発表資料: 2018年11月27日

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サブミクロンの極細繊維からなる積層型極薄膜が化粧品・治療領域に貢献

「Fine Fiber(ファインファイバー)技術」を開発

花王株式会社(社長・澤田道隆)は、直径がサブミクロンの極細繊維を肌に直接噴きつけることで、軽く、やわらかく、自然な積層型極薄膜を肌表面につくる「Fine Fiber(ファインファイバー)技術」を開発しました。
この技術を花王が展開する多様な製剤と組み合わせて用いることで、スキンケアやメイクといった化粧品の領域において、これまでの常識を超える新たな提案の可能性が見えてきました。将来的には、治療領域への応用も視野に入れ、研究を進めています。
なお、本研究内容は、今後、繊維工学や皮膚科学、化粧品科学等の関連学会での発表を予定しています。

Fine Fiber技術とは

Fine Fiber技術とは、小型の専用装置にセットした化粧品用のポリマー溶液を、装置のノズルを通して肌に直接噴射することで、肌表面に極細繊維からなる積層型極薄膜を形成する技術です。この技術を用いることで、誰でも簡単に、身体中のさまざまな部位の三次元形状や面積に合わせた膜を、肌表面に自在に形成できるようになります。

Fine Fiber技術がもたらす可能性

積層型極薄膜に、着色したモデル溶液(水色)が広がる様子

Fine Fiber技術が創りだす積層型極薄膜は、軽く、やわらかく、自然で、肌の動きに柔軟に追随し、肌表面を均一になめらかに整える性質があります。そして、その最大の特長は、極細繊維が有する“毛管力”*1 により、あわせて使用する化粧品製剤の保持力や均一化に極めて優れている点です。この極薄膜は、折り重なった繊維と繊維の間に、化粧品製剤をしっかりと保持します。また、液状の製剤を膜全体に速やかに均一に広げます。一方で、繊維の隙間から適宜水蒸気を通すので、肌を完全に閉塞することなく適度な透湿性も保てます。

このように、Fine Fiber技術は、長年の課題であった、化粧品製剤の肌表面での持続性や均一性に、飛躍的な進歩をもたらします。今後、花王が展開する多様な化粧品製剤と組み合わせて用いることで、これまでの常識を超えるスキンケアやメイクの提案に挑戦していきます。

  • * 1 毛管力:物体内の狭い隙間が液体を吸い込む力

Fine Fiber技術のしくみ

今回開発したFine Fiber技術には、不織布産業分野でエレクトロスピニング法(ES法)と呼ばれる極細紡糸技術を応用しました。ES法は、プラスに帯電したポリマー溶液を、マイナスに帯電した対象物表面に向けて噴射する技術です。あたかも蚕が繭を紡ぐときのように、ポリマー溶液がノズルを通して糸状に引き伸ばされながら勢いよく噴き出し、対象物の表面で幾層にも重なりあって膜を形成します。これによりでき上がった膜は、端面(ふち)に向かって薄くなるため、肌に自然になじみ、肌との境目が見えません。また、膜と肌の段差が極めて少ないことから、はがれにくさも実現しています。

Fine Fiber技術の実現に向けては、生活環境下で安定した性質の極薄膜を形成することをめざし、装置の小型化と最適な電圧・流量制御を検討しました。

Fine Fiber技術開発の背景

今回の研究には、花王の多様な事業分野での不織布開発に関する総合力が活きています。
これまで花王では、紙おむつ、生理用品などのサニタリー製品、住居用ワイパーに代表されるホームケア製品などの分野において、さまざまな特性の不織布を開発・応用してきました。さらに、次世代の不織布開発につなげるべく、繊維の“細さ”が生み出す毛管力、やわらかさ、密着力といった機能に着目し、2007年、自社製ES装置の開発に着手しました。研究の過程で、つくりだした繊維膜の性状が皮膚(角層)に近いことに気づき、化粧品への応用を着想。機械、電気、素材、安全性、構造解析などといった、社内のさまざまな専門部署の技術を結集し、今回の成果が生み出されました。

Fine Fiber技術が創造する未来

花王は、生活者の暮らしに寄り添い未来社会に貢献すべく、技術革新に取り組んでいます。今回開発したFine Fiber技術においては、スキンケアやメイクといった化粧品の領域に加え、将来的には治療領域への応用も視野に入れ、研究を深耕していきます。

お問い合わせ

花王株式会社 広報部

03-3660-7041~7042

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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