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お悩み相談室 Q&A

Q.この半年、生理がきていません。40代半ばですが、このまま閉経するのでしょうか?閉経後、体の変化がどうなるのか不安です。

2024.10.01

40代に入ってから生理が不規則になり、2~3カ月こないと思ったら、突然ドバドバと出血したことも…。そして、この半年間はまったく生理がきていません。生理痛や出血時の煩わしさから解放されるのはうれしいのですが、もう更年期!?と少しショック。このまま閉経になるのでしょうか?閉経すると体にはどんな変化が起こるのでしょうか? (40代女性)

A.月経が1年間なければ「閉経」。女性ホルモンが減少することで、心身に変化が訪れます。

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<回答したスペシャリスト>
産婦人科医師・石山尚子先生

閉経の平均年齢は50歳前後。しかし前兆や年齢は個人差が大きい

閉経とは、卵巣の機能が寿命を迎え、月経が永遠にこない状態です。1年間、月経がない状態が続いたら「最後に月経がきたとき」を閉経とみなします。ですから、月経が半年ない状態でも、このまま閉経になるかどうかはわかりません。人によっては、月経の周期が乱れて数カ月おきにしかこない状態が何年も続くことだってあります。

閉経の平均年齢は50歳前後と言われていますが、実際には個人差がとても大きいものです。40代前半で閉経を迎える人もいれば、50代後半で閉経になる人も。約20年も開きがあるのです。「40代半ばだから、そろそろ閉経かも…」と心配し過ぎる必要はないと思いますが、生理が不規則ということも含め、気になるようでしたら一度婦人科に相談してみてはいかがでしょう。
いずれにせよ、閉経を迎えることで起こる体の変化については、今から知っておくとよいですね。知っておくことで、閉経後も心身のコンディションをできるだけよい状態に保つための準備や対策を立てることができます。

女性ホルモンの減少で出てくる更年期の不調

卵巣機能の寿命が近づくと、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌は急激に減少していきます。そして、閉経後はほとんどゼロに。 更年期とは閉経を挟んで前後10年間を指しますので、この女性ホルモンの減少が、更年期症状として、心身にさまざまな変化をもたらします。

女性ホルモンの中でもとくに注目したいのが、エストロゲン(卵胞ホルモン)です。エストロゲンには、

  • 肌や髪の毛のツヤを保つ
  • 骨を丈夫に保つ
  • 血管をしなやかに保つ
  • 自律神経を正常に保つ
  • 脂肪の代謝を促す

などのうれしい働きがたくさんあり、美と健康を守ってくれる存在なのです。
このエストロゲンの減少によって、目に見える変化・目に見えない変化が起こります。

女性ホルモン量が急降下していく更年期

年齢と女性ホルモン量のグラフ

閉経前後に感じるさまざまな体の変化

デリケートゾーンに現れる不調は、最近ではGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)と言われています。外陰部が乾燥・萎縮することで、ヒリヒリした痛みやかゆみ、性交痛、おりものの異常を経験する人は少なくありません。
ほかには、骨盤底筋が衰えて尿もれに悩む人も。さらに子宮脱など臓器が下がり、腟から出てきてしまうこともあります。

一方、目に見えず気づきにくいのが骨量の減少です。閉経して半年後くらいから骨量はどんどん減り始めます。気づいたときにはすでに骨粗しょう症だった、なんてこともあり得ます。

閉経前後(更年期)に感じやすい不調と症状 

  • のぼせ、多汗、ホットフラッシュ
  • イライラ、落ち込み、うつ気分
  • だるい、疲れやすい
  • 肩こり、首こり、背中の痛み、腰痛
  • 頭痛、腹痛
  • 手指のこわばり、痛み
  • 尿もれ、頻尿、便秘
  • 動悸、息切れ、めまい、ふらつき
  • 肌の乾燥、かゆみ、体臭
  • 抜け毛、薄毛
  • 眠りが浅い、不眠
  • 膣の乾燥、性交痛 など

閉経前に知っておきたい5つの基礎知識

①閉経の前兆も人によってさまざま

女性ホルモンの分泌が減少する過程では、月経の周期や経血(出血)量が変化しやすくなります。しかし、その変化は人によってさまざまです。閉経に至るまで周期の乱れが数カ月続いたという人もいれば、5年以上続いたという人も。また、毎月の経血量が減って1~2日間ちょっぴり出血するだけになったという人もいれば、外出に支障が出るほど大量の出血になる人もいます。このように月経の前兆は人それぞれですが、中にはほとんど変化が起こらず、突然閉経する人もいます。

②いつ頃?閉経の時期は予測できる?

