた取り組みや研究を行なっていきます。

  • * 1 軽失禁群:頻尿や軽失禁の症状を訴える方。「1日8回以上、特に夜間にトイレに行く回数が多い」「せきやくしゃみをした時に軽い尿モレをしたことがある」「現在、下着を汚す尿モレ症状がある」のいずれかに「はい」と回答された方。

今回の研究知見

吸水機能付き下着としてはける超薄型紙パンツタイプの尿ケア用品の一カ月継続使用により、軽失禁群でミニメンタルステート調査(MMSE)*2 の得点が上昇し、認知機能の向上が認められました(図1)。
また、身体生理機能のうち、「重心動揺総軌跡長(身体動揺の不安定さの指標)」が有意に減少し、歩行パターンにおける「歩隔の広さ」と「30秒椅子立ち上がりテスト」にも向上が見られました。さらに質問群による心の評価では、軽失禁群の「自信」が使用後に高まり、使用前には存在した非失禁群との有意差が認められなくなりました。
これらから、軽失禁群が超薄型紙パンツを継続使用することはQOL向上につながる可能性が示唆されました。

  • * 2 ミニメンタルステート調査(MMSE):10~15分程度の短い時間で認知機能の障害があるかどうかを調べる質問紙による検査。23点以下で認知症の疑い、27点以下で軽度認知障害(MCI)の疑いがあると判断されます。

20190306-001-01

図1 軽失禁群の継続使用前後のMMSE比較

研究概要

高齢化という社会課題への対応のひとつとして、花王ではアクティブシニアに関してさまざまな研究を重ねてきました。本研究は、高齢化進展に伴って軽い尿モレに悩む方が増加傾向にあり、その不安がQOLを低下させている場合があることに着目したものです。鹿児島県西之表市、筑波大学との連携で鹿児島県西之表市在住の頻尿や軽失禁の症状を訴える女性を対象に、吸水機能付き下着としてはける超薄型紙パンツタイプの尿ケア用品を継続使用することでの心身への影響を検討しました。軽失禁群と非失禁群の2群間比較、および軽失禁群の使用前後の比較で分析しました。

【対象】
西之表市在住の女性71名(73.4±8.5歳)からスクリーニングを行なった、軽失禁群15名。

【介入方法と測定内容】
軽失禁群に、普段の下着に替えて超薄型紙パンツタイプの尿モレ用品を一カ月間使用していただき、使用前後で下記を測定しました。
● 認知機能: ミニメンタルステート調査(MMSE)
● 身体計測: 身長、体重、体組成(筋量、脂肪量など)
● 中枢神経系測定: 脳年齢および脳ストレス測定、脳実行機能測定
● 身体機能測定: 歩行動作測定(歩幅、歩隔、スピード等)、30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)
● 心理機能: 主観的健康観尺度(WHO SUBI)*3

  • * 3 主観的健康観尺度(WHO SUBI): 心の疲労(陰性感情)と健康(陽性感情)に目を向けたWHOが開発した質問群で心の健康状態、人間関係や身体の健康感など、精神生活を総合的に評価できる。

*本資料は、重工記者クラブに配信しています。

お問い合わせ

花王株式会社 広報部

03-3660-7041~7042

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

ニュースリリース内を検索

詳細検索
発表年月
から
まで
タイプ
タグ

ニュース内を検索

詳細検索
発表年月
から
まで
タイプ
タグ
Page Top