なんらかの理由で骨盤底筋が弱り、ゆるんでくると尿もれの原因に。いまは症状がないという人も、知らず知らずのうちに弱ってきているかもしれません。
すでに骨盤底筋がゆるんでいるかどうかを知るためのセルフチェックで、自分の現在の状態を把握しましょう。
あてはまるものに をつけてください
① 咳やくしゃみをしたとき、笑ったときなど、ふとした瞬間に尿が“ちょこっとモレ”をすることがある
② 走ったりジャンプをしたときに尿がもれる
③ 重いものを持ち上げたときに尿がもれる
④ トイレでふき終わったあとに、尿がちょろっともれてしまう
⑤ トイレに行く途中でもれる
⑥ 尿意がないのにもれることがある
⑦ 以前よりトイレの回数が増えてきた
⑧ 妊娠中や出産後に尿もれを経験したことがある
⑨ お風呂上がりに腟から水がジャーッともれ出す
⑩ 最近お尻が大きくなりたれてきた、下腹が出てきた
⑪ 座っているときにひざを閉じにくく、ひざが開いてしまう
⑫ 腟に丸いものが触れる感じがある、何かものが降りてきている気がする
⑬ 夕方になると、腟に何かものが挟まったように感じる
あてはまるチェック項目が多いほど、骨盤底筋のゆるみ度リスクは高く、尿もれしやすくなります。
■ ①~④にチェックが入った方
骨盤底筋がゆるんで尿道を支えきれなくなると、お腹に力を入れたときなどふとした瞬間に尿がもれやすくなります。ときどき、少量もれる程度なら改善の余地あり。トイレでの排尿時に途中で尿を止めるようにしてみて、途中で止められるようなら骨盤底筋が働いている証拠です。骨盤底筋トレーニングを習慣にして骨盤底筋を鍛えましょう。
■ ⑤~⑦にチェックが入った方
頻尿、切迫性尿失禁の可能性が。頻尿は、骨盤底筋のゆるみに加えて、膀胱炎や子宮筋腫、過活動膀胱、心因性のものなど、さまざまな原因が考えられるため、生活に支障が出ている場合には、泌尿器科やウロギネ外来(泌尿器科と婦人科の境界領域を診る科)できちんと診察してもらいましょう。
■ ⑧~⑨にチェックが入った方
産後は分娩時のいきみで骨盤底筋や靭帯がゆるみ、尿もれが起きやすくなります。自然に治ることも多いのですが、年齢とともに再発しやすくなります。入浴後のお湯もれも、骨盤底筋のゆるみから起きている可能性あり。骨盤底筋トレーニングを取り入れることで、尿もれの改善が期待できます。
■ ⑩~⑪にチェックが入った方
下腹が出てきたり、座ったときにひざが開くなどの自覚がある場合、お腹の内部にある筋肉の筋力低下のサインと見ることができ、連動する骨盤底筋も弱ってゆるんできている可能性あり。運動不足解消とともに、骨盤底筋トレーニングを取り入れて。
■ ⑫~⑬にチェックが入った方
骨盤底筋が弱ってゆるんでくると、尿もれのリスクが高まるだけでなく、子宮や腟、膀胱、直腸などが下がってきて外に出てくることがあります。それぞれ「子宮脱」「腟脱」「膀胱瘤」「直腸瘤」などといい、総称して「骨盤臓器脱」と呼ぶことも。症状にもよりますが治療は、手術が必要な場合もあります。ひどくなる前に泌尿器科やウロギネ外来(泌尿器科と婦人科の境界領域を診る科)を受診しましょう。
もともと女性のからだは尿もれしやすい構造です。妊娠・出産の経験、肥満やトイレでのいきみ、更年期、運動不足なども、骨盤底筋の筋力低下につながります。これまでの生活や普段の習慣から、骨盤底筋が弱りやすいタイプかどうかをチェックしてみましょう。
下記の項目に該当が多いほど、骨盤底筋が弱るリスクが高まります。
※ボディ・マス指数 [体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値。
尿もれは、多くの女性の共通する悩みであり、恥ずかしいと思わなくて大丈夫。軽い症状なら骨盤底筋トレーニングを習慣にすることで、予防・改善が期待できます。また、尿もれの状況に合わせて、尿もれケア用品(吸水ライナー・吸水ナプキン)を利用することで不安の軽減にもつながるでしょう。
医療機関を受診するかどうかの判断基準は、QOL(生活の質)が損なわれているかどうか。尿もれが原因でやりたいことを諦めたり、外出できなくなっているなら、早めの受診をお勧めします。
取材・文/及川夕子
女性泌尿器科医師
佐藤 亜耶 先生
自由が丘ウロケアクリニック院長
自由が丘ウロケアクリニック院長。日本泌尿器科学会認定専門医、医学博士。日本大学医学部卒業後、同大学泌尿器科に入局。以降、関連病院で診療経験を積み、2019年に女性泌尿器科・小児泌尿器科に特化した自由が丘ウロケアクリニック開院。
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