閉経時期を明確に知る方法はありません。しかし、月経の乱れや基礎体温の変化から、卵巣機能の衰えに気づくことはできます。基礎体温の高温期がなくなると、排卵が起こっていない状態と考えられます。

また、婦人科でホルモン検査やAMH検査(卵巣機能の予備能をチェックする検査)を受けることで、ある程度、閉経時期を予測できる場合もあります。ただし、ホルモンの分泌量は体調によっても変わりますし、1日の中でも変動があるので、1回検査しただけでは判断できないこともあります。
ちなみに、「初経(初潮)が早かったら閉経も早いのでは?」と言う人がいますが、初潮時期と閉経時期は関係ないと言われています。

③超音波を見ただけでわかる月経の様子

超音波(エコー)で子宮内膜や卵巣の状態を観察すれば、ある程度、月経の状態はわかります。例えば、「何カ月も月経がない」という女性でも、超音波検査をしてみたら、「そろそろ出血がありそうだ」とわかることも。反対に「しばらく出血はないだろう」とわかることもあります。また、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮体がん、卵巣腫瘍などを見つけることにも役立ちます。
子宮頸がん検診で婦人科を訪れた際は、ぜひ、超音波検査も受けることをおすすめします。また、月経痛やPMS(月経前症候群)、更年期症状などのお悩みもあれば、せっかくの機会なので医師に相談してみてください。不調の緩和につながる治療を提案してもらえるでしょう。

④閉経前後、更年期を快適に過ごすために

閉経前後は女性ホルモンが減少することで、疲れやすさ、ほてり、発汗、抑うつ、肌が乾燥する、関節痛、デリケートゾーンのトラブル、骨が減る、動悸、不眠など、更年期特有のさまざまな症状が出やすくなります。
40代で閉経する人は、50代で閉経する人に比べて、それらの症状が早く起こる可能性があるということ。そんな場合の救世主がHRT(ホルモン補充療法)。少量の女性ホルモンを補うことで、更年期の様々な症状を緩やかに調節することができます。
ほかにも、更年期の不快な症状の緩和には、漢方を使った治療などもあります。まずは、婦人科(レディースクリニック)を受診して相談してみましょう。
なお、40歳未満で閉経した場合は「早発閉経」といって治療の対象になります。

⑤閉経前後のデリケートゾーンのケア

更年期には腟まわりのデリケートゾーンが乾燥・萎縮しやすくなるので、痛みやかゆみ、灼熱感などの不快な症状に悩まされることも。さらに、自浄作用が弱まるので細菌の感染や炎症を起こしやすくなります。こうしたトラブルを防ぐためには、毎日のケアが大切です。
弱酸性の洗浄料でやさしく洗ったうえで、保湿もしっかり行いましょう。洗浄も保湿もデリケートゾーン専用のものを使うようにしてください。保湿の際に指でやさしく膣まわりのマッサージを行うのもおすすめです。

デリケートゾーンには、専用の洗浄剤を。

また、尿もれが気になる人は生理用ナプキンやおりものシートで代用しないで、吸水ナプキンなどの専用品を使用しましょう。その際、こまめに交換することも大事です。代用品で済ませたり、同じナプキンを長時間つけていたりすると、かぶれや炎症を招くことがあります。

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女性医療のスペシャリスト

石山 尚子 先生の写真

産婦人科医師
石山 尚子 先生
対馬ルリ子ライフクリニック銀座院長

日本産婦人科学会専門医。対馬ルリ子ライフクリニック銀座勤務。女性がより快適に生活するための治療や対処法、セルフケアのアドバイスをわかりやすい言葉で丁寧に、を信条にされる女性医療(ウィメンズヘルス)のスペシャリスト。

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