参考資料: 2014年08月26日

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茶カテキンの、太りにくい体質に関与する「褐色脂肪組織」への作用を検証

~低代謝のヒトの「褐色脂肪組織」を活性化して脂肪燃焼を改善~

花王株式会社(社長・澤田道隆)ヘルスケア食品研究所は、天使大学の研究グループおよび北海道大学 斉藤昌之名誉教授らとの研究で、褐色脂肪組織の活性が低下して太りやすい傾向にある人が、茶カテキンを5週間継続摂取すると、褐色脂肪組織の活性が高まるとともに、脂肪燃焼量が亢進することを確認しました。これにより、肥満の予防につながる可能性を明らかにしました。

以前は、成人の体内の脂肪燃焼は筋肉と肝臓でのみ行なわれると考えられていましたが、斉藤教授らの研究により、成人においても褐色脂肪組織が存在し、体温制御に加え、肥満の予防に寄与していることが報告されております。褐色脂肪組織は、最近では現代人の太りやすさ/太りにくさの体質に関与する要因の一つとして考えられ、世界的に注目されています。

背景

褐色脂肪組織は、脂肪をためる機能をもつ白色脂肪組織から運ばれる脂肪を燃焼して消費する機能を有する組織です。これまでは、幼児の頃は多くもっていますが、成人になるとなくなってしまうと考えられていました。
その後、斉藤教授らの研究により、近年の最先端測定技術であるPET*1 とよばれる撮像装置により褐色脂肪組織の活性の様子が可視化され、確認できるようになりました(図1)。これにより、成人の褐色脂肪組織は、首や肩の周囲に存在することがわかっています。
また、褐色脂肪組織は、体熱の産生に関わり、特に人が低温の環境下に置かれた際の寒冷刺激によってその活性が高まり、褐色脂肪組織の量と寒冷誘導熱産生*2 の値とは、比例関係にあることが確かめられています。
さらに褐色脂肪組織の活性が低い人は、エネルギー消費量が低くなるとともに、脂肪をよく燃やすことができない傾向になることから、太りやすい体質の因子をもつ可能性が示唆されています。
このように筋肉や肝臓によるこれまでの脂肪燃焼に加え、褐色脂肪組織による脂肪燃焼という新たな知見が、成人の肥満予防につながる可能性があり期待されています。

  1. *1 PET:ポジトロン断層法(Positron Emission Tomography)の略号で、褐色脂肪組織にブドウ糖が集まりやすいことを利用して、黒く映し出される特殊なブドウ糖を指標として使用し、撮影するものです。これにより、褐色脂肪組織が直接観察できるようになりました。褐色脂肪組織の活性が高い人は、脂肪組織が黒く写りますが、活性の低い人は黒く写りません。
  2. *2 寒冷誘導熱産生とは、人が低温の環境下に置かれた際(寒冷刺激)に、体温の維持のために自ら産生する熱量のことをいいます。

研究内容

本研究では、PET*1 による撮像結果から褐色脂肪組織の活性の低い人(図1左側)を選び、茶カテキンを含有する飲料を摂取する群(茶カテキン群)と、含有しない飲料を摂取する群(対照群)に分けて、5週間飲用を継続した前後において、褐色脂肪細胞に関わるエネルギー代謝を調べました。
今回の研究では、同じ気候の中で検証するため、翌年の同じ季節にも試験飲料を入れ替えて、同様の試験を行ないました。
これらの試験結果を解析したところ、褐色脂肪の活性に相当する寒冷時に誘導されるエネルギー消費の変化量は、茶カテキン群が対照群の約2倍となるとともに(図2)、脂肪の燃焼量に有意な亢進作用が確認されました(図3)。

<試験方法>

PET*1 での撮影画像による判断で、褐色脂肪組織の活性の低い成人男性10名を集め、茶カテキン群と対照群の2班に分け、1日に2本の飲料(茶カテキン群は、茶カテキン含有量540㎎/本)を5週間継続して摂取しつづけてもらいました。褐色脂肪の活性強度は、寒冷誘導熱産生の測定結果により算出しました。具体的には、温度と湿度を一定に調整できる部屋を用いて、室温(本研究では27℃に設定)、ならびに寒さを感じる環境下(本研究では19℃に設定)において、呼気中の酸素濃度と二酸化炭素濃度を精度よく測定することで、エネルギー消費量と脂肪燃焼量を算出しました。

結論

一般にエネルギー消費量の低い人では、脂肪をためる傾向が比較的強いといわれています。今回、褐色脂肪組織の活性が低く、低エネルギー消費となっている成人において、茶カテキンを5週間継続摂取した場合の効果を検証したところ、褐色脂肪組織の活性が顕著に高まり、脂肪の燃焼量が有意に増強することを確認しました。これらの結果より、日常生活における茶カテキンの継続摂取が、太りやすい体質の人の肥満予防の一助につながる可能性が期待されます。

本研究の成果は、第68回日本栄養・食糧学会大会(5月30日~6月1日・札幌市教育文化会館・酪農学園大学)において発表いたしました。

お問い合わせ

花王株式会社 広報部

03-3660-7041~7042

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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